[自転車保険]加入が義務化の地域拡大…高額な損害賠償に備える

「自転車保険」加入が義務化の地域拡大 誤解と注意事項を知って高額な損害賠償に備える
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2020年4月1日より、東京都をはじめとする8つの地域で「自転車保険(自転車損害保険)」の加入が義務化されました。


この条例は「その地域に住んでいないから関係ない」わけでは、ないんです。

今回は、「自転車保険加入義務条例に多い勘違い」の解説と「損をしない自転車保険の選び方」について、詳しくお話します。

自転車保険の加入義務化「よくある勘違い」



自転車保険の加入義務化「よくある勘違い」

「自転車保険の加入義務化」は、2015年に兵庫県が制定した「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」を皮切りに、全国の地方公共団体(都道府県や市区町村)で制定する流れが広まっています。

参照:兵庫県「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例(pdf)」

2020年4月28日現在、冒頭で紹介した8つの地域を加えると、

・「義務化」されている地域は15都府県8政令市

・「努力義務化」されている地域は11道県2政令市


にものぼります。

参照:国土交通省「自転車損害賠償責任保険等への加入促進(pdf)」

お住まいの地域では、どうでしょうか。

この条例は「どこに住んでいるか」は、あまり関係がありません

自転車保険義務化は県外人にも適応される


多くの地方公共団体の場合、条例の適用対象を「自転車利用者」としています。

つまり、他県在住であっても、該当地域内で自転車を利用する場合は条例の適用を受けるということです。

お住まいの地域に条例が無いからと言って、加入が不要なわけではありません。

また、国土交通省では、各都道府県に対し「条例等による自転車損害賠償責任保険等への加入の義務づけ」を要請し、地方公共団体における条例制定の支援を表明しています。

参照:国土交通省「自転車損害賠償責任保険等への加入促進について(pdf)」

そのため、自転車保険加入の義務化を条例制定する地方公共団体は、今後さらに増えていくことになるでしょう。

自転車は免許も不要で、誰でも購入できる手軽な乗り物です。

しかしながら、事故のダメージは大きく、なかには高額な賠償金を請求されるケースもあります。

被害者・加害者双方の救済のためにも、自転車を利用する人は、今のうちに自転車保険に加入しておきましょう。

自転車保険で損をしないための注意事項



自転車保険で損をしないための注意事項

自転車保険の加入を検討する際に、気をつけなくてはいけないことがいくつかあります。

まずは、自転車保険の主な保障内容を確認しておきましょう。

自分の体の保障


自分自身のケガに備える保険です。

ケガによる、

・ 入院費用

・ 手術費用

・ 通院治療費用

・ 死亡

・ 後遺障害保険金


など、あらかじめ設定した金額が支払われます。

必ずしも、「自転車事故でのケガ」である必要はありません

・ 歩行中の車両接触事故

・ 運動中の転倒

・ 階段の踏み外し

・ 料理中のやけど


など、様々なケガでの治療を保障します。

ただし、病気での治療には使えません

事故相手の保障


他人にケガをさせてしまったときや、あるいは死亡させてしまったとき、事故で他人の物を壊してしまったときなど、法律上の損害賠償責任負担が生じた場合の保険です。

あらかじめ指定した金額範囲で、損害賠償額から自己負担金額を引いた額が支払われます

必ずしも「自転車事故による損害」である必要はありません

・ 買い物中に店の物を壊してしまった

・ 飼い犬が他人にケガをさせてしまった

・ 共同住宅での水漏れで階下に被害を出してしまった


など、様々な場面で損害賠償責任が生じた場合に使える保険です。

「自転車保険」以外にも対応可



自転車保険 以外にも対応可

これらは、通常の損害保険と同じ内容です。

・自分の体の保障 → 「障害保険」

・事故相手の保障 → 「個人賠償責任保険」


必ず、お手持ちの損害保険を確認してください。

「自動車保険」や「火災保険」などに加入している場合、同等の保障が特約として組み込まれていることも多いです。

また、

・ 勤務先・学校・PTAなどで加入している団体保険

・ クレジットカードに付帯した保険

・ 共済


なども確認しておきましょう。

傷害保険の注意事項


「障害保険」には、加入者のみが保障対象の「個人型」以外に、「夫婦型」「家族型」など保障範囲が広いタイプがあります。

個人型で加入しているつもりが、家族全員を保障しているかもしれません。

個人賠償責任保険の注意事項


個人賠償責任保険」は、損害賠償額に応じた額が支払われるものです。

重複分は支払われません

例えば、損害賠償額が100万円の場合、個人賠償責任保険契約が3つあったとしても合計300万円にはなりません

また、この保障は「個人」ではなく「家族全体」に適用されます。

例えば、夫の自動車保険の特約として加入していれば、妻も子もカバーされています。

複数契約は保険料の無駄です。

整理しておきましょう。

では、既に何らかの損害保険を持っている場合、「自転車保険」は不要なのでしょうか。

いえ、自転車保険に乗り換えたほうが得な場合もあるのです。

特約や単品契約を上手に組み合わせる



特約や単品契約を上手に組み合わせる

既に「傷害保険」や「個人賠償責任保険」に加入しているからといって、「自転車保険」への新規加入が不要だとは限りません。

自転車を通勤や通学で使うのか、月に数回使うだけなのか、スポーツサイクルを楽しんでいるのかなどそれぞれの使い方や、利用者の年齢によって、「必要な保障・補償」は違って当然です。

自転車保険の中には、次のような特約がつけられるものもあります。

・ 自転車事故でケガをした場合は、保険金・給付金が増額される

・「ヘルメット着用時」の事故の場合に、一時金が追加される


毎日自転車を利用する場合は、当然「自転車に乗っている時間が長く」なります。

万一の事故も、自転車に乗っている間に起こる可能性が高くなるのではないでしょうか。

また、次のような車両保険が追加できるものもあります。

・ 自転車走行中の事故による自転車の破損(全損・半損)した場合

・ 自転車が盗難にあった場合


「ロードバイク・クロスバイク・マウンテンバイク」などの高額なスポーツサイクルに乗っている場合は、検討に値する保険でしょう。

他にも、「損害賠償額無制限」や「事故分金額0」など、補償額の違いも比較しましょう

活用できる保険を選択して無駄な掛け金を排除


損害保険は、生活に密着した保険です。

また、特約や単品契約などで組み替えがしやすい保険でもあります。

手持ちの保険と自転車保険とをしっかり比較して、自分の生活スタイルに合っている組み合わせを選びましょう。

いざというときに使えない保険ほど、無駄なものはありません。(執筆者:仲村 希)

「自転車保険」加入が義務化の地域拡大 誤解と注意事項を知って高額な損害賠償に備える

《仲村 希》

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