【ホンダ フィット 新型試乗】方向性は180度変わったのか?新コンセプトの理由…大谷達也

方向性は180度変わったのか

「次」のコンパクトカーに求められた価値

これまでの日本製コンパクトとはひと味もふた味も異なる

ホンダ フィット 新型(LUXE)
ホンダ フィット 新型(LUXE)全 15 枚

方向性は180度変わったのか

ホンダ フィット 新型(LUXE)ホンダ フィット 新型(LUXE)
2001年に初代が登場して以来、これまで累計269万台を販売した『フィット』。ホンダ自身が「最重要機種」と位置づけるコンパクトハッチバックカーがフルモデルチェンジを受けて4代目に生まれ変わった。

【画像全15枚】

これまでのフィットに対する私の印象といえば、コンパクトなサイズにもかかわらずとにかく室内が広いことと、特別にスポーティモデルと銘打ってあるわけでもないのにワインディングロードでのコーナリングがめっぽう速かったことの2点。そのかわり、街中を低速走行したときの乗り心地はやや硬めでとりたてて快適とはいえなかった。

ところが、新型のキャッチフレーズは「人がココチいいなら、クルマは嬉しい」というもの。これまでとは方向性が180度変わったように思えるが、これには理由があった。

「次」のコンパクトカーに求められた価値

ホンダ フィット 新型(LUXE)ホンダ フィット 新型(LUXE)
かつてコンパクトカーに求められていたもっとも重要な価値は、室内が広々として燃費がいいこと。初期のフィットはこれらを徹底的に突き詰めたコンパクトカーだった。しかし、ライバル車も含めてコンパクトカーの実力が次第に向上。求められる価値は「コンパクトカーらしからぬスタイリッシュなデザイン」などの付加価値へと変化していった。

では、この次に求められる価値はなにか? ホンダの技術陣はそれが「心地よさ」になると予想した。だからといって室内の広さや燃費のよさを蔑ろにするわけではない。これまでのフィットの魅力は維持しつつ、そのうえで「心地よさ」を盛り込む。これが新型フィットの重要な開発テーマとなったのである。

試乗したのはハイブリッドの「LUXE」と呼ばれる上級グレードだ。

運転席に腰掛けると、その広々とした視界に驚く。Aピラーを極限まで細くし、そのすぐ後方に大きな荷重を支えるもう“ひとつのAピラー”を設けたおかげだ。低く上面が水平なダッシュボードも広々とした印象を強調している。

これまでの日本製コンパクトとはひと味もふた味も異なる

ホンダ フィット 新型(LUXE)ホンダ フィット 新型(LUXE)
ホンダの最新2モーター・ハイブリッド「e:HEV」は、基本はモーターが駆動力を生み出すシリーズ式ハイブリッド。同じシリーズ式でも、高負荷時にエンジンが駆動輪と機械的に直結される点が日産の「e-POWER」との違いだが、低速域ではほぼ100%、電気の力だけで走る。したがってクルマの動き出しはスムーズ。

その後の加速感も滑らかで、通常のエンジン車にくらべてはるかに上質なクルマに乗っているような印象を抱く。しかも、遮音が良好なためか、エンジンが始動してからも騒音レベルはほとんど変わらない。この辺の完成度は極めて高いといえる。

乗り心地も実に上質だ。微低速域ではかすかにタイヤの硬さが感じられるが、スピードを上げればそれも消え、しなやかでありながらフラット感の強い乗り心地が味わえる。サスペンションのフリクションを低め、上質なダンパーを採用した恩恵と推測される。

インテリアの質感は上々。しかも走りの質がぐんと向上したことで、これまでの日本製コンパクトカーとはひと味もふた味も異なる魅力的な製品に仕上がった。4代目フィットもまたヒット作となるだろう。

ホンダ フィット 新型ホンダ フィット 新型

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

大谷達也|自動車ライター
元電気系エンジニアという経歴を持つせいか、最近は次世代エコカーとスーパースポーツカーという両極端なクルマを取材す ることが多い。いっぽうで「正確な知識に基づき、難しい話を平易な言葉で説明する」が執筆活動のテーマでもある。以前はCAR GRAPHIC編集部に20年間勤務し、副編集長を務めた。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本モータースポーツ記者会会長。

《大谷達也》

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