【トヨタ ライズ 新型試乗】日本のユーザーが共感を得やすいSUVだ…渡辺陽一郎

トヨタ ライズ
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最近は外観のカッコ良さと実用性の両立により、SUVの売れ行きが好調だ。このカテゴリーの中で、最も登録台数の多い車種が『ライズ』になる。2019年11月に発売され、それ以降は少なくとも6月まで、SUVの月別販売1位を守っている。

運転のしやすさはコンパクトカーと同等かそれ以上

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試乗するとその理由を実感できる。全長が4m以下のボディは最小回転半径も4.9m(16インチタイヤ装着車)に収まり、コンパクトカーと違ってボンネットも少し視野に収まるから、車幅やボディの四隅も分かりやすい。運転のしやすさはコンパクトカーと同等かそれ以上だ。

室内空間も相応に確保され、身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ1つ半だ。広々感はないが、前後方向の余裕はマツダ『CX-30』などと同等だから、大人4名の乗車を妨げない。

価格は中級のG・2WDが189万5000円、4WDは213万3700円だから、『ヤリス』や『フィット』などのコンパクトカーよりも15万円高い程度だ。今は安全装備と環境性能の向上で(もちろん良いことだ)、クルマの価格も上昇傾向にあるため、ライズはちょうど良い選択肢になる。実用性と適度な趣味性を兼ね備え、価格は購入しやすい水準に抑えた。

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応答性は少し曖昧だが、全高が1600mmを超えるSUVとしては優れた走行安定性

試乗すると、直列3気筒1リットルターボエンジンは、ターボのクセを少し意識させる。1800回転以下では過給効果が薄れ、2000~3000回転の常用域でも、アクセルペダルを緩く踏み増すと少し時間差を置いて速度を上昇させる傾向がある。それでも1.4リットル自然吸気エンジンに匹敵する加速力は得ている。同じエンジンを搭載する『ルーミー/タンク』に比べると、ノイズも低減されて違和感を抑えた。

操舵感は、直進状態に戻ろうとする特性がほかの車種よりも少し弱い。感覚的な話だが、ユーザーによっては違和感が生じる。操舵に対する正確性も高いとはいえず、曲がりくねった峠道などを走ると、反応の仕方が少し曖昧だ。

その代わり全高が1600mmを超えるSUVとして、走行安定性は優れた部類に入る。SUVなのに車両重量が970~1050kgと軽いこともあり、下り坂のカーブも安心して曲がれる。この感覚は低重心のコンパクトカーに近い。

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クルマ好きなら17インチがオススメ

乗り心地は低速域を中心に少し硬い。タイヤの指定空気圧は、燃費向上のために前後輪とも240kPaと高めで、これも影響を与えた。タイヤサイズはXとGが16インチ、Zは17インチだ。16インチは柔軟だが、操舵感の曖昧さが気になる。17インチは、硬さが強まる代わりに引き締まり感も伴うため、一長一短といえそうだ。クルマ好きのユーザーには、17インチを推奨したい。

以上のように細かな改善点はあるものの、ライズは日本のユーザーが共感を得やすいSUVだ。今は新車販売台数に占める軽自動車の比率が37%に達するが、ライズのような小型車が増えると、販売面のバランスも良くなるだろう。

トヨタ ライズ Z(17インチ装着車)トヨタ ライズ Z(17インチ装着車)

■5つ星の評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

《渡辺陽一郎》

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