初代モデルの登場から40年、愛され続ける理由
フィアット パンダ 初代
フィアット『Panda(パンダ)』の初代モデルの登場は今から40年前。こう書くと大昔の感じがするが、40年前といえばパソコンやワープロはおろか、携帯電話もメールもネットもない時代だ。最新のクルマ情報を日本にいながらにして入手するには、ひたすら国内外の自動車雑誌の記事を読み漁るのが、まだほとんど唯一の手段だった。
40年前の1980年といえば筆者はまだ大学生だったが、本屋でふと「カーグラフィック」の別冊で「1980年の乗用車・外国車篇」という当時発行されていた年鑑(今でも仕事部屋の書棚にある)を見つけ、その別冊の表紙に使われていたのが、まさに登場したばかりで日本には上陸前の、赤いフィアット『パンダ』の写真だった。「小さいのに表紙になるくらいのエポックメイキングなクルマが出たぞ」と認識したのが、確か最初の印象だった。
もちろん設計者のジウジアーロのことは知っていた……どころか、余談だがそもそも彼の大ファンだったから、自分でも“ジウジアーロ・デザイン”のクルマに、その時もその後も何台か乗っていた。『パンダ』は、才気溢れるジウジアーロ(=イタルデザイン)がコンセプトや設計を含めた広い意味でのデザインを手がけたクルマだということも記事を読んで理解した。
フィアット パンダ 初代
ボディもガラスも平面のシンプルの極みといった外観デザインや、鉄板剥き出しの室内には箱状の計器盤(と可動式の灰皿)、ステアリングがあるだけの棚状のダッシュボード、ハンモック状のシート……と、内装も外観に負けず劣らず簡素なものだった。
筆者が実車を運転したのは大学卒業後、編集制作会社に入り自動車雑誌を作る仕事を始めてすぐの頃だったが、当時、世の趨勢が豪華志向のなかで対極的だった『パンダ』のコンセプトには目からウロコ……いや『パンダ』だから目を白黒させて運転していたと思う。決してパワフルな訳ではなかったが、人が自分のチカラで走ったり歩いたりするような感覚というか、フィアットらしい自然体の走りにも好感をもった。
そして、どこかへ出かけたらシートを外して外で寛げたり、後席は取り付け方を変えることでハンモックに早変わりしたり……と、現代のマルチパーパスカー顔負けの機能、アイデアも盛り込まれていて、「簡素で合理的なだけじゃない、夢のあるクルマだ」と思ったものだ。
初代『パンダ』は唯一無二の魅力で20年弱のロングセラーとなり、今なお熱狂的なファンに愛されていることは知られているとおりだ。
日常のクルマにもセンスが光る2代目
フィアット パンダ 2代目
その初代の意志を発展させて登場した2代目は、初代同様に欧州Aセグメントのコンパクトカーであることは変わらず、少し背の高いボディを4ドア化、より日常的なユーティリティを高めた点が特徴だった。後席用のドアがあれば、何も人を乗せる時だけでなく、買い物や普段使いでちょっとした荷物を後席に載せたりでき便利なことは、そういう使い方をされているオーナーの方ならよくおわかりだろう。
さらに後席のシートバックが分割可倒式(当初は上級モデルのみ。商品改良でベースモデルにも採用)になっており、倒して使えば、大きめの荷物を載せたり、両側を倒して遊び道具をタップリと積み込んで出かけることもできる。デザイン上のアクセントでもあり視界も確保してくれるリヤクォーターウインド、ポップなボディカラーなど、日常のクルマだが、ひと味違う楽しげなイタリアのセンスが味わえるコンパクトカーだ。
同じイタリアのキッチンウェアなどでおなじみのアレッシィとのコラボモデル、100ps/13.3kgmを発揮する1.4リットルDOHC+5速MT仕様のスポーティな“パンダ100HP”なども登場した。
心弾ませてくれるキャラの3代目
フィアット パンダ 3代目
現在の『パンダ』は歴代3世代目のモデル。ひと目で『パンダ』とわかる外観スタイルは依然としてコンパクトながら、2代目に対し全長(+120mm)、全幅(+55mm)ともサイズアップを果たし、室内の居住スペース、実用性をより高めて進化を果たした。
“カド丸の四角”であるスクワークルをモチーフにしたデザインは、実用車ながら毎日眺めていると愛着の持てる優しいテイストで、“心地のいいデザイン”とはどういうものか教えてくれる。インテリアもドアトリムの表面は目を凝らして見ればシボ(模様)が“panda”の文字がランダムに並べられたものだったり……と、遊び心に溢れているのも特徴だ。
ツインエアエンジン+デュアロジック(ATモード付5速シーケンシャルの、いわゆる2ペダル)の快活な走りも乗るたびにクルマから元気がもらえる気分になるもので、ただの実用車にとどまらない心弾ませてくれるキャラは、さすがイタリア車といったところ。
待望の限定モデル『Panda Cross 4×4』
FIAT Panda Cross 4×4(写真は欧州仕様)
その『パンダ』に新たなモデルとして登場したのが、待望の『Panda Cross 4×4(パンダクロス フォーバイフォー)』だ。150台の限定モデルとして10月13日に発表された。
実は『パンダ』にはこれまでも初代以来、2代目、現行の3代目でも4×4モデルの設定があり、こだわり派のパンダ・ファンから注目を集めてきた。けれど今回の『パンダクロス フォーバイフォー』は、これまでのどの4×4モデルよりも存在感のある仕立てになっている点が注目だ。
とくに外観デザインは、15インチアルミホイールを始め前後バンパー、サイドモールディング、ルーフレールなどが専用デザインで、カタログモデルの『パンダ』とは大きく違っており、見た瞬間に「おっ、ただのパンダじゃない!」とわかるユニークなルックスに仕上げられている。パステルイエローのボディカラーも専用で、バンパー/前後ホイールアーチ/ドア下部の樹脂部分のブラックとのコントラストがスポーティなムードを漂わせる。
FIAT Panda Cross 4×4(写真は欧州仕様)
内装もブラウン色をあしらった専用。ファブリックシートも専用で、前席にはシートヒーターが備わるほか、センターコンソール収納も装備。フルオートエアコン(カタログモデルはマニュアル)も標準装備で快適性も高めている。
搭載エンジンはおなじみの875ccのツインエアと呼ばれる2気筒マルチエアインタークーラーターボ(85ps/14.8kgm)で、これに3つ目のオーバードライブレシオを加えた6速マニュアルトランスミッションの組み合わせ。4WD専用のドライブモードセレクター(AUTO/オフロード/ヒルディセントコントロール)も備える。シティブレーキコントロール(衝突被害軽減ブレーキ)を始め、カタログモデルと同等の安全機能も標準装備となっている。
マニュアルトランスミッション+4WDの本格的なオフロードスペックは走らせて楽しいに違いなく、コンパクトな『パンダ』ならではの機動性、実用性が存分に味わえる点も見逃せない。何よりもカタログモデルよりひと味もふた味も個性溢れるアピアランスはイタリアンコンパクトの真骨頂だし、見逃すべきではない1台と言ってよさそうだ。
FIAT Panda Cross 4×4(写真は欧州仕様)
■Panda Cross 4×4 フェア
10月24日(土)~25日(日)
■成約キャンペーン開始日:10月24日(土)
成約者全員に、アウトドア、車中、インドアとマルチに使えるオリジナルデザインの「フィアット オリジナル ブランケット」をプレゼント。さらにPanda全モデルを対象に、成約かつ登録した人に「Panda 40周年ステッカー」(2色セット)をプレゼント。