【INDYCAR 第5戦】最後尾23番手スタートからパジェノーが今季初勝利…琢磨は一時トップランも10位

#22 パジェノーが最後尾発進から今季初優勝。
#22 パジェノーが最後尾発進から今季初優勝。全 8 枚

インディカー・シリーズ第5戦の決勝レースが現地17日、米アイオワ州の「アイオワ・スピードウェイ」で実施され、シモン・パジェノーが最後尾23番手発進から今季初優勝を成し遂げた。佐藤琢磨は途中、トップ走行を長くする場面もあったが最終結果10位。

3週で5レース開催の強行軍も3週目を迎えた。今週はオーバルコースの「アイオワ・スピードウェイ」を舞台にしたダブルヘッダーである。レース1(シリーズ第5戦)は金曜決勝、レース2(シリーズ第6戦)が土曜決勝というスケジュールだ。

今回のダブルヘッダーではユニークな予選方式が採られている。予選は金曜の“1回”のみで、各車が2周連続アタックした1周目のタイムでレース1のグリッドを、2周目のタイムでレース2のグリッドを決めるというもの。予選と同日決勝になるレース1のポールポジションはコナー・デイリー(#59 Carlin/シボレー)が獲得した。彼は今季、複数陣営に跨っての基本参戦形態となっており、これまたユニークといえるだろう。

佐藤琢磨(#30 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)はレース1が予選6位、レース2は予選20位となった。

#22 パジェノーが最後尾発進から今季初優勝。#22 パジェノーが最後尾発進から今季初優勝。

インディカーでは戦略とフルコースイエローコーションの絡み合いで大きく戦局が動くことも珍しくない。特にオーバルコースでは人車の実力さえ充実していれば、展開の助けがそれほど大きくなくとも予選下位からの大逆転は決して不可能でないわけだが、今回のレース1(第5戦)決勝はまさにインディカー、という“実力派による下克上”の展開になる。

レース最終局面、トップを走っているのはマシントラブルで予選を走れず最後尾23番手発進だったシモン・パジェノー(#22 Team Penske/シボレー)である。パジェノーはレース後に「ロングランが良いマシンだということはわかっていた」と語っており、それを実証した格好だ。

アイオワ戦“レース1”の表彰式。アイオワ戦“レース1”の表彰式。

パジェノーを追うのも予選17位だったスコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ)。いずれもチャンピオン経験者にしてインディ500優勝経験者、さすがの実力とレース巧者ぶりというところだが、このトップバトルを逃げ切って制したのはパジェノー。最後方からの“22台抜き”で今季初優勝を飾った。

シボレー勢として今季初白星をゲット、名門ペンスキー(Penske)陣営で今季最初の優勝者ともなった2016年シリーズ王者&2019年インディ500優勝者パジェノーは、「まず(先週の)ロードアメリカ戦からリカバーするためのグループ全体の努力が素晴らしいものだった」としたうえで、「それでも(最後尾からの逆転優勝は)信じられない。レースをしっかり見直す必要があるね。いったいどうやって自分はあそこ(トップ)に到達したのだろうか?」と驚きながら喜ぶ。それほどの大逆転勝利であった。

決勝2位の#9 ディクソン。決勝2位の#9 ディクソン。

明日のレース2に関しても予選順位は23位の扱いだが、連日の“大・下克上”となるか。引き続き注目したい存在のパジェノーだ。

レース1の決勝2位はディクソン。開幕3連勝から1戦挟んだだけでの表彰台圏内復帰、6度目のチャンピオン獲得に向けて着々と歩を進めている印象である。

決勝3位の#7 アスキュー。決勝3位の#7 アスキュー。

3~4位には今季からマクラーレンと既存チームのジョイントによって生まれた新陣営Arrow McLaren SP(エンジンはシボレー)の新進気鋭ふたり、オリバー・アスキュー(#7)とパトリシオ・オワード(#5)が続いた。

5位は昨季王者のジョセフ・ニューガーデン(#1 Team Penske/シボレー)。ちなみにニューガーデン、明日のレース2に関しては予選でポールポジションを獲得している。なお、この日ポール発進だったデイリーは決勝最終結果8位。

決勝4位の#5 オワード。決勝4位の#5 オワード。

琢磨は1回目のピットストップを早めに敢行する作戦を採り、第2スティントの途中からは長くトップを走る場面も。ショートオーバルでの250周レースで49周のリードラップを記録した。ただ、レース後半は戦略と展開がフィットしない流れになり、最終結果は10位だった。

#30 佐藤琢磨のコメント
「厳しいレースでしたが、レースを戦うなかでマシンを良くしていくことができました。トップを走り、(実質的順位としては)トップ5も争えていました。しかし、残念ながら(144~169周目の)フルコースイエローからゴールまでを2スティントに分ける作戦を選んだため、(その後グリーンフラッグの状況下で)ピットインしました。今日、上位でゴールした人たちの多くは、(前述のフルコースイエローが明けて以降はピットインせず)コース上に残ってゴールまで走りきっていましたね」

#30 佐藤琢磨は49周にわたりトップランするが、決勝最終結果は10位。#30 佐藤琢磨は49周にわたりトップランするが、決勝最終結果は10位。

「自分たちは戦略面について見直す必要があります。ただ、レースは展開がどうなるか、誰にも分かりません。今日はピットクルーも頑張ってくれていましたし、多くのいい経験を積むこともできましたので、明日はもっといい戦いができるはずです」

これで4レース連続のトップ10となった琢磨。10位~9位~8位と階段状に上がっていた順位が今回は10位に逆戻りしてしまったが、常に一定の結果を残せる今季の安定感は好印象だ。明日のレース2は予選が20位と良くはないが、この日のパジェノーよろしく、琢磨にも大幅な順位アップを期待したい。

ポール獲得は#59 デイリーだった(決勝は8位)。ポール獲得は#59 デイリーだった(決勝は8位)。

アイオワでの“レース2”、シリーズ第6戦決勝は現地18日に行なわれる。

《遠藤俊幸》

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