レッドリスト2020---飼育目的の乱獲でサンショウウオの多くが絶滅危惧種に[リアニマル]

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最新版の「環境省レッドリスト 2020」が、今年3月に公開された。

環境省は、絶滅の恐れがある種を的確に把握し、一般への理解を広めることで野生動物の保全を図ることを目的とした活動を行っている。昭和61年度より始まった調査は現在、「レッドブック」という形で公開され、継続的な改訂を行っている。

レッドブックでは、対象となる動植物が10のグループ(分類群)とカテゴリーに分けられている。動物が哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、その他無脊椎動物(クモ形類、甲殻類等)の8分類群。植物には、植物1(維管束植物)と植物2 (維管束植物以外:蘚苔類、藻類、地衣類、菌類)という2つのグループがある。

カテゴリー(ランク)は、種の存続に関するリスクに応じて主に4レベルに分類される。「絶滅」カテゴリーには、過去に生息したことは確認されているが、日本では人間による飼育・栽培下を含めてすでに絶滅したと考えられる種が属する。「野生絶滅」に分類されるのは、飼育環境下などでは生存しているが、自然の生息地ではすでに絶滅したと考えられる種である。

対馬対馬

その次のレベルである「絶滅危惧」は大きく2種類に分けられ、「絶滅危惧1類」に属する生物は、文字通り絶滅の危機に瀕している種のことである。一方、「絶滅危惧2類」には、現在の状態が継続すると、近い将来 「絶滅危惧1類」のカテゴリーに移行することが確実な種が分類される。

4番目の「準絶滅危惧」は、個体数の減少、生息条件の悪化、過度の捕獲、交雑可能な別種の侵入などによって、種の存続への圧迫が強まっていると判断されるものである。そのほか、地域的な絶滅が危惧される「絶滅のおそれのある地域個体群」および、確定的な評価ができない「情報不足」という2つのカテゴリーが付属情報として存在する。

今回改訂されたレッドリストでは、シベリアイタチが準絶滅危惧種から絶滅危惧1類に引き上げられた。国内では対馬のみに生息するこのイタチは、河川の開発や植生など環境の変化と在来種との競争によって急激に個体数を減らしているそうだ。

そのほか、分類が細分化されたこともあるが、サンショウウオの多くが同じく絶滅危惧1類にリストアップされた。カスミサンショウウオから分割された、アブサンショウウオ、アキサンショウウオ、イワミサンショウウオ、サンインサンショウウオ。コガタブチサンショウウオから分割されたツルギサンショウウオ。そしてキタサンショウウオが新しく加えられた。

サンショウウオの場合、種類によって生息地域は異なるが、どの種も開発などによる生活環境の変化に加え、業者や愛好家による販売や飼育のための乱獲が大きな要因となっているそうだ。

一方、前回のレッドリストに掲載されていたツシマスベトカゲは対象外となった。詳しい情報は得られていなかったが、生息地域で大規模な道路開発等が行われるなど環境の変化があり、個体数の急減が危惧されていたため、このトカゲは「情報不足」のカテゴリーでリストに掲載されていた。しかしながら、最近の調査によって対馬全域で生息が確認されるとともに、環境改変があった場所でも多く の個体が確認されたため、リストからの削除が決まった。

このほか、トンボ1種(コフキオオメトンボ)や12種類の貝類が絶滅危惧種1類に登録されている。

環境省、「レッドリスト2020」を公開…飼育目的の乱獲でサンショウウオの多くが絶滅危惧種に

《石川徹》

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