【INDYCAR 第2戦】スコット・ディクソン、開幕2連勝を達成…実質今季初戦の佐藤琢磨は10位

#9 スコット・ディクソンが開幕2連勝。
#9 スコット・ディクソンが開幕2連勝。全 8 枚

現地4日、2020年NTTインディカー・シリーズ第2戦の決勝レースがインディアナポリス・モーター・スピードウェイのロードコースにて実施され、スコット・ディクソンが開幕2連勝を飾った。“今季初決勝ラン”の佐藤琢磨は10位。

開幕戦からおよそ1カ月、やはり無観客で実施される第2戦の舞台は聖地インディアナポリス・モーター・スピードウェイ(米インディアナ州)、そのロードコースである。インディ500で使用される伝統のビッグオーバルも部分的に走るコースでの戦い、これが今季のインディカー・シリーズにおける最初のロードコース戦ということになる。

例年なら5月末にあるインディ500決勝の半月ほど前に開催されるのがこの“インディ・ロード戦”だが、今年はコロナ禍の影響でインディ500(8月開催予定)とは分離するかたちになった。また、インディ・ロード戦は今季もう1回、10月にも開催される予定となっており、いろいろと異例の要素が多い。なによりも今回、アメリカの独立記念日を含むこのレースウイークはNASCARとの共催イベントになっている。

前日に実施された予選ではウィル・パワー(#12 Team Penske/エンジンはシボレー)がポールポジションを獲得。佐藤琢磨(#30 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)は17位。

80周の決勝レース(路面ドライ)は、燃費的には3回のピットストップが基本線となるが、展開次第ではギリギリ2回でもいけそうなところ。タイヤも含めたそれぞれの戦略と、レース中盤にクラッシュ車両があったために出されたこのレース唯一となるフルコースイエローコーションのタイミングが絡み合うなか、コーション明けあたりから見事な走りでレースを掌握したのが開幕戦ウイナー、過去5度のシリーズタイトル獲得歴を誇るスコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ)であった。

48周目、ディクソンはこの時点でトップを走っていたグレアム・レイホール(#15 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)をパスして今回初めて先頭に躍り出る。その後、自身の最終ピットで順位自体は一旦下がるが、皆がスケジュールピットを終えていくなか、62周目の段階で再び首位に立つと、最後は2位に20秒差をつけるという“予選7位からの後半圧勝劇”を演じて開幕2連勝を飾った。

「ホンダエンジンのパワーは素晴らしかったし、2回目のピットストップのときに施したセッティング変更によって、マシンはとても運転がしやすくなったんだ」とディクソン。実戦の渦中での巧緻なファインチューニングが、レース後半の他車を突き放す走りにつながったようだ。

「開幕から2連勝を記録できるなんて本当にすごいことだと思う。これからも自分たちのするべきことに集中し、レースでのさらなる勝利とチャンピオンシップ獲得を目指して戦っていく」。早くも2年ぶり6回目の頂点を見据えているかのような充実感を醸し出すディクソンである。シリーズは当面、彼を軸に回っていくことになるのかもしれない。

決勝2位は琢磨のチームメイト、2ストップ作戦で戦ったレイホール。3位には予選20位からシモン・パジェノー(#22 Team Penske/シボレー)が入っている。4位にコルトン・ハータ(#88 Andretti Harding Steinbrenner Autosport/ホンダ)、5位は新人のリナス・ビーケイ(#21 Ed Carpenter Racing/シボレー)。

ポール発進のパワーはレース前半、多くの周回でリードラップを記録していたが、フルコースイエロー時のピットストップ以降は中団以降での走行に。そして最終ピット時にストールらしき状況で致命的なタイムロスを喫し、このレースでの最多リードラップ獲得者となりながらもレースリザルトでは20位に終わった。昨季王者のジョセフ・ニューガーデン(#1 Team Penske/シボレー)は7位。

琢磨は序盤に順位を下げる展開となり一時は最後方26番手。レース中盤まではあまり目立つところのない流れだったが、終盤に着々と順位を上げて10位でフィニッシュした。開幕戦は予選でクラッシュがあり決勝に出走できなかったため、今回が実質的な今季初戦だったが、予選順位から7つ上げてのトップ10入りを果たしている。

#30 佐藤琢磨のコメント
「まず、チームメイトのグレアム(レイホール)の2位フィニッシュを祝福したいと思います。彼は今週末、最高の仕事をしてくれました。一方で自分のレースは難しいものとなりました。昨日は駆動系に問題があり、予選ではストレートでコンマ2秒以上のロスをしていましたね。そして、今日のレースでは1周目あたりでサスペンションにトラブルが発生し、後退していくほかありませんでした」

「自分が燃料切れになるタイミングでフルコースコーションが出て、燃料補給だけを行なうピットストップを1度して、ピットがオープンになってからもう1回ピットしなければならない、ということもありました。しかし、最終的には(一時の)最後尾26位から10位まで大きく挽回してのフィニッシュができました」

「ダメージを受けたマシンでしたが、チームが素晴らしい仕事をしてくれた結果だと思います。グレアムが素晴らしい仕事をしてくれたこともあり、チーム全体が前進していると感じています」

序盤からマシンに問題が発生しており、レース展開にも恵まれたとはいえない状況から後半に巻き返してのトップ10フィニッシュ、チームメイトの好走も含め、今後に期待を抱かせる内容の一戦だったといえるだろう。インディカーの7月は超過密日程なだけに、琢磨にはここから上昇気流に乗っていってほしいところだ。

次週はウィスコンシン州エルクハートレイクのロードコース「ロードアメリカ」での第3&4戦ダブルヘッダー(第3戦は現地11日、第4戦は同12日の予定)。このレースウイークは“有観客”で実施される予定になっている。

《遠藤俊幸》

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