HKSが輸入車のチューニングパーツに参戦開始

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HKSの手掛ける“欧州車商品開発プロジェクト”、第1弾はトヨタとBMWで共同開発された「GRスープラ」のパーツ開発が進められている
HKSの手掛ける“欧州車商品開発プロジェクト”、第1弾はトヨタとBMWで共同開発された「GRスープラ」のパーツ開発が進められている全 22 枚

チューニングパーツメーカーの超メジャーブランドであり、テクニカル集団である「HKS」。なかでも有名なのはストリート用チューニングパーツだが、今までは国産車をメインに展開していた。

しかし、現在輸入車用パーツの開発に爆進中。第一弾となるトヨタ・GRスープラ用マフラーの開発現場を直撃。HKSの旧本社である富士宮工場を訪問し、“欧州車商品開発プロジェクト”について話を聞いた。

欧州車商品開発プロジェクトの第1弾がGRスープラである理由

HKSの手掛ける“欧州車商品開発プロジェクト”、第1弾はトヨタとBMWで共同開発された「GRスープラ」のパーツ開発が進められているHKSの手掛ける“欧州車商品開発プロジェクト”、第1弾はトヨタとBMWで共同開発された「GRスープラ」のパーツ開発が進められている

まず、トヨタ GRスープラについてのおさらいだ。トヨタ GRスープラは間違いなくトヨタブランドのクルマである。しかし、その開発にはBMWが大きく関わっている。エンジンもBMWなら、シャシーも基本はBMW。兄弟車はBMWのZ4で、製造はZ4もGRスープラもオーストリアのマグナシュタイヤーという会社で行われている。

HKSが最初の開発車としてGRスープラを選んだのは、日本車でありながら中身がBMWということが大きく影響している。HKSのユーザー層としてGRスープラオーナーは確実に存在する。これがBMWオーナーとなると未知数である。そして、中身がBMWであることから開発を行えばノウハウの獲得ができる、というベストバランスの存在がGRスープラだからなのだ。

エッチ・ケー・エス 欧州車商品開発プロジェクト 赤塚 達也氏エッチ・ケー・エス 欧州車商品開発プロジェクト 赤塚 達也氏エッチ・ケー・エス 欧州車商品開発プロジェクト 赤塚 達也氏に、欧州車商品開発プロジェクトの話を伺った

GRスープラのマフラーについては北米向けのモデルはすでに発売済みとなっている。排ガス規制などでは日本より厳しい基準を採用している北米(とくにカリフォルニア)だが、ことマフラーの音量規制となると日本よりもゆるく、大きな音でも規制をクリアするという。広大な大陸ならではの規制値と言えるだろう。

モータージャーナリスト 諸星 陽一氏モータージャーナリスト 諸星 陽一氏モータージャーナリスト 諸星 陽一氏

北米向けマフラーだと日本では認証をクリアしないため、今回は従来よりシリーズとして展開している車検対応の「スーパーターボマフラー」として開発を行っている。今回の「スーパーターボマフラー」では従来のアフターマフラー向けの加速走行騒音認証では対応しきれないため、より複雑で厳格な市街地加速走行騒音による認証を受けている。GRスープラ用のアフター向けマフラーで、市街地加速走行騒音の認証を取得したのはこのHKS「スーパーターボマフラー」が第一号で、認証ナンバーも1番が与えられている。

JARI 10200001Pの末尾の“1”が、認証ナンバー1番の証明。完成車メーカーのマフラー基準同等レベルの市街地加速走行騒音認証は、従来の審査と比較した場合より厳格な審査となるJARI 10200001Pの末尾の“1”が、認証ナンバー1番の証明。完成車メーカーのマフラー基準同等レベルの市街地加速走行騒音認証は、従来の審査と比較した場合より厳格な審査となる完成車メーカーのマフラー基準同等レベルの市街地加速走行騒音認証は、従来の審査と比較した場合より厳格な審査となる。JARI 10200001Pの末尾の“1”が、認証ナンバー1番の証明だ

純正のバルブ開閉機能を活かししつつ、HKSならではの“こだわり”が詰まったマフラー

常用回転域の不快なこもり音を除去しつつ、抜けのいいスポーツサウンドを目指したGRスープラ用「スーパーターボマフラー」は、10本以上にも及ぶ試作品を経て製品化されたという。基本パターンは2つの案があったが、細かい取り回しやサイレンサー内の構造も見直しての開発となったという。まったくノウハウがないメーカーが作るのではなく、HKSという多くのノウハウを持っているメーカーとしては数多い試作品と言えるだろう。

試作品のマフラー。形状やパイプ径など、試行錯誤を重ねていることが確認できる。今回は10本以上にも及ぶ試作品を経て、製品化された試作品のマフラー。形状やパイプ径など、試行錯誤を重ねていることが確認できる。今回は10本以上にも及ぶ試作品を経て、製品化された試作品のマフラー。形状やパイプ径など、試行錯誤を重ねていることが確認できる

また、GRスープラの純正エキゾーストには排気圧力をコントロールするバルブシステムが設けられている。GRスープラ用「スーパーターボマフラー」は、HKS製のバルブに純正のコントロールシステムを移設する設計。ノーマルのスイッチ類はそのままでノーマルモード、スポーツモードの切り替えが可能だ。

テールエンドはスリットが入った独自構造、消音効果にも寄与しているテールエンドはスリットが入った独自構造、消音効果にも寄与しているマフラー奥にバタフライ形状のコントロールバルブが装着されていることがわかる。バルブはHKS製で制御は純正のシステムを使用。

GRスープラ用「スーパーターボマフラー」は触媒以後を交換するタイプ。1本で出てきたパイプを2本に分割しメインサイレンサーに左右から入れ込む。メインサイレンサーからは左右2本のエンドパイプが出ており、それぞれが後方に排気する方式。中間パイプ径は85-70φx2で、テール外径は110φという設定。素材はステンレス(SUS304)で近接排気音量はノーマルの85dBに対して、87dBに抑えられている。

国内の厳しい騒音基準をクリアしながら、高い効率排気と心地よいスポーツサウンド、そして純正モーターを移設してバルブ変更の機能もそのまま利用可能 ※コントロールバルブはHKS製となる国内の厳しい騒音基準をクリアしながら、高い効率排気と心地よいスポーツサウンド、そして純正モーターを移設してバルブ変更の機能もそのまま利用可能 ※コントロールバルブはHKS製となる

ノーマルのエキゾーストシステムと比べると大きく異なるのが、パイプの形状だ。ノーマルのエキゾーストシステムも丸パイプを基本にレイアウトしているのだが、ところどころでクリアランスを確保するためにパイプを「つぶす」ということをしているのだ。パイプをつぶせば内径が狭くなるのはもちろん、段差なども生じるために排気がスムーズに行われないのは目に見えている。HKSでは取り回しを工夫するとともに、正確な配置を用いることでパイプをつぶすことなくマフラーを完結させている。

そもそも、BMWの本拠であるドイツにはアウトバーンという特殊な環境がある。200km/hを軽く超える速度で連続走行を行うというのは、エキゾーストの廃熱も非常に大きい。それを考慮してのクリアランスなのだろう。日本での使用を考えれば、そこまでハードな使い方はまずない。もしどうしても心配、そこまでの性能を追求するという場合は、予めエキゾーストに遮熱対策を施すことで解決できる。

ワールドワイドを見据えて世界挑戦するHKSの商品戦略

スープラ用で開発が進められていた車高調整式サスペンションキット、HIPERMAXシリーズ「MAX IV SP」。3月に発売となったスープラ用で開発が進められていた車高調整式サスペンションキット、HIPERMAXシリーズ「MAX IV SP」。3月に発売となった

今回取材したデモカーには「スーパーターボマフラー」の他、3月に発売となった車高調整式サスペンションのHIPERMAXシリーズから「MAX IV SP」、レーシングサクション(※試作品)が装着。その他、メタルキャタライザー、電子系のパーツについても鋭意開発中とのこと。

HKSの手掛ける“欧州車商品開発プロジェクト”、第1弾はトヨタとBMWで共同開発された「GRスープラ」のパーツ開発が進められているHKSの手掛ける“欧州車商品開発プロジェクト”、第1弾はトヨタとBMWで共同開発された「GRスープラ」のパーツ開発が進められている

HKSはこのマフラーをきっかけとして、欧州車への対応パーツを開発していきたいという。欧州車の場合は同じクルマであっても、国によって求められるもの(チューニングの方向性)が違うところもおもしろいというのが、担当者の弁。今後、BMWのM3やM4など販売台数が多く、チューニングに興味を示すオーナーが多いクルマなどにもチャレンジしていきたいとのこと。今後のHKSの動きは視野を広げ、ワールドワイドに展開していくことだろう。

HKS GRスープラ用 カスタマイズパーツはこちら

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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