日本初! 自律走行バスの定常運行を公道でスタート 東京・羽田

HANEDA INNOVATION CITYの敷地内を定常運行する「NAVYA ARMA」
HANEDA INNOVATION CITYの敷地内を定常運行する「NAVYA ARMA」全 19 枚

羽田空港に隣接する大規模複合施設「HANEDA INNOVATION CITY」では、オープニングに合わせた9月18日から、日本で初めてNAVYA『ARMA』(ナビヤ・アルマ)を使った自動運転バスの定常運行を開始した。

この運行の事業主体は同施設の開発を進める羽田みらい開発(本社:東京都大田区)。ここに鹿島建設、BOLDLY(旧SBドライブ)、日本交通、マクニカの4社がそれぞれの役割を分担して参画して本事業は進められている。運行時間は午前10時半から午後4時半までで、運行間隔は30分ごとで途中1時間の休憩を挟む。利用料金は無料で、予約は受け付けず、当日施設を訪れた人のみが乗車できる。

各社の役割は、鹿島建設が空間情報データ連携基盤「3D K-Field」を提供し、車両の位置情報をリアルタイムで可視化して運行管理の効率化すること。BOLDLYは車両の運行管理を行うプラットフォームを提供するほか、3Dマップデータ収集や自動運転セッティングを担当した。NAVYA ARMAによる定常運行を働きかけたのも同社が行ったという。

日本交通は人を乗せた車両を公道で走らせるため事業者として、車両の運行管理を担当した。ここにはディスパッチャーを管理する業務も含まれ、第二種免許を持った乗務員も派遣する。そして、NAVYA ARMAをフランスから輸入し、そのメンテナンスまでを担当したのが商社として自動運転車を数多く輸入しているマクニカだ。

運行ルートはHANEDA INNOVATION CITY敷地内に用意されたが、一般車両も立ち入る道路を使って走行するため、公道走行と同等の扱いとなった。そのためNAVYA ARMAはナンバーを取得し、そこを8km/hで2カ所の停留所を結んで走行する。また、車両は自動運転レベル4のスペックを備えるが、日本での法規に従い、通常は運転操作をしないもののドライバー(オペレーター)が乗車するレベル2で運行される。

自動運転バスの運行管理プラットフォームを提供したBOLDLYの佐治友基代表取締役 兼 CEOによれば「これまでNAVYA ARMAを使った実証実験は国内で6回にわたって実施したが、7回目にしてようやく公道での定常運行が実現できた。10月には茨城県境町でも公道での定常運行を予定しており、今後はこうした利用が増えていく」と述べた。

ただ、新型コロナウイルスの影響は様々な場面に及んでいる様子で、境町での定常運行も本来は4月からスタートする予定だったが10月に遅延。特に悩ましいのがこの影響を受けてNAVYA社の技術者が来日できなくなったことだ。そこでBOLDLYでは社内でNAVYA社の様々な業務を代行できる資格を取得。HANEDA INNOVATION CITYでの準備はすべてBOLDLYの手によって行われた。これは世界で初めてのことだという。

運行管理をするディスパッチャーはHANEDA INNOVATION CITYの3階にある一室におかれていた。ここではNAVYA ARMAの運行管理だけでなく、マクニカがこの日から2週間にわたって進める中国「PerceptIn」の自律走行低速電動カートによるレベル2の実証実験も担当していた。この実証実験終了後、ディスパッチャーは日本交通の赤坂オフィスに移動して運行管理が継続されることになっている。

運行開始に先だって開催されたオープニングセレモニーでは、各社から代表者が出席してそれぞれが担当した役割を解説。その後、スタートを記念して代表者全員でテープカットを行い、全員が乗車する試乗体験を行った。佐治社長は「現在はレベル2での運行で、そために停止後のスタートは乗車しているオペレーターが行う必要がある。しかし、将来はこれもすべて自動化して無人での運行を実現したい」と将来への期待も述べた。

《会田肇》

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