[カーオーディオの素朴な疑問]プロセッサー編…チューニングは自分でやるべき?

高度な「プロセッサー」が搭載されたクルマの一例(クラリオン・デモカー)。
高度な「プロセッサー」が搭載されたクルマの一例(クラリオン・デモカー)。全 2 枚

クルマの中で良い音を聴ききたいと思いつつも、カーオーディオシステムの構築に向けた「最初の一歩が踏み出せない」というドライバーは少なくない。そしてそうである理由が「分かりにくいから」だという場合もまた、少なくないようだ。

当特集では、そういった方々の“分かりにくさ”を解消すべく展開している。

簡易的なチューニング機能しか備わっていない場合は、積極的に触るべき!

今回は「プロセッサー」を使った「サウンドチューニング」を、「自分でやるべきか否か」について考えていく。

結論から入りたい。愛用のカーオーディオシステムに簡易的なチューニング機能しか備わっていない場合には、「積極的に触るべき」だ。対して、高度なチューニング機能を搭載した「プロセッサー」を導入する場合には、「プロに任せるべき」だ。ただし、プロにやってもらいつつもそのデータは保存しておいた上で、自分でやってみても面白い。そうすることでカーオーディオをより深く楽しめるようになるからだ。

さて今回は、簡易的な機能しか搭載されていない場合について考えていく。このケースにおいては先述したとおり「積極的に触るべき」だ。簡易的な機能は操作方法も簡単なので、プロに任さずともある程度は自分でもなんとかなる。そして自分でやってみることでカーオーディオへの興味も深まり、楽しさも発見できる。つまり、簡易的なチューニング機能を触ってみることが、カーオーディオという趣味を楽しむ実戦の第一歩とも成り得るのだ。

ではせっかくなのでこの機会に、どのように触ると楽しめるのかを具体的に解説していこう。触るべき機能としてまず挙げるべきは以下の2つだ。1つが「バランス」(左右の音量バランスを整える機能)で、もう1つが「フェーダー」(前後の音量バランスを整える機能)だ。

「バランス」は、“センター”のままではNG!?

まずは「バランス」から説明していく。なお、当機能はデフォルトでは“センター”になっているはずだ。もしも助手席に人が乗っているのならそれで良いのだが、自分しか乗っていないのなら当機能は“センター”のままにしておくべきではない。そうであると、運転席側のスピーカーの音ばかりが耳に入ってきてしまう。それではステレオ感を感じ難い。

なので自分1人のときは、“バランス”を運転席側から遠ざけるように操作してみよう。そうすると、反対側のスピーカーの音もしっかり聴こえてくるようになる。そして、左右のスピーカーから聴こえてくる音の量が同じくらいになるところで止めてみよう。そうすると、ある程度ステレオ感が分かるようになるはずだ。近い方のスピーカーに貼り付いたような聴こえ方だったところから、音が目の前から聴こえてくるような感じへと変わるはずだ。

続いては「フェーダー」の操作方法を説明していく。「フェーダー」も、デフォルトの状態ではセンターに設定されているはずだ。後席にも人が乗っているのならそれで良いのだが、もしも自分1人しか乗っていないのなら、これについてもその状態のままにしておくべきではない。

その理由は以下のとおりだ。「バランス」が“センター”になっていると、後ろのスピーカーからも音楽が聴こえてくるわけだが、ステレオ音源を楽しもうとする場合には音楽は本来、後ろから聴こえてくる必要はない。

例えばコンサート会場で音楽を聴いているとき、音楽はステージ方向から聴こえてくる。基本的に自分より後ろ側からは音楽は聴こえてこない。

「フェーダー」を使いこなすと、“低音増強”が果たせる!?

ステレオの仕組みから言っても、音楽は後ろから聴こえてくる必要はない。ステレオとは音楽を左右のchに分けて録音し、それを左右2本のスピーカーで再生することで音楽を立体的に再現しようとするものだ。つまりスピーカー左右の2本があればOKなのだ。

しかし音楽が後ろからも聴こえてくると、ステレオの仕組みが成り立ちにくくなる。左右の音のそれぞれが前後2箇所から微妙にズレて聴こえてくるので左右の音が上手く融合しなくなる。ゆえに、ステレオイメージを感じ取りづらくなってしまうのだ。

なので、「フェーダー」は10:0でフロント側に振るのが正解となる。

ただし、「リアも少しだけ鳴らす」というスペシャルな操作方法も存在している。そしてその操作が上手くハマると、「低音増強」効果が発揮されることとなる。

そのメカニズムは以下のとおりだ。音は高い音ほど真っ直ぐに進もうとする性質が強くそして音の出どころが分かりやすい。対して低音は、障害物を回り込んで進む性質がありかつ音の出どころがわかりにくい。ゆえに「フェーダー」を少しだけ後ろ側に振ると…。

リアスピーカーから発せられる音の中でも高音成分はシートにブロックされて聴こえてこないが、低音成分はシートを回り込んで耳に入ってくる。しかも音の出どころが分かりにくいので後ろから聴こえてくるという感じはせずに、前から聴こえてくる音と上手く混ざり合う。結果、低音の量感が増幅されたように聴こえる、というわけなのだ。

これを上手く成り立たせるためには絶妙な塩梅で「フェーダー」を操作しなくてはならず、またリアスピーカーの位置によっては効果が発揮されにくい場合もあるが、試す価値は大きい。上手くいくと、操作することによって音が変わることの楽しさが味わえる。

さて次回も、積極的に触ってみるべきチューニング機能について解説していく。お楽しみに。

今さら訊けない“カーオーディオ”の素朴な疑問 Part2「プロセッサー編」その2「チューニング」は自分でやるべきか否か?

《太田祥三》

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