東武 C11 蒸気機関車が重連デモ、息のあった2両連結牽引…3機目の復元も着々[動画]

東武C11 325+C11 207重連
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東武鉄道日光線下今市~鬼怒川温泉で走る蒸気機関車牽引列車「SL大樹」に、真岡鐵道からやってきた C11形325号機が加わり、12月26日から同形207号機といっしょに2両体制で、土休日4往復運転に挑む。

そんな両機が12月6日、南栗橋車両管区(埼玉県)で息のあった重連運転、すなわち2両連結しての運転をみせてくれた。

JR北海道からやってきた東武鉄道 C11 207 は、1941(昭和16)年に日立製作所で製造され、静内・苫小牧・長万部と、北海道を転々と活躍。1974年に廃車になるも、26年後の2000年にJR北海道のもとで車籍復帰。JR北海道 SLニセコ号などの観光列車で活躍後、ここ東武鉄道に貸し出すかたちで本州上陸を果たした。

東武で出会ったC11、2両が魅せる

いっぽう真岡鐵道からやってきた C11 325は、1946(昭和21)年に日本車輌製造でつくられ、相模線や南武線を担う茅ヶ崎機関区や、米坂線・左沢線の道を任せられた米沢機関区を経て、1972年に廃止。1998年に真岡鐵道に渡り再び息を吹き返し、同社のC12 66といっしょに茨城・栃木ののどかな真岡線を駆けていた。東武C11 207東武C11 207

そんな2両が東武鉄道日光線をいっしょに走る。南栗橋車両管区(埼玉県久喜市)にあるSL検修庫でともに整備が続く207と325はこの日、息をぴったり合わせた重連運転を見せてくれた。この日開催された「東武プレミアムファンツアー」のアトラクションの一つだ。もともと重連は牽引する貨車や客車に対し、機関車の出力が1両では足りない場合に用いられた運用方法だ。蒸気機関車が現役の時代でも見られる機会は多くなかった。

重連運転デモ走行コースは、南栗橋車両管区SL検修庫脇の訓練用仮設ホームと、同社教育訓練センター付近との間、約800mのいわゆるSL試運転線だ。日光側を前向きに、325が前機、207が後機につく。客車はSL大樹14系3両。乗降ホームからの出発は後ろ向きの推進運転、折り返しが通常の前向き牽引運転となる。今回は、車両基地内ということで自動列車停止装置(ATS)を積むヨ8000(車掌車)を連結せず、機関車2両+客車3両で組んだ。客車にはツアー参加者が乗った。

無線など使わず、前と後ろの釜の息をあわせていく

さっそく、南栗橋車両管区で重連による推進運転が始まる。発車前、黒煙を多めに空に吐き出すのは207号機。プシュー、ヴァッヴァッヴァッヴァッヴァ……と細かい息づかいで準備する。いっぽうの325号機は、ゆっくりと呼吸し黒煙も控えめに、シューッシューッと息を整えている。

そんな息づかいの違いをみせる2両が、見学者たちを驚かせたのは、両機の協調性だ。お互いに同じ形式なのに、微妙に音色が違う汽笛を一発、空高く打ち上げるとゆっくりと後進。その動き出す瞬間から速度に乗るまで、ぎこちない動きはほとんどなく、息をあわせて後進していく。

「無線など使わず、毎回、事前の打ち合わせとトレーニングで、前と後ろの釜(=蒸気機関車)の息をあわせていく。『こうきたら出力はこれぐらいでいこう』と。たとえば、前が0.3開けたら、こちらは0.1(弁を)開けるとか。前が当たるようだったら後ろ(の弁を)を開けると」

ひとやすみしていた機関士がそう教えてくれた。今回は自動列車停止装置(ATS)を積むヨ8000(車掌車)などをつけず、駅員や車掌の手旗信号などで、重連運転をほぼ成し遂げていたことに、見学者たちはSL時代を知らない10代も知る70代も「すごいね」と笑う。東武C11 325+C11 207重連東武C11 325+C11 207重連

3機目のC11も息を吹き返す、着々と

東武はこの日、“もうひとつの C11”もみせてくれた。JR北海道からのC11 207、真岡鐵道からのC11 325、彼らに続く東武3機目のC11。滋賀県の江若鉄道(滋賀県)に新製導入、北海道・釧路で引退したC11 1が、東武鉄道にやってきて123号機と改番されていま復元作業が続いている。東武C11の3機体制を表し、“ホップ・ステップ・ジャンプ”で、車番を123にした車両だ。

このC11 123の復元現場も東武は公開した。SL検修庫には、123号機のシャシー(台枠)や運転室、動輪など、「ボイラー以外のほぼすべて」が整然と並べられていて、作業員たちがもくもくと復元する姿を垣間見た。東武C11 123復元(台枠)東武C11 123復元(台枠)

そのなかでも注目は、運転室のキャブ部分だ。この日は、C11 1時代のキャブと、複製されたキャブが並べて展示されていた。「老朽化が激しいなどの理由から、キャブは原形を忠実に再現しながら複製していく」と関係者はいう。

そこで見学者たちを驚かせたのは、機関士・機関助士が前方を確認する窓のワイパー。「C11 1時代に一般的なワイパーがついていたのを、複製運転室では、降雪地域の車両にみられる旋回窓をつけた」。

2度も3度も息を吹き返すC11形蒸気機関車がいる東武鉄道南栗橋車両管区。3機目のC11 123が、関係者たちの地道な復元修復作業でまたも息を吹き返していくなか、その脇でC11 207と325の息のあった走りと呼吸を目の当たりにした。東武の客車列車が、このあとどんな車窓をみせてくれるか。楽しみ。東武C11 325+C11 207重連東武C11 325+C11 207重連

《大野雅人》

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