日産 坂本副社長「大型SUVの車体構造部材に適用」…炭素繊維樹脂部品の量産化新技術を開発

日産 「C-RTM」工法によるCFRP部品の成形
日産 「C-RTM」工法によるCFRP部品の成形全 3 枚

日産自動車は9月3日、技術担当の坂本秀行副社長がオンラインで記者会見し、炭素繊維強化樹脂(CFRP)による車体部品の量産化実現に向け、新たな成形工法を開発したと発表した。

【画像全3枚】

CFRPの部品は強度や剛性が高く、車体部品の主力である鋼板より重量は約半分という特長がある。しかし、成形が難しいため、開発期間も長期化し、コストは鋼板の約10倍になっているのが現状という。

日産はCFRP成形のポイントとなる炭素繊維に樹脂を含浸する工程を正確にシミュレーションする技術を開発、その知見を基に樹脂を金型に加圧注入する「C-RTM」と呼ぶ工法を確立した。試作した車体部品は2分で成形ができるようになり、従来工法よりも約80%の短縮ができた。また、シミュレーション技術は金型を含む開発の効率化にも寄与し、部品の開発期間は約50%短縮可能としている。

日産では現在、CFRPは高級スポーツカー『GT-R』の車体部品やレーシングカーなどに限定的に使用している。今後は車両の電動化推進に伴って、車体の軽量化が大きな課題となっていくので、CFRPによる部品の採用拡大を図る。

会見で坂本副社長は「大型SUVなど重いクルマの電動化で航続距離を伸ばすには、バッテリーを多く積む必要がある。しかし、バッテリーも重いのでクルマの強度を高めなければならず、さらに重くなってしまう『重量のジレンマ』がある」と指摘したうえで、CFRP部品の適用拡大は電動化推進に不可欠との考えを示した。

また、今回開発したシミュレーション技術や工法によって「更にチャレンジしていくが、加工プロセス時間のかなり大幅な削減ができた。現状のごく一部のクルマから量産車への適用のメドが立った」と述べた。実際の展開については「2024年から25年ころに登場する大型SUVの車体構造部材への適用」を想定しているという。

《池原照雄》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 新型センチュリークーペ、6輪のレクサス『LS』、次期カローラにミゼットも…トヨタが「ジャパンモビリティショー2025」出展車両を公開
  2. トヨタの最高峰、新型センチュリーは2ドアに、レクサス『LS』は6輪ミニバンに大変身…ブランド新戦略発表
  3. レクサス『IS』改良新型、新フェイスの実車を初公開…米国仕様は「F SPORT」のみ
  4. マツダ、クーペコンセプトと新型『CX-5』初公開へ…ジャパンモビリティショー2025
  5. メルセデスベンツ『GLA』次世代型をいち早くプレビュー! 斬新なテールライト装備?
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る