出光、新SSブランド「アポロステーション」導入…今後の具体的施策を発表

新ブランド「apollo station(アポロステーション)」給油所のイメージ
新ブランド「apollo station(アポロステーション)」給油所のイメージ全 15 枚

石油元売り大手の出光興産は11月24日、来2021年4月から導入をスタートさせる系列給油所の新ブランド「アポロステーション」の展開方針について説明した。全国に約6400カ所ある系列給油所を、約3年かけて新ブランドに順次切り替えてSSブランドの統一を図っていく。

長い歴史から生まれた文化と理念がそれぞれにある「出光」と「シェル」

出光が昭和シェル石油を完全子会社化して統合したのが2019年4月。それから1年を経た中で、旧出光系と旧昭和シェル系の給油所ブランドを併存してきたが、今回のブランド統合によって両ブランドは「アポロステーション」に完全統一されることになる。

説明会では統一にあたって展開するSSの塗装やユニフォーム、ローリー塗装、販売商品を、新ブランドに込めた世界観を表現する新デザインを公開。また、この展開に合わせ、出光カードまいどプラスの後継カードとなる新たなクレジットカード「アポロステーション カード」を21年4月にリリースするとも発表した。

説明会で挨拶に立った森下健一・上席執行役員は、「アポロ(出光)もペクテン(シェル)も100年以上も歴史のあるブランド。単なる商標というより会社の文化そのもので、それぞれに強い文化あるいは理念がある。出光にはエネルギーカンパニーとして日本を支えていくというもの。シェルは先進性と多様性を重んじてきた。統合によって二つの企業の良いところをしっかり残してブランドに反映させていきたい」とブランド統合の意義を述べた。

他業種・新業態との連携やユーザーの利便性を高める統合アプリを開発

この後、出光興産リテールマーケティング部の大石朗部長が壇上に立ち、ブランド統一に際して実施する具体的なリニューアルについて説明を行った。

それによると、リニューアル工事は2021年4月よりスタートさせ、以降1年ごとに約2000店舗を対象に行い、3年後の2023年までには6400店舗すべてを完了させる予定。

リニューアルを終えたSSから新しいユニフォームを着用する。新たなユニフォームはチャコールグレーをベースにデザインしたもので、汚れが目立たず、機能性・通気性・安全性を考慮した機能的な造りになっており、これはSSの声を反映して完成させたものだという。

21年4月からアポロステーションで新規発行されるカードは「アポロステーションカード」となるが、出光系とシェル系SSで展開していたカードと新たに発行する「アポロステーションカード」との間で相互乗り入れできるようにする。「アポロステーションカード」は、クレディ・セゾンとの提携によって生まれたもので、利用に応じてキャッシュバックやポイント付与がその柱だ。これによってユーザーの利便性が向上することになる。

また、このカードの取り組みに伴い新たなリテール戦略も展開する。その具体的な取り組みの一つが統合アプリだ。単に従来のアプリを集約した機能だけでなく、SSを訪れる月間約3000万人の顧客データを活用し、他業種・新業態との連携やユーザーの利便性を高めるサービスとする計画。デジタルプラットフォームの構築によってユーザーとの接点をより増やし、ユーザー一人ひとりのニーズに寄り添った、きめ細かなサービスを提供できるよう取り組んでいく。この統合アプリは2021年度中に展開する予定だ。

家庭用電力販売にも力を注ぐ。これまでシェル系SSで行ってきたが、現在、出光系SSでも展開できるようシステム開発を進めており、統一後はアポロステーションすべてで受けられるよう取り組んで行く。これによって電力系顧客との接点が拡大することになる。これまでSSは給油とカーケアが中心だったが、暮らしと移動を支えるライフパートナーとして、このリテール領域を拡大して他社とは一線を画した差別化を図っていく。

「電動化への取り組み」、「ペクテンマークは日本で消滅するのか」

説明終了後の質疑応答では多くの質問が出た。その中で電動化への取り組みについて森下氏は「現在、岐阜県の飛騨高山と千葉県の館山において超小型EVによるカーシェアを展開中。観光ニーズとして好評で、それを踏まえて今後の電動化ニーズに応じて対応していく」とした。

また、ペクテンマークは統合後に完全消えてしまうのかとの質問に大石氏は「3年後までにはロイヤル・ダッチ・シェルとの契約も切れることもあり、統一後は日本国内のSSでペクテンマークがガソリンスタンドに掲げられることは完全になくなる。“シェル”が残るのは店頭で販売される潤滑油だけになる」と回答した。

《会田肇》

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