水資源をめぐるリニア中央新幹線の有識者会議が紛糾…赤羽国交相がJR東海に苦言

静岡県が示している、水の流れに関する「トンネル掘削により発生する可能性のある現象(リスク)」のモデル図。静岡県では「トンネル掘削による本坑トンネル近傍の表流水、地下水の流れの変化を示したもの」としている。
静岡県が示している、水の流れに関する「トンネル掘削により発生する可能性のある現象(リスク)」のモデル図。静岡県では「トンネル掘削による本坑トンネル近傍の表流水、地下水の流れの変化を示したもの」としている。全 1 枚写真をすべて見る

赤羽一嘉国土交通大臣は5月8日に開かれた定例会見で、リニア中央新幹線の有識者会議におけるJR東海金子慎社長の発言について記者の質問に答えた。

リニア中央新幹線については、静岡工区における大井川水系の水資源問題をめぐり、工事主体のJR東海と静岡県や流域市町村との間で問題解決へ向けたやりとりが続いており、4月27日には国土交通省による「トンネル湧水の全量の大井川表流水への戻し方」「トンネルによる大井川中下流域の地下水の影響」について科学的・工学的な専門性を持った議論を行なうための有識者会議が開かれた。

この席上、金子社長は、環境保全を軽視するつもりはまったくないこと、地域には迷惑をかけず、影響が生じた場合には補償を行なうことなどを改めて明言したが、一方で「あまりに高い要求を課して、それが達成できなければ、中央新幹線の着工も認められないというのは、法律の趣旨に反する扱いなのではないかと考えているものです」とも述べた。

これに対して、有識者会議の趣旨に沿わない発言であるとして静岡側が反発。国交省に対して5月1日付けで「JR東海への抗議及びJR東海社長への適切な対処を求める旨の文書」が提出されたという。

このことについて赤羽大臣は「有識者会議の場には必ずしもそぐわない発言であった」として遺憾の意を示し、5月7日に抗議文をJR東海へ伝えるとともに、鉄道局長から金子社長に対して口頭で注意と指導を行なったことを明らかにした。

また、2回目の有識者会議では、JR東海に対して会議に臨む姿勢についての確認を取るとしており、赤羽大臣は「有識者会議での議論によりまして、水資源と自然環境への影響の回避・軽減を図り、リニア中央新幹線の早期実現、こうしたことを同時に進めていけるように、引き続き、必要な調整また協力等を行ってまいりたいと考えております」と述べた。

これを受けてJR東海側は5月8日、説明責任者として有識者会議が円滑に進むよう真摯に対応するとコメントしたと報道されている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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