新型コロナで日本でも再熱「なぜ、今ドライブインシアターなのか」…Do it Theater(ハッチ シアタープロデュース事業部)代表 伊藤大地氏[インタビュー]

Do it Theater(株式会社ハッチ シアタープロデュース事業部)代表の伊藤大地氏
Do it Theater(株式会社ハッチ シアタープロデュース事業部)代表の伊藤大地氏全 4 枚

新型コロナウィルス渦で、クルマの中で映画を見るドライブインシアターが日本でも注目されている。ドライブインシアターのプロデュースのプランニング、ソリューション提案、クリエイティブ、デザイン、制作・運営までを一気通貫して行うDo it Theater(株式会社ハッチ シアタープロデュース事業部)代表の伊藤大地氏に聞いた。

伊藤氏は、6月26日開催のオンラインセミナー【With/Afterコロナ時代のクルマ活用~「クルマ×エンタメ」の可能性~】に登壇する

ドライブシアターで”新たなイベントのあり方”を問いたい

---:2020年4月上旬に「今こそ、ドライブインシアターをつくろう。ドライブインシアター2020」のステートメントをSNSで発信され、問合せが4月上旬から5月末までに普段の10倍以上の約200件あったようですね。どのようなお気持ちで、発信されたのでしょうか。

伊藤氏:ドライブインシアターは、新型コロナウィルスの影響で、アメリカ、ドイツ、韓国など、ドライブインシアターが常設をしている国を中心に世界で、再熱しています。3密を防ぎ、家族と共にリアル体験ができるエンターテイメントだからです。

しかし、私たちは、ただ単にドライブインシアターを普及させいたいという思いだけで、ステートメントを発信したわけではありません。新型コロナウィルスにより、私たちは普段当たり前にそこにあった日常生活ですら、一瞬にして消えてしまうことを、身をもって経験しました。そして瞬間性の高いものや地に足のついていないものが、いかに脆いものかを実感しました。

ハッチは事業プロデュース会社で、広告のプロモーションの制作プロデュース、イベントプロデュースの企画や制作を手掛けています。私は、ハッチのシアタープロデュース部Do it Theaterでエンターテイメントやイベントの企画運営に携わっています。イベントは瞬間性が非常に高く、新型コロナの影響を強く受けたのではないかと感じています。したがって、これからのイベントは、持続的に続けるかたちを作っていく必要があると思います。そのため、自分たちが楽しむだけではなく、世の中に還元する仕組みを瞬間性が高いイベントが持つと、新たなエンターテイメントがいけるのではないか。それをドライブインシアターでチャレンジしようとしています。

エンターテイメントを続けること、続けた先に既存のエンターテイメントに還元したい。お客様にお支払い頂くチケット料金の1部から、映画館やエンターテイメント活動に寄付をして、これまであったエンターテイメントが無くなってしまわないように活動しています。

---:「クルマに乗って映画鑑賞をしよう!」だけではなく、新たなエンターテイメントやイベントのあり方を問う姿勢に共感できます。新型コロナの影響で公共交通は大きなダメージを受けました。大手を振って、クルマに乗ろうとクルマ一人勝ちのメッセージを打ち出しても共感されないでしょう。今後のクルマとそのイベントのあり方を考える上でもヒントになると思います。

企画から運営まで一気通貫

---:Do it Theaterのドライブインシアターとは?

伊藤氏:私とドライブインシアターとの出会いは、12~13歳の中学生の頃でした。アメリカ映画「グリース」などで、アメ車が大きなスクリーンに並んでいて見たことないカッコイイ光景に衝撃を受けました。その原体験がきっかけとなり、26歳の時に社内事業としてドライブインシアターを事業化することができました。ドライブインシアターの魅力の1つは「クルマというプライベートな空間で、食事や音量など自分たちの心地よい環境でありながら、1つのシアターに向かってまわりの人と同じ場で映画鑑賞をたのしむことができる」ことだと感じています。

Do it Theaterは2014年より、シアターを特別な体験ができる時間や空間と捉え、それをプロデュースする事業を行っています。そして、クルマを使ったドライブシアターに加えて、クルマを使わないオープンシアターも展開しています。

Do it Theaterの特徴は、プロデュースのプランニング、ソリューション提案。クリエイティブ、デザイン、制作・運営まで、一気通貫している点です。見知らぬ人同士が一体になれるように、映画のテーマに合わせて、映画の上映前に演劇を上映します。また、フードもフードディレクターにより、ディレクトされた映画のテーマと関係したフードをキッチンカーで提供しています。

---:まるで、テーマパークの一部から抜け出してきたような演出ですね。これまでの実績は?

2014年からドライブインシアターは12回、オープンシアターは20回開催しました。その中には、自動車メーカーやレンタカーなど自動車関連の企業様との連携もたくさんあります。

地域創生やエリアマネジメントの観点から、ディベロッパー、商業施設からの依頼が多く、ドライブシアターはクルマと関係しているためメーカーやレンタカーとの連携の実績があります。

費用負担の方法は様々です。住民向けの場合は、ディベロッパーが費用を負担し、参加費無料とした場合もあります。ファッション雑誌からの依頼では参加費有料で実施しました。またクラウドファンディングで、1口5,000円以上を出資した人には、クルマ1台分のスペースを提供する方法もとりました。

---:クラウドファンディングで支払う方法は、ユニークですね。

メーカーやレンタカーとの取組み実績、若者とクルマの接点づくりに

---:自動車関連会社との事業をご紹介ください

伊藤氏:2014年に開催した、Do it Theaterの第1回目のドライブインシアター浜松では、トヨタレンタカーがレンタカーに乗ってもらう機会を提供しようと協力して下さいました。また、愛知県の豊田市が「とよたアニメシネマフェスティバル2017」を企画し、トヨタ自動車がPHVで会場の電力をまかなったドライブシアターを開催しました。

そして、BMWのMINIのイベントでもご活用いただきました。また音楽エンタテインメント企業のスペースシャワーミュージックが、プロモーションにドライブインシアターを使って下さり、ホンダのヴェゼルとコラボしました。

会場での映画鑑賞だけでなく、クルマでの往復のひとときも、期待・余韻に浸っていただく、そんな体験の設計を心がけています。ドライブシアターはクルマの運転免許証を持ってない人にでも、クルマの良さを訴求できる体験ツールになるのではないでしょうか。

---:地方では、クルマを楽しむ文化を育んだり、顧客コミュニケーションにも活用できそうですね。

伊藤氏が登壇するオンラインセミナーは【With/Afterコロナ時代のクルマ活用~「クルマ×エンタメ」の可能性~】

《楠田悦子》

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