「軽スーパーハイトワゴン」にいま求められるクオリティとは…三菱『eKクロス スペース & eKスペース』企画責任者に直撃した

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三菱自動車 eKクロス スペース&eKスペース チーフプロダクトスペシャリストの吉川淳氏(左)と竹岡圭氏
三菱自動車 eKクロス スペース&eKスペース チーフプロダクトスペシャリストの吉川淳氏(左)と竹岡圭氏全 30 枚

今や軽自動車の主流となった「軽スーパーハイトワゴン」。軽自動車規格いっぱいまで拡大したボディが実現する室内の広さや、子育てファミリーに嬉しいスライドドアの採用、取り回しのよさなどから、その人気はますます高まっている。そんな中、三菱自動車が最新の軽スーパーハイトワゴン『eKクロス スペース』『eKスペース』を発売した。

新型『eKスペース』は、人気のスライドドアが約650mmという大開口を実現し、後席の前後スライド量は約320mmとクラス最大(※1)を実現。さらに最新の運転支援機能「マイパイロット」をメーカーオプション(※2)として設定するなど、使い勝手、そして安心をさらに追求して登場した。

もうひとつのトピックが、三菱らしさを前面に押し出したデザインの『eKクロス スペース』だ。『eKスペース』の使い勝手のよさはそのままに、ヒルディセントコントロールの標準装備、樹脂ラゲッジボードやアダプティブLEDヘッドライトのメーカーオプション(※3)など、SUVライクな見た目だけでなくアウトドアや遠出にも嬉しい装備を満載し、個性を強めている。

そんな『eKクロス スペース』『eKスペース』が、どのようにして誕生したのか。そのねらいを企画責任者である吉川淳CPS(チーフプロダクトスペシャリスト)に、モータージャーナリスト竹岡圭さんが直撃した。

※1:軽スーパーハイトワゴンクラス=全高1700mm以上かつ、エンジンをボンネット内に配置した軽自動車。2020年2月三菱自動車調べ。他メーカーにも同じ数値があります。
※2:eKクロス スペース/eKスペース G、Tにパッケージオプション
※3:eKクロス スペース G、Tにパッケージオプション

今、軽スーパーハイトワゴンに求められるもの

三菱自動車 eKクロス スペース&eKスペース チーフプロダクトスペシャリストの吉川淳氏(左)と竹岡圭氏三菱自動車 eKクロス スペース&eKスペース チーフプロダクトスペシャリストの吉川淳氏(左)と竹岡圭氏
竹岡圭(以下、竹岡):吉川さんとは『eKクロス/eKワゴン』のときから色々なところでご一緒させていただいていますね。今回は「軽スーパーハイトワゴン」ですが、もともと三菱はすごく昔から軽スーパーハイトワゴンを作っているパイオニアじゃないですか。やっぱり意気込みは相当あるんじゃないですか?

吉川淳CPS(以下、吉川):『トッポ』(ミニカトッポ、1990年)からですね。最初は、こんなにスペースが要るのかなと思いましたけど、あれがおかげさまでヒットして、その後、すごく広い軽自動車というのが、予想を超える速さでお客様に受け入れられるようになりました。今では、軽ハイトワゴンよりも軽スーパーハイトワゴンの方が市場が大きくなってきていて、他社さんのエース級の車がひしめいているクラスですから、その分、非常に気合が入ります。

竹岡:軽スーパーハイトワゴンに求められるものが変わってきていると感じますか?

吉川:一世代~二世代前の軽スーパーハイトワゴンは単純に「ものすごく広い」というのが価値でした。ですが、その広さの中でもだんだんと使われ方が変わってきていると感じています。以前は、「お子様が立ったまま乗り降りできます」とか、「着替えができます」というのが売り文句になりましたが、お子様以外の乗員も広さを感じたい、荷物もいっぱい載せたい、快適に乗りたい…というように様々な要望が出てくるようになりました。

また、使い勝手も色々と良くなってきたこともあって、昔は「軽自動車といえばセカンドカー」というイメージがあったと思いますが、今では「軽自動車をファーストカー」として選んでいただけるようになりました。

竹岡:いわゆる「普段の足」だったのがファーストカーになって、軽自動車の中でファーストカーとして選ぶんだったら軽スーパーハイトワゴン、みたいな人が多いんですね。

吉川:そうですね。昔は、普段はセダンなど大きい車に乗っていて、ちょっとした時にだけ軽自動車を使う、という方も多くて、それなら多少気になる所があっても気にしなかったのが、ファーストカーとして毎日使うようになってくると、やっぱり音や振動、パワーだとか、色々な所が目についてくる。今、軽スーパーハイトワゴンは特にクオリティが求められているんです。

特にダウンサイザーと呼ばれる方々、大きな車から軽自動車に乗ってみようという方からすると、やっぱり広さが非常に大きな魅力になりますからね。そうすると、自然と軽自動車にも高いレベルが求められることになります。

三菱 eKクロス スペースのインテリア三菱 eKクロス スペースのインテリア(プレミアムインテリアは、G,Tにパッケージメーカーオプション)
竹岡:確かにそうですね。特に年配のダウンサイザーの人たちは意外と質感を求めるのかなって感覚があります。

吉川:『eKクロス/eKワゴン』をモーターショーに展示していたときに、年配のご夫婦が来場されて、「これ広くていいね、これで十分だね」っておっしゃっていただいたんです。今乗っている車を聞いたら、高級輸入車でした。確かにそれに比べたら室内は広いんですけど、そこで「軽自動車だから」といってクオリティでがっかりさせるわけにはいきませんよね。

竹岡:でも今、ライバルメーカーもすごく注力しているところだから、大変ですよね。

吉川:はい。でもそんな中でも、三菱の車はステアリングがしっかりしているね、とか走りもいい感じだねとおっしゃっていただいています。クオリティが高いものに仕上がっているのかなと思っています。

『eKクロス スペース』と『eKスペース』差別化のポイントは

竹岡:さて、そして本題の『eKクロス スペース』と『eKスペース』です。『eKクロス スペース』はいかにも三菱の軽スーパーハイトワゴン、というデザインになりましたけど、それぞれの差別化のポイントやターゲットの違いを教えてください。

吉川:『eKスペース』はご覧の通り、従来からの軽スーパーハイトワゴンのコンセプトを踏襲して、お子様を育てているファミリーやお母さんに選んで欲しいということで作っています。そして『eKクロス スペース』は、力強いSUVスタイリングで、これに乗ったら遠くへ行きたくなる、そんなイメージを与えられる車として、どちらかというと男性、そしてひとりでアクティブに出かけるような人をターゲットにしています。

竹岡:なるほど。さっき、スーパーハイトワゴンも子育て需要だけじゃなくなってきているとおっしゃってましたけど、販売比率的にも6割の方が『eKクロス スペース』を選んでいるとか。それは狙い通りというわけですね。

吉川:おかげさまで、狙い通りです。

竹岡:同じNMKV(日産自動車と三菱自動車が設立した軽自動車の企画、開発をおこなうジョイントベンチャー)から、日産は『ルークス』として販売しているじゃないですか。今回の『eKクロス スペース』は三菱オンリーの「顔」になって、かなり差別化が進んだと思いますが。

三菱 eKクロス スペース三菱 eKクロス スペース
吉川:そうですね。『ルークス』も大きなライバルのひとつなわけですが、そのねらい、個性はそれぞれ違います。『ルークス』はどちらかといえば、従来のように一般的な軽スーパーハイトワゴンの良さや使い勝手をメインにしている。三菱は、顔もそうですが、例えば「ヒルディセントコントロール」(急な坂道を下る際に、車速を自動的に抑える機能)を『eKクロス スペース』には全車標準で装着しているんです。これでいつも山道を走ってくださいと言っているわけではないですが、普段ショッピングモールの駐車場を下る時に安心で楽だよねとか、走りのところにやはりこだわっていて、そんなところに三菱のよさを出せるかなと思っています。

竹岡:やっぱり三菱としてこだわったのは、走りのよさというか、力強さというか、そのあたりなわけですか。

吉川:そうですね。あとは、三菱としてはやっぱりターボを売りたい。日産『ルークス』はカスタム仕様の「ハイウェイスター」にのみターボが設定されていますが、標準車である『eKスペース』にもターボがあるというのは三菱だけなんです。可愛いらしいスタイリングで、お母さんたちに選んでもらいたいと言いながらも、そんな中にはターボでキビキビ走りたいという人もいるだろうなと。『eKスペース』のNA(自然吸気)エンジンはフロントグリルがボディカラーなんですが、ターボ車はブラックになって、少し精悍な顔つきになるんですよ。

eKスペースのターボに装着されるフロントグリルeKスペースのターボに装着されるフロントグリル
竹岡:なるほど、重要視しているポイントが違うわけですね。

吉川:あとは、『eKスペース』の方は子育て世代をターゲットにしていますとお話ししましたが、『eKスペース』は、「リヤサーキュレーター(プラズマクラスター付)※4」を全車標準の装備(Mを除く)で付けています。必ず後席にお子様なりご家族が乗っているという前提で、冷房や暖房がちゃんと後ろまで届いて、乗員全員が快適に移動できるように。他ではオプションになることが多い装備ですが、三菱として『eKスペース』はもう全車標準(Mを除く)で付けていこうということでやっています。

※4:本商品にはシャープ株式会社のプラズマクラスター技術を搭載しています。プラズマクラスターロゴおよびプラズマクラスター、Plasmaclusterはシャープ株式会社の登録商標です。

eKクロス スペース/eKスペースをもっと詳しく!

とにかく「カッコいい軽自動車」を作りたかった

三菱自動車 eKクロス スペース&eKスペース チーフプロダクトスペシャリストの吉川淳氏三菱自動車 eKクロス スペース&eKスペース チーフプロダクトスペシャリストの吉川淳氏
竹岡:『eKクロス スペース』はSUVらしく作った、というお話がありましたけど、それはやっぱり「三菱ならここでしょう」という思いが吉川さんの中にもあった?

吉川:ある意味では勝負ですよね。前の世代は軽ハイトワゴンも軽スーパーハイトワゴンも、ちょっと離れれば日産の車とは区別がつかない車でした。今回はデザインにも力をいれて、三菱のプレゼンスを高めることができるかどうかというのが課題、チャレンジだと思っています。

竹岡:特徴的な顔ですごく目立ちますよね。軽スーパーハイトワゴンって背が高いけどトレッドは広げられないから、車の形状として見れば奇妙になりがちじゃないですか。でも下の方がすごいどしっと見えるので、数ある中では「逞し感」ていうのかな?安定していてしっかり走ってくれそうだなっていう感じがすごくありますよね。

三菱 eKクロス スペース三菱 eKクロス スペース
吉川:賛否あるんですが、スーパーハイトワゴンの中でも今主流となっているのが、寸法ギリギリを使った真四角なデザインなんですよね。四角くないと弱そうに見えるとか、狭く見えるとか…様々なご意見があります。でも我々はやっぱりデザインにもこだわりたかった。たとえばツートーンで格好よくしようと思うと、キャラクターラインをしっかり入れて立体感を出すだとか。とにかく「カッコいい軽自動車」を作りたかったので、真四角から脱却したんです。最初からチャレンジしないというのはあんまり面白くないですからね。

竹岡:スペース的には真四角じゃなくてもこれで十分広いじゃない?後席に乗っても、約320mmもあるスライドをめいっぱい下げれば新幹線のグリーン車なみ。荷室だって、いつも段ボール箱を運ぶわけじゃないんだから。私はデザイン的には洒脱な方が良いと思うし、背が高いゆえに逆にたくましい感じを出してくれたのはすごく良いと思います。

吉川:スペース効率だけじゃなくて、やっぱりかっこよく自分らしさを出してもらいたいなというのが我々のねらいなので、三菱の軽自動車を選んでいただきたいというよりも、「こういうスタイルの軽自動車に乗りたい」と思ってもらいたいというのが理想です。

シートアレンジシートアレンジ
竹岡:デザインに走りすぎると使い勝手が悪くなったりスペースが犠牲になったりしがちだけど、そこはちゃんと保ちながらすごく三菱らしい仕上がりになってますよね。やっぱり三菱といえば4WD、とか、どこへでも行けるとか、そういうイメージはちゃんとあって、走りもしっかりしていると思ったんですけど。

吉川:ありがとうございます。ただ、『デリカD:5』や『アウトランダー』のような車はわかりやすい三菱らしさを出しやすいんですが、軽自動車はそこが難しい。そうそう悪路を走るわけでもありませんからね。だから、そう言う時に何が良いんだろうと考えたときに、狭い道を走ったりだとか、ショッピングモールに買い物に行ったりだとか、日々の細々した使い方の中で、走る、曲がる、止まるがきちんとしていて、しっかり加速する、ステアリングはちゃんと真ん中に戻るとか、そういった部分のこだわりが三菱らしさだと思っています。

竹岡:毎日使う車だから「普通によかった」がすごく大事。見た目のキャッチーさで選んでくれて、毎日乗ってもらえたら、じわじわと「あぁいいね」みたいな…そういう車なのかもしれないですね。

竹岡圭氏竹岡圭氏

「マイパイロット」でしっかり、安心に遠出もできる

吉川:実際に試乗されて、いかがでしたか?

竹岡:NAエンジンは走り出しがスムーズで、日常で使うならすごく素直で扱いやすいですね。たくさん人数が乗るとパワー的につらいかなというのは確かにあるけれど、それならターボを選べば良いですよね。逆にひとりでターボに乗っていると、「こんなに力強いの!?」って思うところもありましたけど。

吉川:先代のNAは、「音ばっかりうるさくて走らない」という声がありまして…その分、ターボの比率が高かったんですが、今回はNAでもしっかり走るようになりました。竹岡さんくらいの方だとその差は歴然とわかるんでしょうけど、一般の方ならNAとターボを比較して乗ってもわからないくらい、NAが良くなりました。

竹岡:最近はターボも昔のようなドッカンターボじゃないですしね。

吉川:NAが良くなっている分、三菱としてはしっかりターボを売っていかなければなと思っています。

竹岡:遠くまで楽に運転させてくれる、いわゆる運転サポート機能がすごく充実して進化したじゃないですか。「マイパイロット(※5)」は加減速やステアリングの制御がすごく上手になったなと思いました。

マイパイロットマイパイロット
吉川:はい。日産の「プロパイロット」と同じものなのですが、非常によくできているなと思います。この世代から、レーダーが追加されたので精度が上がっているんです。しっかり本当に、車線の真ん中をキープして走っていくので遠出する際には非常に運転をサポートしてくれるいい機能だなと思いますね。

竹岡:今では先進安全装備が着いてないと嫌だっていう人もすごく多いし、そういうところにもクオリティが求められてきたり、こだわりのポイントになりますよね。この車なら、荷物をたくさん積んで遠くへも行けちゃうじゃないですか。だから遠出の負担を軽くしてくれるのはすごく嬉しいですよね。

吉川:遠出ということで言えば、軽スーパーハイトワゴンは箱が走っているようなものなので、以前はエンジンの音もそうなんですが、風切り音なんかも大きかったので、せっかくスペースが広くて4人で快適に乗れるといっても、高速に乗ったらもう全く会話が聞こえなかった。今の世代になってからは静粛性も上がってちゃんと会話できます。そういうところでもクオリティは上がったかなと思います。

竹岡:ちゃんと走った時の快適性も上がっていると。ダウンサイザーの人たちをとらえるためにも、そういうところが大事になってくるんでしょうね。

吉川:そうですね。やっぱり三菱の車は、遠出もできるし、何かのときにも安心です、というのがテーマとしてありますから。

竹岡:軽でもヒルディセントコントロール(※6)があるだとか、ステアリングがしっかりしているとか、背が高くても安定して走ります、っていうクルマづくりの基本的な部分へのこだわりは、やっぱり三菱にはずっと持ち続けて欲しいですよね。

※5:eKクロス スペース/eKスペース G、Tにパッケージオプション
※6:eKクロス スペースに標準装備
三菱自動車 eKクロス スペース&eKスペース チーフプロダクトスペシャリストの吉川淳氏(左)と竹岡圭氏三菱自動車 eKクロス スペース&eKスペース チーフプロダクトスペシャリストの吉川淳氏(左)と竹岡圭氏

eKクロス スペース/eKスペースの詳しい情報はこちら

《聞き手:竹岡圭、まとめ:レスポンス編集部》

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