全国初の一般道バス隊列走行の実装を目指す熊谷市…熊谷市スマートシティ担当副参事竹村英紀氏[インタビュー]

全国初の一般道バス隊列走行の実装を目指す熊谷市…熊谷市スマートシティ担当副参事竹村英紀氏[インタビュー]
全国初の一般道バス隊列走行の実装を目指す熊谷市…熊谷市スマートシティ担当副参事竹村英紀氏[インタビュー]全 1 枚

埼玉県北部の熊谷市はスマートシティの一環として、一般道におけるバス隊列走行の実装を目指している。市の課題や強み、バス隊列走行の実証実験の狙いについて、熊谷市総合政策部企画課スマートシティ担当副参事の竹村英紀氏に聞いた。

竹村氏は、11月27日に開催するオンラインセミナースマートシティ/加賀・熊谷・南相馬~令和2年度重点事業化促進プロジェクト~に登壇し熊谷市で進めるスマートシティ、バス隊列走行の実証実験の結果について詳説する予定だ。

暑さ日本一を記録

---:熊谷市の課題を教えてください。

竹村氏:熊谷市は埼玉県北部の中心都市として栄え、人口は195,644人(2020年11月111日現在)、面積は159.82平方キロメートルです。

本市においては、人口減少の食い止めに向けた対応が大きな課題で、また、暑さ日本一を記録したことで「暑いまち」として全国的なニュースになったことからもお察しのとおり、暑さ対策も大きな課題です。そのほか、交流人口や関係人口の増加も見据えた様々なまちづくりへの考え方も含め、本市のスマートシティは、モビリティ、暑さに対応したまち、農業を軸とした産業創造、ウェルネス、安心安全の5つの分野を掲げています。

熊谷はラグビーの聖地

---:この暑さ対策が全国と異なるユニークな点ですね。強みは?

竹村氏:ラグビーが、大きなコンテンツとして挙げられます。熊谷スポーツ文化公園内の熊谷ラグビー場は、ラグビートップリーグ、春の高校選抜ラグビー大会や大学ラグビー対抗戦など各試合が行われラグビーの聖地となっており、2019年のラグビーワールドカップの会場ともなりました。メイングラウンドは約2万4千人の観客を収容することができます。

熊谷スポーツ文化公園はラグビーのみならず、陸上競技場、ドーム施設やソフトボール場を有するなど様々なスポーツを楽しむことができ、年間100万人を越える人が訪れる、いわば熊谷の一大観光拠点です。今後、ラグビートップリーグのパナソニック・ワイルドナイツが本拠地の移転を決定しており、更なる需要の増加が予想されます。

需要の増減に応じた柔軟なバス車両の選択をしたい

---:熊谷スポーツ文化公園はJR熊谷駅から徒歩で約50分かかりますね。公共交通でアクセスする場合でも大変そうです。

竹村氏:そうなんです。本市のアクセスポイントである熊谷駅から距離があるため、バスでの旅客輸送は必須になります。その中で、イベントのある時には大量の観客輸送が必要ですが、普段の需要状況とは当然ギャップがあり、最大限の輸送手段を通常時においても導入すれば、供給過多の状況になります。また、全国レベルでドライバー不足も問題になっている中、イベントの有無に応じて柔軟に容量を変えられるバス輸送の選択が求められています。
なお、定員の多い連節バスも選択肢として挙げられますが、これもイベント開催日以外では供給過多になってしまいますし、車両価格も非常に高額になってしまいます。そこで目を付けたのが、自動運転技術を活用し別々のバス車両をつなげて走行する隊列走行の技術です。

国内外でもめずらしいバス隊列走行

---:高速道路でのトラック隊列走行の実証実験はありました。しかし、一般道におけるバスの隊列走行は、国内のみならず海外でも聞いたことが無いかもしれません。2020年11月21日・22日に隊列走行の実証実験を行われるようですが、詳細を教えてください。

竹村氏:このバス隊列走行の実証実験は、熊谷スマートシティのモビリティ分野での推進事業に位置付けており、スマートシティ推進の基幹となる熊谷スマートシティ推進協議会において共に所属している、熊谷市と群馬大学次世代モビリティ社会実装研究センターとの共同研究事業として実施するものです。

一般道における隊列走行はまだ法制上の明確な規定はなく、現時点では一般道を走ることができないため、熊谷スポーツ文化公園内の陸上競技場外周路を使います。

また、使用する車両については、今後バス車両により実証実験を進めていきたいと考えていますが、隊列走行の実証実験自体が全国でも初めての取組みであり、我々にとってもはじめの一歩ともなる実験であるため、群馬大学様が所有するミニバン型の乗用車2台を使用します。

3~5年以内に一般公道での実証実験を目指したい

---:ロードマップなどはありますでしょうか。

竹村氏:乗用車からバス車両へ。閉鎖空間から公道へ。交通規制や安全な運行に向けた道路施設の在り方等、警察や関係機関等と協議しながら、できれば3~5年以内には、一般公道における隊列走行の実証実験を実現したいと思っています。

---:隊列走行の場合、割り込みや、3車両目以降の制御が問題に上がりそうですね。今後の進化に期待します。

竹村氏が登壇するオンラインセミナースマートシティ/加賀・熊谷・南相馬~令和2年度重点事業化促進プロジェクト~は11月27日開催。

《楠田悦子》

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