来年度予算は災害対策とコロナ関連の施策を強化…国土交通省 自動車局 総務課 企画官 齋藤喬氏[インタビュー]

来年度予算は災害対策とコロナ関連の施策を強化…国土交通省 自動車局 総務課 企画官 齋藤喬氏[インタビュー]
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各省庁の来年度予算要求が出揃った。国土交通省自動車局では総額652億円規模の予算を提出した。2020年(令和2年度)の比較で1.16倍と例年どおりともいえるが、個別施策にはコロナ禍での新しい取り組みも目立つ。定常化する激甚災害に対する工夫もみられる。

10月28日開催の【オンラインセミナー】官民ITS構想・ロードマップ2020と令和3年度自動車関連予算では、国土交通省自動車局総務課企画官の齋藤喬氏が令和3年度の予算要求についてその概要を紹介する。どんな内容なのか話を聞いた。

――来年度の自動車局概算要求について、まずは簡単に説明していただけますか

自動車局は、交通行政や産業行政の中で、主に整備業や運送事業者にかかわる部分を担当する部局です。当然、予算はその枠組みで考えたものがメインです。今回の予算をまとめると、大きく4つの施策に分類できると思います。まず自動車運送事業・整備業の持続可能な事業を支援することとそれによってユーザーの利便性を向上させる施策。次に安全・安心および環境対策。自動運転技術の開発・実用化促進。4つ目は事故被害者救済の充実です。

――それらの中で、前年度と比べて変わったところや来年度の取り組みの特徴などはありますでしょうか。

今挙げた4つの分類は、政策・業界支援として普遍的な項目で時代や状況によって大きく変わるものではありませんが、それぞれの施策はその時の社会課題や社会情勢を配慮したものになります。

令和3年度の概算要求で拡充または新規追加されたものは、コロナ禍対策の側面を持っているものが多くあります。また、ここ数年、毎年にのように発生する台風・豪雨被害についての対策・施策も追加されています。コロナ対策の施策は、従来からある課題、少子高齢化によるドライバーなど人材不足、業界の効率化・自動化といったものに、新型コロナウイルス関連の対策を、拡充・強化するものです。

一方、災害対策関連の施策は令和3年度の予算から新規に追加されるものです。パンデミックが現実のものとなり異常気象が「異常」ではなく定常的に発生している現状を踏まえ、非常時の対応だけでなく継続的な取り組みが必要と考えて新規に追加しました。

――追加した施策には、例えばどんなものがありますか?

新型コロナのパンデミックでは、外出や旅行の制限・自粛によってバスやタクシー業界が経営的なリスクにさらされています。洪水被害で大量のバスが被害を受けたこともありました。トラックによる物流も同様です。マスクやトイレットペーパーが工場にあっても店頭に届いていないということがありましたが、公共的な意義のある旅客輸送について、事業継続に必要な調査や検討する予算項目を要求しています。

事業者どうしの罹災時の連携や保険の促進、通勤輸送など新しい事業の開発支援、IoTなどを活用した自動化・効率化を強化します。パンデミックによって非接触やリモート化が叫ばれていますが、IoTやDXの推進により予約・運行管理、車検整備など事業者の業務部門の支援、行政手続きの効率化も考えます。

前から取り組んでいる事業ですが、運行管理の高度化について、働き方改革と感染症対策の両方の側面から、非対面での点呼業務、点呼の高度化を図ることも考えています。AIを活用してドライバーの健康管理(血圧・体温など)を含めた信頼性の高い非対面点呼に取り組みます。AI点呼については機器の認定制度など設けて、信頼性や正当性を担保したいと思っています。

――災害対策関連ではどのような取り組みが追加されたのでしょうか。

これまでの経験から、自然災害において移動困難者の避難支援、物資輸送などの課題が浮かび上がっています。これには、交通事業者と自治体の災害時協定など連携を強化することが有効だと思っています。これらの事例共有や連携促進する新規事業を予算化しています。併せて、事業者の防災措置、安全措置、災害時の対応について指針(ガイドライン)も作る予定です。

自治体からも要請があり来年度分から予算化したものに、電気自動車を活用した電力供給支援があります。2019年の房総半島台風では、長期間の停電が社会問題となりました。この時、複数の自動車メーカーが車両を電源として被災地に派遣してくれました。この活動は広がりを見せています。

電気自動車を被災地に円滑に派遣するために必要な調査・研究・実証事業などを考えています。災害派遣のガイドラインや電源品質の標準化、さらにニーズのある被災自治体とディーラーやメーカーのマッチングの仕組みづくりを行うものです。

他にも、災害時にカーナビや通信モジュールなどコネクテッド機能を活用した、情報発信および情報収集について、車載装置の基準づくりへの取り組みです。国際的には国連WP29の取り組みがありますが、これに国内機器や基準の働きかけを行い自動車産業の競争力強化につなげる取り組みも新規で予算化しました。

――それ以外の取り組みは昨年同様な予算化とみていいですか。

はい。自動運転の技術開発や実証環境の整備は、国際標準化へのコミットも含めて来年度の概算要求に盛り込んでいます。安全運転支援システムやサポカー支援も継続しています。踏み間違い防止装置、ドラレコ、事業者向けのデジタコや高度な運行管理システムへの導入支援は、ニーズもまだ高いので続けます。

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国交省の予算要求は、交通行政の今後の動きや方向性を見る上でひとつの指標となる。また、各種の規制やガイドライン、補助金や実証実験などは業界ビジネスにも影響を与えるものだ。業界関係者としては、来年度のビジネスを考える上で予算概要を掴んでおきたいところだ。国土交通省の齋藤氏が登壇するオンラインセミナー「官民ITS構想・ロードマップ2020と令和3年度自動車関連予算」は10月28日に開催される。

《中尾真二》

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