【川崎大輔の流通大陸】ウィズコロナ、自動車業界の重点措置

イノベーション的アフターサービスの思考
イノベーション的アフターサービスの思考全 2 枚

コロナショックが去り、その後はウィズコロナの時代に入る。ウィズコロナ、それは、感染に気をつけて生きるのが当たり前の社会ということだ。コロナとともに生きるウィズコロナ、そのような中で、自動車産業が生き残るための3つの重点措置について説明する。

オンラインの導入

オンラインとオフラインの役割オンラインとオフラインの役割

ウィズコロナの時代において、ビジネスで早期に必ず取り入ればならないこと、それはオンライン化である。1つ目の重点措置とは「オンラインによるマーケティングと接客」となる。

オンラインマーケティングを強化し、消費者の囲い込みを行うことが不可欠だ。デジタル化による顧客管理の水準を引き上げることで、最終的に販売成約率を高めて、コロナとともに生きていく体制を整えられるか。これが生き残りにつながる。

ウィズコロナの中で、消費者マインドが回復したタイミングを見計らって、消費者の購入ニーズを引き出すことがある。それにはオンラインマーケティンの活用が効果的だ。既に新車・中古車販売に関してインターネットを活用しているところもある。自社の状況を確認しながら改善をすぐに実行してほしい。実車を全く見ないで自動車の購入を決められるオンライン完結型を最終的に目指すことが重要だ。

改善点の例としては、まずウェブ活用の改善だ。商品の訴求(写真枚数、コメント附帯を増やす)、オンラインでの接客(コミュニケーション回数を増やし、ユーザーアクションへの対応を早くする)となる。またプライシングの改善(納期の長期化を防ぐ対策、中古の買い取りであれば出口を基準にした下取り価格へ転換)に着。更にユーザーの商圏拡大(圏外ユーザー向けの新たな仕組み構築、圏外ユーザーをメンテナンスパックで囲い込む仕組み)を行う。オンラインでは集客手段だけでなく、接客領域での活用ウェイトを増やすような意識改革が重要となる。

自動車は消耗品ではなく、オフラインによる対面で実際に車に触れて、試乗体験が必要になることも多い。そこでオンラインとオフラインの区分けを行う。区分けのポイントは購入者である消費者の視点と、ディーラーの視点によって区分けされる。

消費者の視点とは自動車を選ぶのを楽しみたいが、それ以外はスピーディに進めたい。ディーラーの視点としては、人材不足、生産性向上と鑑(かんが)みて、活動の集中及び効率化を進めたい。今後、オンラインとオフラインの役割分担の変化が生まれることになる。

また、メーカー自身もオンラインマーケティングの目的とターゲットを明確にて、消費者へ自社ブランドの興味を惹(ひ)きつけることで潜在的顧客の掘り起こしを行わなければならない。価値観が変化し、消費マインドが低下する中でディーラーに実際に足を運ぶ仕込みを整備して積極的な販売サポートを行うことが不可欠となる。

特にこれからは、動画コンテンツが重要となってくる。メーカーもディーラーも、そして自動車整備、鈑金塗装であっても、文字と動画では情報量が5000倍。また記憶は2倍強く残る。消費者は急速に動画メディアに軸足を移している。自動車業界で生き残るためにはこのトレンドを理解して自社のオンラインによる動画コンテンツの運営能力を高め、それらのコンテンツの運用を通じて潜在顧客獲得への基盤を固める。そうすることでディーラー店舗、整備工場への顧客の流れを増やせる。

潜在顧客へのアプローチと消費者の囲い込み

ウィズコロナの時代には、潜在顧客を取り込み、そして見込み顧客へとランクアップへ主戦場が移行する。今までは一定の保有顧客がいれば毎年車検到来のタイミングで見込み発掘が可能であった。今後、自動車保有台数が減少する中において、どのように潜在顧客を取り込み、見込み顧客へアップさせるかが生き残りのポイントとなる。つまり2つ目の重点措置は「潜在顧客へのアプローチと消費者の囲い込み」となる。

潜在顧客とは、イベントに参加した新規ユーザーや、アプローチ仕切れていないユーザー(疎遠客・引き継ぎ客)、保険の意加入しておりそれ以外はフォローしていない、カタログのみの顧客、SNSフォローワーなどだ。このような潜在顧客を、オンラインで囲い込みをすることがウィズコロナ時代の唯一の対策となる。

イノベーション的アフターサービスの実現

ウィズコロナの時代においては、オンライン及びリモートが不可欠となることは1つ目の重点措置で既にのべた。それらを、営業・マーケティングだけでなく、アフターサービスにまで広げ、今までにない体制を早急に進めていく、これが3つ目の重点措置「イノベーション的アフターサービスの実現」だ。

メーカーとディーラー、そして整備・鈑金塗装工場は、リアルタイムによる自動車在庫管理、更には自動車部品の在庫管理が必要だ。リモート勤務、オンライン勤務の推進、顧客のデジタル管理、オンラインコミュニケーション、また、掃除消毒サービスの提供により衛生で安全な車環境の提供により消費者が安心できるアフターサービスが必要となる。特に顧客とのリアルタイムでのオンラインコミュニケーションを取りながらアフターサービスを提供していく体制を整備することが重要となる。

アメリカのウォルマートのBOPISが取り入れている「非接触ショッピング」のような非接触車検・整備などの考え方のシステム構築が有効だ。

BOPISとは「Buy Online Pick-up In Store」の略で、オンラインで購入した商品を配送で受け取るのではなく、最寄り店舗に自ら取りに行く形態のことをいう。受け取りのために家にいる必要がなく、実物を見た上で持ち帰ることができるため、メリットがある手法。またオンラインでつながっている顧客と接する場としてポップアップストアを活用することで、より高い出店効果をだせている。自動車整備や鈑金のBOPISの活用はイノベーション的アフターサービスとなる。

ウィズコロナの波に対する対応方法

対応方法には「オペレーション」と「財務と資金の流動性」の2つのポイントを忘れないことだ。オペレーションとは、店舗オペレーションの見直し、代替的な仕入れルート確保、イノベーション的アフターサービス、などだ。状況で伝えた3つの重点措置への対応を柔軟なオペレーション構築で素早く実現していく。

更に、困難な事業資金の手当を早めにしておくこと。販売が落ち込むウィズコロナの時代において、アフターサービスの強化は不可欠だ。財務状況の悪化を防ぐためには、整備、修理、メンテナンス、任意自動車保険などの収益で販売の大幅落ち込みをしっかりカバーしていくことが必要になる。

キャッシュフロー予測の強化を行っていくためにオンラインによってリアルタイムの状況を確認、定量的リスク分析、定性的リスク分析の識別を行う。3カ月以上の運転資金を確保して経営に臨む。

経済危機に、同じ業種でもダメージを多く受ける企業とは、基礎疾患を抱えた企業だ。つまり生産性が低い企業、財務体質の悪い企業だ。政府のコロナ緊急融資、セーフティーネットの借り入れ支援、各種補助金、公租公課の減免措置など、少しでも資金繰りにプラスになるのであれば、臆面もなく取りに行き、資金ショートを防ぐ。いつまで続くかわからない危機的局面においては積極的に取り活用していきたい。

<川崎大輔 プロフィール>
大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより「日本とアジアの架け橋代行人」として、合同会社アセアンプラスコンサルティング にてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。17年に設立した株式会社アセアンカービジネスキャリアでは、ベトナムからの自動車整備エンジニアを日本の自動車関連企業に紹介する外国人紹介を行う。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。

《川崎 大輔》

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