ポルシェ 911 新型に初のレーサー、ターボボディに510馬力フラット6搭載…「GT3カップ」発表[動画]

累計4000台以上が生産された世界で最も成功を収めているレーシングカー

カップカーとして初めてワイドなターボボディ採用

新開発の10.3インチカラーモニター

最大出力は従来型を25hp上回る

ポルシェ 911 GT3 カップ 新型
ポルシェ 911 GT3 カップ 新型全 18 枚

ポルシェは12月12日、新型『911 GT3カップ』(Porsche 911 GT3 Cup)をデジタルワールドプレミアした。新型「911」シリーズ(タイプ992)をベースにした最初のレーシングカーだ。

写真:ポルシェ 911 GT3 カップ 新型

累計4000台以上が生産された世界で最も成功を収めているレーシングカー

ポルシェ911 GT3カップは、世界で最も成功を収めているレーシングカーだ。プロダクションカーに近いカスタマー向け競技車両として、1990年以来、ポルシェはこのワンメイクカップレーサーを累計4251台製造してきた。ドイツ・ツフェンハウゼンの911シリーズの組み立てラインからは、「991.1」世代の911 GT3カップが673台、2017年に発売された「991.2」世代の911 GT3カップが737台、ラインオフしている。

新型911 GT3カップの開発は、2018年の半ばに開始された。新型レーシングカーがどのように見え、何ができるか、何を改善し、カスタマーチームから何を期待されているか。エンジニアやメカニック、ドライバーやチーム関係者の意見に耳を傾け、現行モデルの課題を洗い出した。大量の情報を収集することにより、新しいグローバルモデルの開発に適切な優先順位つけられるようになったという。

パフォーマンスに関しては、新型911 GT3カップは大きな飛躍を遂げているという。サーキットでのラップタイムをはじめ、エンジンやサスペンション、エアロダイナミクスやブレーキ、電子機器や人間工学に至るまで、すべての分野で性能を引き上げている。ポルシェ 911 GT3 カップ 新型ポルシェ 911 GT3 カップ 新型

カップカーとして初めてワイドなターボボディ採用

新型911 GT3カップの特長の1つが、最適化されたエアロダイナミクスと、より筋肉質になったフォルムだ。カップカーとして初めて、ワイドなターボボディが採用された。リア部分の全幅は1902mmと、従来型に対して28mmワイドになった。ホイールの前側には、新たに冷却空気の取り入れ口が設けられている。

フロントアクスルも、従来型よりも大幅にワイドになっている。拡幅されたフロントフェンダーによって、新型911 GT3カップのフロント部分の全幅は、1920mmに。これにより、前後ともに、さらに大径化されたホイール&タイヤの組み合わせを可能にしている。

新型911 GT3カップは、従来型よりも多くのダウンフォースを生み出す。これは、大型リアウィングとリップスポイラー付きのフロントバンパーの組み合わせの効果だ。大型リアウィングには、「スワンネック」と呼ばれるマウントが備わり、11段階の調整が可能。とくに高速コーナーにおいて、いっそう安定したハンドリングを実現しているという。

新型911 GT3カップの乾燥重量は、1260kgで、従来型よりも約35kg重い。これは、安全性を強化するために、スチール製のセーフティセルに支柱が追加されたためだ。ルーフ部分の取り外し可能なエスケープハッチは、最新のFIA(国際自動車連盟)規格に準拠したもの。すべてのウィンドウは軽量のポリカーボネート製で、傷がつきにくいハードコートグレージングが施された。ドア、エンジンフード、リアウィングはCFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)製。エアダクトと中央の空気取り入れ口を備えたフロントフードは、市販車の「911カレラ」と同様に、アルミ製とした。ポルシェ 911 GT3 カップ 新型ポルシェ 911 GT3 カップ 新型

新開発の10.3インチカラーモニター

新型911 GT3カップのインテリアは、ドライバーのために人間工学を重視して設計された。新開発のレーシングシートは角度に加えて、2段階に高さを調整できるようにした。調整可能なステアリングコラムと組み合わせることにより、すべてのドライバーの体格に理想的なフィット感をもたらすという。カーボンファイバー製のマルチファンクションステアリングホイールは、「911 GT3 R」から採用されたアイテムだ。ドライバーのフィードバックを受けて、照明付きボタンの位置が見直されている。

右側に10個の大きなボタンがある「ラバースイッチパネル(RSP)」は、ポルシェ「919ハイブリッド」のコントロールエレメントがモチーフだ。これらのボタンは、レース中の暑さでも使いやすく、照明や換気などの機能を作動させたり、タイヤの設定をドライからウェットに変更したりできる。ブレーキバランスの調整も可能にしている

10.3インチのカラーモニターは刷新された。画面は、レース中のドライバーにとって、重要なデータと情報の表示を優先する。エンジン回転数とともに表示されるのは、水温と油温、選択しているギア、エラーメッセージ、雨天レースでの「ウェット」など、重要な設定に関する情報だ。データの読み出し後、ドライバーとレースエンジニアが同じ情報を見ることができるように、ディスプレイとコンピューターモニターの両方のデザインが変更されている。

電子機器は、エラー分析を容易にし、問題解決に具体的に役立つように、ユーザーフレンドリーな設計とした。約700の診断オプションが利用可能だ。ソフトウェアが、すべての情報をより明確かつわかりやすく要約する。カレラカップの多くで、システムオフとなっているABSやトラクションコントロールなどは、デジタルコードを介してアクティブ化できる。

モータースポーツコントロールユニットとデータロガーは、助手席の足元から、車両の右後部のコンパートメントに移動した。「レースタクシー」で助手席が必要な場合などで、助手席の設置を容易にしている。ポルシェ 911 GT3 カップ 新型ポルシェ 911 GT3 カップ 新型

最大出力は従来型を25hp上回る

リアアクスルは、基本的に市販車から変更されていない。フロントは、ポルシェのトップレーシングモデルの「911RSR」と同様、ダブルウィッシュボーンとユニボールベアリングによってコントロールされる。ショックアブソーバーには、919ハイブリッドと911RSRのバルブ技術を採用した。フル電動のパワーステアリングが911GT3カップに初めて導入された。これにより、油圧ポンプや油圧ラインを不要にしている。

エンジンに関しては、新型911 GT3カップも自然吸気を継続する。新型には、排気量4.0リットルの水冷水平対向6気筒ガソリンエンジンが搭載されており、最大出力は、従来型を25hp上回る510hpを発生する。ドライサンプ潤滑を備えた高回転ユニットは、従来型の7500rpmから8400rpmへ、最大出力の発生回転数を引き上げた。レッドゾーンは8750rpmから。最大トルクは47.9kgm/6150rpmを引き出す。

2つのレゾナンスフラップを備えたシングルスロットルバタフライシステムは、レスポンスを向上。触媒コンバーター付きのレーシングエキゾーストシステムと組み合わせて、刺激的なサウンドを発生するという。参戦カテゴリーやレギュレーション、サーキットに応じて、3種類の排気システムが選択できる。エレクトリックエンジンマネジメントシステムは、ボッシュ製の「MS6.6」とした。

新型911 GT3カップは、合成燃料でも走行できるため、レースでのCO2排出量を大幅に削減できる。また、サーキットのレイアウトにもよるが、新型のラップタイムは、従来型よりも1%短縮されているという。

なお、新型911 GT3カップは、「ポルシェMobil 1スーパーカップ」や「カレラカップ」の2021年シーズンに、実戦投入される計画だ。

《森脇稔》

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