【INDYCAR 第4戦】“ニッポン勢”含む若手躍動の日、ローゼンクヴィスト初優勝…琢磨は前日より1アップの8位

#10 ローゼンクヴィストが初優勝。
#10 ローゼンクヴィストが初優勝。全 8 枚

インディカー・シリーズ第4戦、ロードアメリカでのダブルヘッダー“レース2”が現地12日に実施され、フェリックス・ローゼンクヴィストがインディカー初優勝を飾った。スコット・ディクソンの開幕からの連勝はストップ、佐藤琢磨は前日よりひとつ上げて8位。

米ウィスコンシン州エルクハートレイクのロードコース「ロードアメリカ」を舞台にした今季インディカー最初の有観客イベントは日曜日、レース2(シリーズ第4戦)の予選&決勝実施日を迎えた(路面ドライ)。この日はシリーズ参戦歴がまだ浅いドライバーや、若手の範疇に入る選手たちの活躍が顕著なものとなっていく。そして日本でのレースキャリアのある選手の存在感も光ることに。

ポールポジションはパトリシオ・オワード(#5 Arrow McLaren SP/シボレー)が獲得。彼は2018年のインディライツ王者であり、昨季は一時、日本のスーパーフォーミュラにも参戦したメキシコ出身の21歳だ。

予選2位はコルトン・ハータ(#88 Andretti Harding Steinbrenner Autosport/ホンダ)。こちらは昨季、18歳359日というインディカーの最年少優勝記録をつくるなどしたアメリカンで、現在は20歳。そして予選3位には前日のレース1で決勝3位と活躍したスペイン出身23歳のアレックス・パロウ(#55 Dale Coyne Racing with Team Goh/ホンダ)である。パロウは昨季、日本のスーパーフォーミュラでシリーズ3位に輝いたドライバーだ。

55周の決勝レースはスタート直後にフルコースコーションとなるなど波乱含みの幕開けだったが、ポール発進のオワードはレースをほぼ完全に掌握し、インディカー初優勝に向かって疾駆し続ける。

しかし、最後の土壇場にオワードへと迫りくる者がいた。予選は7位だった昨季のシリーズ新人王(ルーキー・オブ・ザ・イヤー)、フェリックス・ローゼンクヴィスト(#10 Chip Ganassi Racing/ホンダ)である。彼は2017年にスーパーフォーミュラ、翌18年はSUPER GTで活躍しており、やはり“ニッポン勢”のひとりといえる経歴の持ち主(17~18年はトヨタ/レクサスでの参戦)。

1周違いの最終ピットストップを経て、あとは最終スティントのコース上の勝負、となった残り13周の時点では5~6秒の差があったが、ローゼンクヴィストはこれを縮めてきたのだ。残り5周となる頃には3秒を切り、ラスト前の54周目にはドッグファイトとも呼べる状態に突入。この時点での余力(主にタイヤ面)に勝るローゼンクヴィストがオワードを抜いてトップに浮上し、参戦2年目のインディカー初優勝を飾ったのであった。

昨季は新人王に輝きながらも優勝には手が届かず、今季開幕戦でもチーム1-2の2番手だった状況から勝利を狙っていくなかでクラッシュを喫するなどしていたローゼンクヴィスト。参戦2年目での初優勝とはいえ、待望の、という表現が相応しいだろう。

ローゼンクヴィストはチームやスポンサー、ホンダへの感謝を述べつつ、初優勝の喜びをこう語った。

「今日はピットタイミングをずらして、なるべく周囲に誰もいないところを走るよう心がけた。自分たちがレースで実現可能なペースに大きな自信をもっていたからだ。そして、ついに初優勝することができた。本当に楽しいレースだったよ。見ている人たちも楽しんでくれたことと思う。自分の国に楽しいニュースを届けられたことも喜んでいるし、世界が厳しい状況にあるなか、子どもたちにもインディカーにもっと興味をもってもらえたら素晴らしいね」

スウェーデン出身のローゼンクヴィストは28歳。若手と呼ぶにはやや年嵩だが、渡り鳥的に世界のあちこちで光る活躍を見せてきた苦労人的側面ももつ彼が、インディカーという屈指のひのき舞台でも本格的に輝き始めた。

決勝2位はオワード。3位には近年のシリーズ上位常連でインディ500の優勝経験もある実力者、28歳のアレクサンダー・ロッシ(#27 Andretti Autosport/ホンダ)が入った。4位はマーカス・エリクソン(#8 Chip Ganassi Racing/ホンダ)。スウェーデン出身の29歳、F1に定着していた時期もあるエリクソンは2009年全日本F3チャンピオンだ。

決勝5位はハータ。6位にはやはり若手、22歳のサンティノ・フェルッチ(#18 Dale Coyne Racing with Vasser-Sullivan/ホンダ)が入り、7位にパロウ。予選順位より下がったハータやパロウに高い満足感はないだろうが、全体としては若手が躍進した一日であった。日本と縁があるドライバーの活躍もまた、目立つものであったといえよう。

開幕4連勝を狙ったスコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ)は予選6位、決勝12位という成績に終わった。レース途中にはピットでのストールらしきタイムロスシーンもあるなど、今回は若手に気圧されたか、さすがの大ベテランも存在感が薄めだった。なお、ローゼンクヴィストの勝利によってChip Ganassi Racingとホンダは開幕4連勝となっている。

そして前日は1位と3~7位がホンダ勢だった決勝上位結果はこの日、1位&3~8位へと少し“伸長”した。その8位が佐藤琢磨(#30 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)である。予選12位からの戦いで最終的に4ポジションアップしたかたちになり、これで第2戦以降、10位、9位、8位とひとつずつ決勝順位が上がることにもなった。

#30 佐藤琢磨のコメント
「昨晩のうちにセッティングを大きく変更しました。未知の世界に入るのですから、予選はちょっとした賭けになっていたんです。その予選ではソフトコンパウンド(レッドタイヤ)を2セット投入しました。決勝レースに向けて犠牲を払ったかたちですが、そのおかげである程度上位のスターティンググリッドを手にする目的はかないました」

「決勝のスタートでは目の前のマシンたちが大きなクラッシュを起こし、(その影響で自分は)行き場を失って、ここ最近のレースと同じように順位を大きく落としてしまいました。しかし、そこから(今回も)徐々にポジションを上げていくことができ、ピットストップではクルーたちが素晴らしい仕事をしてくれました」

「とはいえ最終的に8位争いだったという点で、まだ自分たちが理想としているレースを戦えているとは言えません。ただ、内容的に決してわるいものではなかったとも思いますし、10位、9位、そして今回は8位と順位がひとつずつ上がってきているので、来週のアイオワではそのトレンドの通りに、さらに上位でのフィニッシュを重ねたいと考えています。思いきりチャレンジします」

過密日程が続く7月のインディカー戦線、次はオーバルのアイオワ・スピードウェイでのレースウイークとなり、現地17~18日、金曜~土曜に第5戦&第6戦が実施される予定だ。

《遠藤俊幸》

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