地下街でロボットによる無人消毒液散布 日建設計シビルとZMPが実証実験を実施

地下街「新宿サブナード」で無人による消毒作業を行っているパトロ
地下街「新宿サブナード」で無人による消毒作業を行っているパトロ全 14 枚

日建設計シビルとZMPは11月19日、新宿サブナード(東京都)の協力の下、無人警備・消毒ロボット『PATORO(パトロ)』による無人消毒液散布実証実験を報道陣に公開した。新型コロナ感染対策の一環として消毒作業の省人化や消毒作業を見せることで安心効果を狙う。

【画像全14枚】

人の往来がある地下街でパトロが巡回して消毒作業を実施

実証実験が行われたのは新宿駅に直結する地下街「新宿サブナード」の一丁目付近。パトロは高精度3Dマップ上に設定されたコース約150mを自律走行しながら、各店舗の店員が出入りするドアの取っ手やドアノブ、一般客が往来する通路の床面に向けて消毒液を散布した。消毒液には次亜塩素酸水を使用。用途に応じて二酸化塩素水を使うこともできる。

日建設計シビル エンジニアリング部門 CM・防災部長の大森高樹氏によれば「パトロによる消毒作業は名古屋の新幹線地下街“エスカ”に続いて2回目だが、一般客が往来する営業時間中の地下街で実施するのは初めて」と話し、ZMPの龍健太郎ロボライフ事業部長も「今年6月に内閣府や竹中工務店本店オフィスで、8月にJR東日本の高輪ゲートウェイ駅などでデモを行ってきたが、これまではすべて一般者がいない状態での実験だった」と説明した。

消毒作業に使ったパトロは、ZMPが開発した低速自律走行ロボットで、開発済みの宅配ロボット『DeliRo(デリロ)』や実用化済みの自動運転一人乗りロボ『RajyRo(ラクロ)』とベースを同じにする。仕様書によれば、大きさは長さ78.1cm×幅66.4cm×高さ108.9cmで、重量は約110kg。速度は人が歩く程度で移動し、最大でも6km/hに抑えられている。充電時間は約1時間で4~6時間の稼働が可能だ。

また、パトロには自律走行を実現するために、周囲全体を俯瞰する3D-LiDARセンサーの他、本体下部には直近の障害物を監視する2D-LiDARセンサー、さらに実像として捉えられるステレオカメラなど複数のセンサーを搭載。あらかじめ作成した高精度3Dマップと比較しながら自己位置を推定して走行する。本来ならパトロは遠隔監視システム「ROBO-HI」と連携できるが、この日は通信障害のために実演は叶わなかった。

この日の実験を通して有効と思えたのが、パトロ前部のディスプレイで表す豊かな表情だ。監視する時はややキツメの表情で走行する一方、人が前に立ち塞がると涙目になり、道を空けてくれるとハート目に表情を変えるなど、全22モードの表示を備えているのだ。これは元々ラクロにも標準機能として搭載されているものだが、この日はコロナに睨みを効かせる意味を込め、歌舞伎風の目と掛け声を発してスタート。買い物客が往来する中での注目度は抜群で、消毒しているという安心感をアピールする効果も十分だった。

なお、消毒液散布機能付きパトロの使用料金は5年リースで月額11万円~(税別)に設定されている。

新型コロナも災害の一つ。“街づくり”の視点でロボットを活用

日建設計シビルの大森高樹氏は、「弊社はこれまで5年間にわたって全国79の地下街で防災・減殺を推進してきた。新型コロナウイルスも災害の一種と考えている。設計コンサルタントとしてそれにどう対応すべきか重要な問題だが、その回答の一つが今回の消毒ロボットだ」と今回の実証実験の意義を述べた。その一方で「地下街空間は空調がすべて管理されている安心・安全な場所。その上でロボットによる消毒をすることで、人とロボットで役割分担ができる。たとえば昼は防犯パトロールで活用し、夜は消毒をして使い分けも提案できる」と説明した。

ZMPの龍健太郎氏は「弊社はこれまで公道での自律移動技術にフォーカスして開発を進めてきたが、実用化には時間がかかる。そこで空港やテストコースなどプライベートエリアの他、パトロを使った生活圏での“ライフロボット”の開発にも注力するようになった」と述べ、「パトロそのものは名前の通り警備ロボットとしてスタートしたが、コロナ禍の拡大を受けて2020年に入ってからは消毒用途をオプションとして実証実験を進めてきた。今後も日建設計シビルと共に“街づくり”の視点でロボット活用を提案していく」とこれからの展開を説明。具体的には今年12月より本格商用化することが決定していることも明らかにした。

《会田肇》

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