ホンダe のデザインはどのようにして生まれたのか? “生活に溶け込む存在”にするための新たなアプローチ

ホンダe のデザインはどのようにして生まれたのか? “生活に溶け込む存在”にするための新たなアプローチ
ホンダe のデザインはどのようにして生まれたのか? “生活に溶け込む存在”にするための新たなアプローチ全 8 枚

日本でも今年8月に発売となった『ホンダe』のデザインが、世界各地で高い評価を受けている。世界三大デザインアワードのひとつ、レッド・ドット・デザイン賞では最高賞「ベスト・オブ・ザ・ベスト賞」を獲得し、昨年イタリアで開催されたミラノ・デザイン・ウィークでも注目を集めた。

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ホンダ本社1階のホンダウエルカムプラザ青山では、11月3日から16日まで、ホンダeのデザインにフィーチャーしたデザインイベントを開催。デザインコンセプトに合わせてコーディネートした生活空間を演出し、デザインストーリーやデザインプロセスを紹介している。

EVデザインの答えを模索し北欧へ

7日にはイベントのファシリテーターを務めるインテリアスタイリストの川合将人氏を迎え、ホンダeのデザインを統括した岩城慎氏、エクステリア担当の佐原健氏、インテリア担当の明井亨訓氏、CMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)担当の半澤小百合氏とともにトークセッションが開催された。

ホンダブランドの4輪デザインを統括する立場でもある岩城氏は、冒頭で次のように語った。

「ホンダのデザインは常に人間中心で考えており、次世代に向けても人間中心で、役に立って、愛される存在であることが方向性のひとつだと思っています。すべての車種がこの方向性というわけではないですが、気持ちの部分ではここに象徴されていると考えています」

こうした方針を受けてホンダeのデザインもスタートしたようだが、佐原氏によれば一筋縄では行かなかったようだ。

「最初に与えられたコンセプトは、欧州向けの小型EVということだけでした。何が求められているか、答えを探しに北欧に行きました。ノルウェーのオスロは世界でいちばんEVが普及しているし、フィンランドは国連が発表する世界幸福度ランキングで3年連続で第1位になっているからです」

スウェーデンのストックホルムでは、EVに乗る高齢女性の意見を聞くことができた。子供のクルマを借りてきた彼女は、普段の生活空間との隔たりを感じているとのこと。これがヒントになった。人の気持ちに寄り添い、生活に溶け込む存在にするなら、これまでと違うアプローチが必要と思ったという。

丸目のヘッドランプは、周囲との間に壁を作らない表情を持つことから採用。キーを持ってクルマに近づくとヘッドランプが点灯し、ドアハンドルがポップアップするという動作には、ドライバーとクルマのインタラクティブな関係を込めたという。

インテリアは生活とシームレスにつながる空間を意識

インテリアデザインはシームレスライフクリエーターというコンセプトに添い、いつもの生活とシームレスにつながる空間であることを重視した。それを象徴するディテールとして明井氏が取り上げたのが照明だ。

「通常は天井の中央にスイッチと一体化した照明がひとつというスタイルが多いですが、ホンダeではリビングルームをイメージして、ダウンライトを4つ埋め込みました。さらにスイッチはライトの脇ではなくピラーに配置しました。家の壁に近い位置にしたのです」

半澤氏はインテリアのカラーやマテリアルについて次のように説明した。

「シンプルな仕立てとすることで居心地の良さを追求しました。シートにはソファーに使われる素材を使っています。カラーはグレー主体のモノトーンを基調に、シートベルトや木目調パネルなどブラウンのアクセントで華やかさを演出するコーディネートにしました。エンブレム以外にはクロームやシルバーを使わなかったことも特徴です」

明井氏は昨年、ミラノ・デザイン・ウィークにホンダとして初出展した時のエピソードも紹介。フィレンツェのインテリアコーディネーターとのコラボレーションで仕立てた空間は、連日開場前に行列ができる状況だったそうで、インスタグラムのインフルエンサーなどクルマ業界以外の人たちとのつながりが生まれるなど、これまでとは違った感触が得られたそうだ。

気づいた人が嬉しくなる仕立てを少しでも盛り込みたい

そんなホンダeについて川合氏は、どのような印象を持ったのだろうか。

「最初に感じたのは、デザイン家電に近いということです。人に優しい質感を意識しているのも好きなところです。そのひとつが、見せるようなステッチの使い方。シームレスと言いつつ、マテリアルの継ぎ目にアクセントでステッチを入れ、アクセントを出しているところが印象的です」

これについて半澤氏は、ステッチはなくても成立はするけれど、気づいた人が嬉しくなる仕立てを少しでも盛り込みたいと説明。もちろんコストはかかるが、そういう仕掛けを入れて行くことは大切に考えていると答えた。

デザインにスポットを当てたイベントはホンダとしては初めてとのこと。北欧生まれの家具などを使い仕立てた川合氏コーディネートの空間もまた、エキサイティングなイメージが強いこれまでのホンダとは異なるものだ。このブランドが新しい道を探り始めていることを五感で理解することができた。

《森口将之》

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