20万円で船長になれる? 免許も不要、ホンダの空冷2馬力船外機で東京・砂町運河を行く

ホンダの2馬力空冷エンジン船外機「BF2」で東京・砂町運河を行く
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バイクとは逆の左手でスロットルグリップをぐいっとまわし、同じ左手で舵をとりながら海や川を自由に航行できる。「うわっ、これ楽しい!」いま操船している船が、船舶免許も運転免許も要らないうえに、20万円程度で手に入ると知って、真剣に購入を考えてしまう……。

これ、ホンダがつくる船外機のベストセラーモデル、2馬力の船外機シリーズで唯一の空冷エンジンを搭載した『BF2』。船外機のなかで2馬力というと、最も小さいクラス。このミニマム船外機が「いま売れている」ということで、どんなおもしろさがあるか、試してみた。

ホンダの2馬力空冷エンジン船外機「BF2」ホンダの2馬力空冷エンジン船外機「BF2」
乗船してスロットルグリップをまわす前にまず、国内の2馬力船外機について。年間4000台売れているこの小さな船外機は、ホンダのほかヤマハやスズキ、トーハツといったメーカーでシェアを分け、ホンダはそのうちおよそ4割を占める。釣りやレジャー用のボートに適した船外機で、アウトドア人気の高まりなどを受け売上を伸ばしているのだという。

そんな中、今回操船してみたホンダのBF2には、他社にはない「唯一」がある。それは空冷エンジンであること。創業者・本田宗一郎の「水上を走るもの、水を汚すべからず」を信念としてつくり続ける4ストロークエンジン船外機のなかでも、空冷である点が、オンリーワンだ。

13kgで13万円、20万円台から自分の船が持てる

ホンダ「BF2」の重さは13.6kg。片手でも楽に持つことができるホンダ「BF2」の重さは13.6kg。片手でも楽に持つことができる
クラス唯一の空冷エンジンを採用することで、軽量でコンパクトな船外機を実現。取り回しやすい、使い勝手がいい、スタイリッシュという点で国内外で人気を博し、釣り好きやボート好きに支持されているという。

手入れがかんたんという点でもリードしている。たとえば、エンジン内部を海水で冷却する水冷エンジン船外機は、使用後に冷却水経路を真水で洗浄する手間がいる。空冷のBF2は、こうした使用後の洗浄も必要なし。

そして軽い。乾燥重量は13.6kg。片手で持ち上げられるほどの重さで、セダンのトランクにも入るほどコンパクトなのもいい。さらに値段も軽い。Sサイズは税込み13万4200円で、これに今回のようなゴムボート(5万円前後)をつけて20万円ちょっと。

検索してみると、このホンダ2馬力船外機BF2と、ゴムボート、ハイプレッシャーポンプ、ランチングホイール、純正エンジンオイル、5Lポリタンク、船外機スタンドなどがセットで26万円で売っているネットモールもある。そう、船外機そのものもネットで買うことができるのだ。

免許不要、持ち運びらくらく、どこまでも自由だけど……

ホンダの2馬力空冷エンジン船外機「BF2」で東京・砂町運河を行く
エンジン出力が2馬力以下、全長3.3m未満のミニボートは、操船するための免許も、船舶検査を受ける必要もないということで、「小学生でも操船できる」とも言われるが、どのフィールドもルールがある。水上にも守るべき基本ルールがあって、BF2にも基本ルールを記したハンドブックがついている。

水上のルールを体得したあとは、操作手順。船の右舷に座り、左手でスロットルグリップをにぎる。スロットルはバイクなどと同じく、まわすと開く。スロットルグリップをまわす力加減は調節でき、固めに設定すると開いたスロットル位置で戻らず固定してくれるので、手も添えている程度で舵取りに集中して航行できる。

このBF2は、クラス唯一の自動遠心クラッチを搭載。ニュートラルから全開まで、スロットルグリップをぐいっとまわすだけで速度をコントロールできる。

スロットルグリップで操作するスロットルグリップで操作する
舵とりもスロットルを握る左手で。船外機の左右の向きを変えることで、船体が右へ、左へと向いてくれる。グリップを進行方向の左側(奥)へ押し込めば船体は右へ、右側(手前)に引けば船体は左へ、とスタート時には若干とまどうかもしれないが、すぐに体が覚えてくれる。また後退は、船外機のむきを真逆にすることで後ろへと進めることができる。

忘れてはいけないのは、航続時間。このBF2は、「スロットル全開で航行時間は1時間」。予備燃料タンクなどを持ってない場合は、1時間で出発地へと戻ってくるような航路どりを意識しなければならない。彼女を乗せてついつい決め込んでしまい、沖でガス欠に……なんて痛い目には合いたくない。

セダンのトランクに一式収まる「マイボート」

ホンダの2馬力空冷エンジン船外機「BF2」で東京・砂町運河を行く
今回は、東京夢の島マリーナから船を出し、砂町運河を行く。穏やかな水面からか、あっというまにスロットル全開。スロットルを固めにして、左手は舵とりに集中。いつもとは違った水面からの景色が新鮮で楽しい。

「うわ怖っ」という場面も。たとえば中型船とすれ違うと、その船がつくったうねりをまともにうけて、小さな2馬力船は大きく左右に揺れる。このうねりを体感して、「こりゃ海へ出るなんて……」と思ってしまう。まずは、穏やかな川面や湖面、ダムといったボート遊びが許されているところで慣らし航行したほうがいいかも。

そんなヘタレ船長でも、2馬力を操っているときは全力で楽しい。クゥッと鳴きながら寄ってくるカモメにスナック菓子をあげると、曲芸ターンでごはんをキャッチしていく。夢の島橋梁を行く京葉線電車や、首都高9号深川線を、水面からみるビューも新鮮。

ホンダの2馬力空冷エンジン船外機「BF2」で東京・砂町運河を行く
そしてクラス唯一の4ストローク空冷エンジンで、オイルが水面に流れ出ることもないし、2ストのような排ガスも出ない。慣れてくると、2馬力では足りないと思うかもしれない。この2馬力のスローでやさしい走りが、いいと感じる人もいるはずだ。

軽量コンパクトな2馬力船外機は、片付けもかんたん。固定ネジ2つを緩めるだけでゴームボートから外れる。ここでゴムボートから取り外した船外機の持ち運びは慎重に。不意に手をすべらせて、水中に落としてしまうと、取り戻せず海底や水底にさようなら。しっかり陸まで持っていくことに集中を。

エアを抜いたゴムボートをたたんで、そのうえに2馬力船外機をおくようなスタイルでクルマに詰め込めば、セダンのトランクにも収まるから、どこへでも持っていける。

2馬力だからこそ体感できる、水上の自由な世界。3密を避けたアウトドアやキャンプがいま加熱するなか、自分の船を持ちたいというニーズにこたえてくれる船外機に出会えた。

《大野雅人》

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