【日産 フェアレディZ 次期型】S30とZ32をモチーフとしながら現代の技術で新しさ…デザイン担当役員

日産フェアレディZプロトタイプ
日産フェアレディZプロトタイプ全 22 枚

日産は次期型『フェアレディZ』プロトタイプを公開した。そのデザインは歴代Zのモチーフを纏いながらも、単なる懐古主義ではなく、最新技術なども投入しデザインされているという。

大切なのはシルエット

日産専務執行役員グローバルデザイン担当のアルフォンソ・アルバイザ氏は、「シルエットが最も重要」という。「長いフードとキャビンが240Z(S30)のイメージを醸し出している。

同時にリアはフードよりも低い位置にあることもこだわりのひとつ」とも。これは、同社エグゼクティブデザインダイレクターの田井悟氏も同意見だ。田井氏は、「Zらしさを作れということから、色々なアイディアがスタートした」と述べ、様々な案からフードがリアよりも高い現在のシルエットに落ち着いた。

田井氏はその考え方として、「S30に戻ったという言い方をすることもあるかもしれないが、我々は今の時代のモダンさを取り入れている」という。先日日産はフル電動のSUV、『アリア』を発表しており、「それらを含めた日産全体のバランスを踏まえながら、このZの表現は、テーマとしてS30を持ちつつも、サイドに一本通るリアに向かって落ちていく線(リバースエッジクリース)など、非常に大事でシンボリックな要素を採用。そういうバランスが今の時代のZとしての進化だ」とコメント。フェアレディZ S30(オレンジ)フェアレディZ S30(オレンジ)

アルバイザ氏も、刀をイメージしたルーフライン(シルバーの加飾部分で強調)とともに、「デザイン部門が美しい“リバースウェッジクリース”を生み出し、動きを上手く表現している」という。

フロントは、「すごくS30ぽく仕上がっている。フードとフェンダーサイドからの流れでグリルを作り出しているので、そのグリルがすごく似ていると思う」とアルバイザ氏。そのフロントで注目すべきはヘッドランプだという。「LEDヘッドランプを囲む“こ”の字形のデザインも、S30の“Gノーズ”からインスパイアしたもの。これは、ヘッドランプの上に透明なヘッドランプカバーがついており、光が当たると、このドーム形の部分に反射して丸い輪が出来る。私たちはこの特徴が大好きで、今回のプロトタイプのアイデンティティにも馴染むと考えた」と説明。

またリアでは、「300ZX(Z32)を私と田井が好きだったということが分かってもらえるだろう」とアルバイザ氏。「Z32のテールランプは非常に近代的でモダンなもの。それをモチーフにLEDで仕上げた。まさに将来の技術を使っているのだ」とのこと。さらに、真後ろから見ると、「素晴らしく力強いパワフルなリアフェンダーこそが、パフォーマンスを表現している。またドライビングフィールも醸し出している」と述べた。日産フェアレディZプロトタイプ日産フェアレディZプロトタイプ

田井氏によると、「ランプのデザインは作りながら進化させた」とのことだ。制作しながら、「アイディアがだんだん整理され、少しZ32的なリアランプも、途中でどんどん進化させながら選んで加えていった。プロントのランプも同様で、そのような作り方をした」とコメント。つまり、ディテールにおいては煮詰めながら採用していったのだ。

当時をモチーフとしながら最新技術を導入

インテリアもS30をモチーフにデザイン。「しかし少し距離(かけ離れた印象)がある」とアルバイザ氏。その理由は、「デジタルメーターという近代技術を採用しており、センターディスプレイもインフォテイメント機能を備えているからだ。しかし、このデジタルメーターは、タコメーターを始め3つの文字盤が目線の高さにちょうどあり、完全なるドライビングエクスペリエンスと一体感を味わえる」と説明。

そのほか、「インストルメントパネルは横になだらかに伸びており、きれいでシンプルだ。ホールド感のあるシートを採用しているので、乗り込んでみるとまさにZの“手袋”に入った感覚がある」と話す。日産フェアレディZプロトタイプ日産フェアレディZプロトタイプ

田井氏は、「Zは実用的でスポーティ。それを踏襲しようとした」という。今回のハイライトは、「メーターをデジタルにして、そこにタコメーターをフィーチャーしたようなメーターを作り、これがレッドゾーンに当たると赤い光が帯になる。ちょっと最近のレーシングカー的な実用性ともいえる表現。ステアリングも3スポークだが、現在のクルマの処理(ステアリングスイッチなど)を取り入れた」とし、「カンファタブルなスポーツカーの室内と、今のテクノロジーでしか表現出来ないメーターや、ステアリングスイッチ、センターのナビなどを組み合わせて作った」とした。

今回イエローのボディーカラーを纏って登場したプロトタイプについてアルバイザ氏は、「S30にはすごく素敵なモダンなイエローを採用しており、Z32も同様だ。当時(S30)の技術ではイエローの光沢がそれほどなかった。それが30年前の技術。しかし今は塗装技術も向上し、色彩豊かなイエローを実現することが出来た。美しいパールの光沢を実現している」と当時をモチーフとしながら、それを現代にアレンジしていることを強調した。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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