フェラーリ初のPHVスーパーカー、短編映画に起用…『ル・グラン・ランデヴー』は6月公開へ

PHVシステム全体で1000hpのパワー

F1のノウハウをエアロダイナミクスに導入

フェラーリ初のデジタルコックピット

F1ドライバーを起用しモナコ市街地を封鎖して撮影

フェラーリ SF90 ストラダーレ を起用した短編映画『ル・グラン・ランデヴー』の撮影の様子
フェラーリ SF90 ストラダーレ を起用した短編映画『ル・グラン・ランデヴー』の撮影の様子全 12 枚

フェラーリは5月24日、同社初のプラグインハイブリッド(PHV)スーパーカーの『SF90ストラダーレ』(Ferrari SF90 Stradale)を起用した短編映画、『ル・グラン・ランデヴー』(LE GRAND RENDEZ-VOUS)を、6月13日に公開すると発表した。

SF90ストラダーレの「90」は、フェラーリ創立90周年を意味する。SF90ストラダーレは、フェラーリのラインナップの最高峰に位置し、パワートレインは、フェラーリ初のPHVとなる。

PHVシステム全体で1000hpのパワー

PHVパワートレインは、エンジンに3個の電動モーターを組み合わせたものだ。3個のモーターのうちの2個は、フロントアクスルの左右に独立して配置される。残る1個は、ミッドシップのエンジンとギアボックスの間にレイアウトされる。

排気量を3902ccから3990ccに拡大した直噴V型8気筒ガソリンターボエンジンは、最大出力780hp/7500rpm、最大トルク81.6kgm/6000rpmを発生する。3個のモーターは、最大出力220hpを獲得。エンジンとモーターを合わせたPHVシステム全体では、1000hpのパワーを引き出す。

乾燥重量は1570kg。トランスミッションは8速デュアルクラッチ「F1」で、駆動方式は4WDだ。SF90ストラダーレは、0~100km/h加速2.5秒、最高速340km/hのパフォーマンスを実現している。バッテリー(二次電池)は、蓄電容量7.9kWh。「eDrive」モードでは、最大25kmをゼロエミッション走行できる。このEVモード時の最高速は、135km/hとした。フェラーリ SF90 ストラダーレ を起用した短編映画『ル・グラン・ランデヴー』の撮影の様子フェラーリ SF90 ストラダーレ を起用した短編映画『ル・グラン・ランデヴー』の撮影の様子

F1のノウハウをエアロダイナミクスに導入

SF90ストラダーレでは、F1のノウハウを導入して、エアロダイナミクス性能を追求する。後部のダウンフォースをバランスさせるために、車体前方には「ボルテックスジェネレータ」を採用した。シャシーの前部は、ボルテックスジェネレータが配置されている中央部分に比べて15mm引き上げられ、取り込む空気の量とそれによる効果を強化している。

フロントバンパーは2分割で、それぞれがウィングとして機能する。上部とボンネットの間には明確な凹みがあり、気流を局所的に圧縮。この部分は、フロントホイール前方の2つのディフューザーとともに機能し、フロントアクスルへのダウンフォースの発生に貢献する。

ミッドシップのエンジンカバーは、車体の上下の気流による後部での干渉を改善してドラッグを最小限に抑えるために、低く抑えられた。エンジンカバーの後端部には、2つの吊り下げ式エレメントが装備される。ひとつは固定されており、3つ目のブレーキライトが組み込まれた。もうひとつは、フェラーリが特許を取得した前方がウエッジシェイプの可動コンポーネントだ。

これは、「シャットオフ・ガーニー」と呼ばれ、都市部や最高速での走行時には、2つの部分がエンジンカバーの上に揃えて吊り下げられ、可動ウェッジが固定エレメントへの効率的なフェアリングとして機能し、シャットオフ・ガーニーの上下に空気を流す。コーナーでの走行、ブレーキング、急激な方向転換など、大きなダウンフォース条件では、可動エレメントが一対の電動アクチュエータによって下降し、下側の吹き出し部分を閉じ、固定エレメントを露出させる。

ヘッドライトは、L字型のフォルムはそのままに、内側をブレーキエアインテークと統合し、特長的なC字型となった細いスリットデザインとした。また、フェラーリ初となるマトリックスLEDヘッドランプ技術によるアクティブビームコントロールが、視界を向上。テールライトは、フェラーリ伝統の丸形を採用していない。横に長い輪がテールライトに水平イメージをもたらし、車両のテールの高さを視覚的に低く見せているという。フェラーリ SF90 ストラダーレ を起用した短編映画『ル・グラン・ランデヴー』の撮影の様子フェラーリ SF90 ストラダーレ を起用した短編映画『ル・グラン・ランデヴー』の撮影の様子

フェラーリ初のデジタルコックピット

SF90ストラダーレでは、フェラーリとして初めて、デジタルコックピットを採用した。中央のインストルメントクラスターは、ひとつの16インチデジタルHD画面となっており、視認性を高めるために、ドライバーに向かって湾曲したデザインだ。エンジンとモーターがオフ状態となると、インストルメントは黒に変わる。フェラーリの伝統に従って、画面の中央には、大きな円形レブカウンターが配置された。レブカウンターの両端には、ナビゲーション画面とオーディオコントロールが設置されている。

新しいタッチコントロールを導入した。右スポークのパッドは、センタークラスター画面用だ。左スポークには、音声とクルーズコントロールの操作システムが配置される。クルーズコントロール用の回転式スイッチは、F1から直接導入されたものだ。

また、ステアリングホイールに装備されたエレクトロニック・ビークルダイナミクス・モードセレクター、「eManettino」(eマネッティーノ)で、ドライバーは、4つの異なるパワーユニット制御モードが選択できる。

F1ドライバーを起用しモナコ市街地を封鎖して撮影

フェラーリは、このSF90ストラダーレをフィーチャーした短編映画、『ル・グラン・ランデヴー』を、6月13日に公開する。フェラーリのF1ドライバー、シャルル・ルクレール選手が、SF90ストラダーレに乗り、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の影響で中止されたF1モナコGPの舞台をドライブする。モナコでは現在、新型コロナウイルスによるロックダウンが解除されたため、撮影が可能になったという。

この短編映画は、1976年に公開された映画『C'etait Un Rendez-Vous』からインスピレーションを得ている。フランス人のクロード・ルルーシュ監督が手がけた同作品には、フェラーリ『275 GTB』が登場していた。今回の『ル・グラン・ランデヴー』では、クロード・ルルーシュ監督が、再び撮影を指揮している。

撮影は、0~100km/h加速2.5秒、最高速340km/hのSF90ストラダーレの性能を引き出すために、モナコの市街地を封鎖して行われた。モナコ公国のアルベール2世も、この短編映画に出演しているという。

《森脇稔》

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