【F1】日本、アゼルバイジャン、シンガポールの各GPが中止に…日本での開催なしは34年ぶり

2019年のF1日本GP(鈴鹿サーキット)。
2019年のF1日本GP(鈴鹿サーキット)。全 6 枚

12日、鈴鹿サーキットを運営する「モビリティランド」は、今年10月に同サーキットで開催が予定されていたF1日本GPの中止を発表した。また、アゼルバイジャンGPとシンガポールGPの今季開催中止も決まっている。

開催予定時期(10月9~11日)から4カ月前の時点で、F1日本GPの中止が決定された。新型コロナウイルス問題が原因であることは言うまでもないが、やはり国際イベントとしての性格から、早い段階での“決断”が必要だったものと考えられる。

株式会社モビリティランド代表取締役社長 田中薫氏のコメント
「F1日本GPについて、開催を目指し準備を進めておりましたが、国内外における今後の状況変化や、渡航規制の解除が見通せない状況のなか、安心・安全な環境で開催するための準備期間も考慮し、やむなく中止の判断をいたしました」

「2021年のF1日本GPをより一層お楽しみいただけるよう、準備を進めてまいります。(今年の)来場を楽しみにされていたファンのみなさま、関係者のみなさまにおかれましては、ご理解くださいますようお願いいたします」

今季2020年のF1は現段階で7月~9月上旬に欧州で第1~8戦を実施する予定。原則無観客での開催になることが見込まれている。その後のカレンダーは未発表だが、青写真としてはアジア~アメリカ大陸をまわり、中東で閉幕するような流れが示されてもいる。また、可能ならばやがては観客を入れるようにしていきたい意向だ。

参戦チームの本拠の多くが欧州にあるなど、やはりF1界にとっては欧州が“地元”。それを考えると、日本を含む“遠征レース”に関しては田中社長のコメントにもあるように、選手、チームスタッフ、関係者らのコロナ禍における渡航に関しての障壁の高さが(距離だけによるものとも言えないながら)どうしても問題になってくる。状況悪化による開催ドタキャンのリスク増大にもつながるので、安定的なレース開催遂行でテレビ放映権による収入の確保を目指したいF1側としては現状、どうしても遠征には及び腰になるところがあるのかもしれない(欧州内の方が開催の確度は高いだろう)。

また、莫大な移動コスト等を費やして遠隔地で開催を実現しても、それが無観客では遠征する側、受け入れる側ともにあまり意味が…と考えるのが、外野の目線ながら興行としては妥当かつ自然。もちろんF1の場合は開催権等に絡む複雑な問題も多々存在するので、一概に遠征無観客開催は現実味が低いとも言い切れない面はあると思うが、今年10月の時点である程度以上の観客を鈴鹿サーキットに入れられる見通しが依然として立ちにくいなかでF1側も鈴鹿側も今回の判断に落ち着いた、そういう見方もできるのではないか。

この日、F1公式サイトでは日本GPのみならず、アゼルバイジャンGP(当初予定6月5~7日=延期扱いだった)とシンガポールGP(9月18~20日)もコロナ禍によって今季開催中止が決まったと発表されている。

アゼルバイジャンという国は考え方等によって欧州にもアジアにも含められる面があると思うが、アゼルバイジャンGPがかつてはヨーロッパGPの名だったこともあるくらいで、欧州ともいえるだろうし、少なくとも比較的欧州に近い地理的条件を有するとはいえよう。ただ、市街地コースでの開催であることが設営等様々な面でコロナ禍の開催ネックになったようだ。シンガポールGPも市街地コース戦である(こちらは距離的にも欧州から遠い)。

現状では9月半ば以降も今季のF1は(各種の条件が比較的良い)欧州~中東を中心にしてなるべく多くのラウンドを重ねていくのが基本線、そして状況が改善してくれば可能な範囲で“世界巡回”を挟みこむことも視野に入ってくる、そんなふうに予想されるところだ。遠征レース実現のカギは渡航規制緩和と“有観客化”だろう。

日本でのF1公式戦開催は1976年に富士スピードウェイで実施された「F1世界選手権 IN ジャパン」が最初で、翌77年にも富士で「F1日本GP」が開催された(76年は国内レースとの絡みで日本GPを名乗れず)。1987年に鈴鹿サーキットでF1日本GPが復活(鈴鹿初開催)して以降、同GPは毎年実施されてきている(2007~08年は富士開催、他の年は全て鈴鹿)。1994~95年にはTIサーキット英田(現・岡山国際サーキット)で「F1パシフィックGP」もあり、当時は日本で年間2回、F1が開催された。

日本におけるF1公式戦の「年間1開催以上」は33年連続でストップ。今年2020年は1986年以来、34年ぶりに日本でF1公式戦の開催がないシーズンということになる。

《遠藤俊幸》

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