いすゞの乗用車にスポットライトを当てた1冊

『いすゞ乗用車の歴史【増補二訂版】』
『いすゞ乗用車の歴史【増補二訂版】』全 1 枚

『いすゞ乗用車の歴史【増補二訂版】』
著者:当摩節夫
発行:三樹書房
定価:4180円(本体価格3800円+税)
ISBN978-4-89522-724-7

日本最古の自動車メーカーであるいすゞ。現在では商用車メーカーとして活躍しているが、乗用車の製造は1992年に幕を閉じた。その乗用車にスポットライトを当てた1冊が刊行。2017年に発行されたものの増補二訂版である。

いすゞの歴史をたどると、日本の自動車史を俯瞰してみることが出来る。1916年に東京石川島造船所と東京瓦斯電気工業が自動車製造を計画したことがそのルーツに当たる。そして1922年にはウーズレーA9型国産第1号乗用車を完成。1934年に商工省標準型式自動車の正式名称をいすゞと命名し、1949年以降の名称でいすゞ自動車の社名の由来となった。

本書はいすゞ自動車の全面協力のもと、革新的技術で開発された個性的な乗用車のカラーカタログを600点以上収録し、世界的な商用車メーカーであるいすゞが、現在でも人気の高い、優れた乗用車を開発していた時代の足跡をたどる。

本書のページをめくると1/3ほどはその歴史と各車の解説に充てられているが、それ以外のほとんどは当時のカタログをもとに歴史をたどっており、目を楽しませてくれる。その中にはGMホールデンでノックダウン生産された『ホールデン・ジェミニ』や『ピアッツァ』の輸出仕様車のカタログなども掲載されており興味深い。

今回新たに、2017年4月にいすゞ設立80周年記念事業の一環として開業したいすゞプラザについてもまとめられた。いすゞプラザは、世界中で”運ぶ”を支えるいすゞをわかりやすく紹介しているほか、歴代いすゞの乗用車の展示などで歴史を振り返ることが出来る。さらに地域のランドマークとしての役割も果たしている。

なお本書は2017年刊行の『いすゞ乗用車 1922‐2002』新装版初版から、『いすゞ乗用車の歴史』に変更し、増補二訂版として刊行されたものだ。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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