[外部パワーアンプ]4chアンプを用いてフロントスピーカーを“バイアンプ接続”で鳴らす!

“バイアンプ接続”が可能なパッシブクロスオーバーネットワークを付属したスピーカーの一例(ダイヤトーン)。
“バイアンプ接続”が可能なパッシブクロスオーバーネットワークを付属したスピーカーの一例(ダイヤトーン)。全 2 枚

カーオーディオシステムに「外部パワーアンプ」を組み入れることの楽しさを多角的に解説している当特集。第7回目となる当回では「4chパワーアンプ」を用いてフロントスピーカーを“バイアンプ接続”で鳴らすというシステムの構築術について説明していく。

スピーカーに付属しているパッシブが“バイアンプ接続”に対応していたら…。

前回までは、「4chパワーアンプ」に備えられている4ch分の出力を使って、フロントスピーカーとサブウーファーの両方を鳴らすシステムについて解説した。対して今回は、「4chパワーアンプ」の4ch分の出力すべてを使ってフロントスピーカーを鳴らすというシステムの構築方法と、それを実践することの楽しさを紹介していく。

ところで「プロセッサー」を用いてもそれを実行できるのだが、今回は「プロセッサー」を用いない方法をクローズアップする。その方法が“バイアンプ接続”というわけなのだ。

では最初に、“バイアンプ接続”とは何か、から解説していこう。なおこれを行うためには、1つの前提条件が整っていなければならない。それは「使用しているスピーカーに付属しているパッシブクロスオーバーネットワーク(以下、パッシブ)が“バイアンプ接続”に対応していること」だ。

なお一般的なパッシブは、入力端子は1系統しか備えられていない。そこにフルレンジの音楽信号を入力し、パッシブ内で信号が高音と中低音とに分けられる。そして高音がツイーターへと中低音がミッドウーファーへと出力される。

対して“バイアンプ接続”が可能なパッシブには、入力端子が2系統備えられている。つまり、ツイーターとミッドウーファーのそれぞれに専用の入力端子が設定されているのだ。そしてツイーター用の端子から入力されたフルレンジの音楽信号はパッシブ内で中低域がカットされた後ツイーターに出力され、ミッドウーファー用の端子から入力されたフルレンジの音楽信号はパッシブ内で高音がカットされた後ミッドウーファーに出力されることとなる。

「4chパワーアンプ」をより贅沢に使える。結果、音が良くなる!

さて、パッシブが“バイアンプ接続”に対応していると以下のようなシステムレイアウトの構築が可能となる。「4chパワーアンプ」のフロントRch出力を右スピーカー用のパッシブのミッドウーファー用入力端子に、フロントLch出力を左スピーカー用のパッシブのミッドウーファー用入力端子にそれぞれ接続する。そしてリア用の左右出力を、左右のパッシブのツイーター用入力端子へと接続する。

このようにして、「4chパワーアンプ」の全出力をフロントスピーカーにあてがう(1つのスピーカーユニットにパワーアンプの1chずつをあてがう)、というシステムレイアウトが完成できるのだ。

こうすることで、さらなる高音質化が成し遂げられる。そうできる理由は主には2つある。1つは「パッシブ内での信号の流れをシンプル化できるから」だ。ツイーター用の音楽信号とミッドウーファー用の音楽信号が入力する時点から別々となるので、パッシブ内での信号の干渉が起こりにくくなり、干渉による悪影響を受けにくくなる。結果、音質向上が果たされるのだ。

理由の2つ目は、「パワーアンプをより贅沢に使えるから」だ。通常の接続方法では1つのchに割り当てられるスピーカーユニットが2つだったところが、“バイアンプ接続”をすることで1つになるので、パワーをより効率的に使えるようになる。1つの仕事を2人で行うのと4人で行うのとでは効率が格段に変わってくる。それと同じような効果が得られるのだ。

かくして、スピーカーを換えたわけでもないのに、まるで1グレード上のモデルに交換したかのような音質アップが果たされる、というわけなのだ。

“バイアンプ接続”のおかげで、簡易的な“タイムアライメント”機能が高度化する!?

ところで、「4chパワーアンプ」を使って“バイアンプ接続”を実行する際、使用しているメインユニットにとある機能が搭載されていると、このシステムレイアウトのメリットがさらに伸長することとなる。その機能の名前は、「タイムアライメント」だ。

「タイムアライメント」とは、スピーカーの発音タイミングをコントロールできる機能なのだが、一般的なメインユニットに搭載されている「タイムアライメント」では、フロントの左右のスピーカー、そしてリアの左右のスピーカー、これらの発音タイミングが整えられるようになっている。なので、もしもフロントスピーカーがセパレート2ウェイであったとしても、ツイーターとミッドウーファーの個別制御は行えない。セパレート2ウェイスピーカーが用いられる場合には通常、ツイーターとミッドウーファーとが別々の場所に取り付けられることとなるのが、それらを1つのスピーカーとして扱わなければならないからだ。

でも“バイアンプ接続”を実行すると、フロント用chはミッドウーファー専用となりリアchはツイーター専用となる。結果、「タイムアライメント」も各スピーカー1つ1つに対して適用させられるようになる。

そうであると各スピーカーから発せられる音の到達タイミングを厳密に合わせられるので、すべてのスピーカーから等距離の場所にいるかのような状況が作り出せる。ゆえにステレオイメージの再現性が上がり、サウンドステージが一層リアルに表現されるようになるのだ。

もしも愛用のスピーカーのパッシブが“バイアンプ接続”に対応していたら、このような「4chパワーアンプ」の使い方も可能となる。ぜひともお試しを♪

魅惑の“外部パワーアンプ・ワールド”への誘い…。Part7「4chアンプ」を用いてフロントスピーカーを“バイアンプ接続”で鳴らす!

《太田祥三》

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