【ボルボ XC40 B5 Rデザイン 新型試乗】“電動車感”のない走りをする電動車…中村孝仁

ボルボ XC40 B5 Rデザイン
ボルボ XC40 B5 Rデザイン全 28 枚

ボルボは今後、内燃機関だけの動力源を持つクルマを作らない…そう宣言してからだいぶたつが、日本市場のモデルはついにすべて電動車に切り替わった。

と言っても厳密なことを言えばどうやらまだ古い『V40』の在庫があるようなので、すべてとは言えないものの、要するに新ラインナップのモデルはすべて切り替わったということである。ただ、その中に現状のラインナップにピュアEVがあるわけではなく、すべてPHEV(プラグインハイブリッド)もしくはMHEV(マイルドハイブリッド)である。

今のところ『XC40』には2種のMHEVと1種のPHEVが用意されているが、今回試乗したのは高性能なMHEVモデル、「B5」である。

電動車を意識することはない

ボルボ XC40 B5 Rデザインボルボ XC40 B5 Rデザイン
このMHEVという方式。簡単に言えば確かに電動モーターは付いているし、別建てのリチウムイオンバッテリーなども装備されるのだが、ハイブリッドの名を持つからといって、モーターとエンジンが交互に顔を出すようなハイブリッドだと思ってもらっては困るのだ。

最近のMHEVはISGと言って、インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター。つまりスターターとジェネレーターを兼ねたモーターと、小さなリチウムイオンバッテリーを装備するものが多く、いわゆる電動走行が出来るほどの電気は持ち合わせていない。あくまでスムーズにスタートさせることと、エンジンのアシストに終始する。ボルボもそれで、48Vのバッテリーを搭載している。そしてモーターは最高出力10kwに40Nmの最大トルクであるから、モーターのパワーは最小限と言ってもよい。

というわけであるので、実際のガソリン内燃車とMHEV車に乗ってその差異を見つけることは非常に難しいし、一般ユーザーならほとんど気付かないレベルだと言って良いと思う。つまり電動車とは言え、全く電動車感のない走りをするクルマなのである。

発進加速がスムーズ、それ以上でも以下でもないが

ボルボ XC40 B5 Rデザインボルボ XC40 B5 Rデザイン
ではどこでその違いを見出すかであるが、走りの観点からすればモーターがスターターの役目を果たしてくれるので、アイドリングストップした状態から発進する時のクルマの挙動がスムーズであることが最大の違いであろうか。また、メーター内に小さな電池のマークが付いているがこれが電動車である証のようなもので、正直言うとまあハンコのようなものだ。

多分これがなければ(あるいはエンブレムを見なければ)通常のガソリン車との違いを感じ取ることはほとんど不可能だといっても過言ではないわけである。あくまでインプレッションとしては発進からの加速がとてもスムーズだなという感じは持つのだが、正直言えばそれ以上でも以下でもない。

つまりほとんどのこのクルマを購入されたオーナーは、ガソリン車と同じ気分で運転しながら、裏で一生懸命働いてくれるモーターやB5に組み入れられた気筒休止システムなどの恩恵で、少なからず地球環境には貢献できているということなのである。

回して愉しいエンジンに仕上がっている

ボルボ XC40 B5 Rデザインボルボ XC40 B5 Rデザイン
B5を良い良いと褒めていた仲間のジャーナリストが、何を持って良い良いと言っていたかは試乗して分かった。それは単純にそのパワーの違いである。以前試乗した「B4モメンタム」はFWD。一方「B5 Rデザイン」は4WDである。B4と比べると80kgほど重い。ところがパフォーマンスはパワーで43ps、トルクで50Nm、B5が上である。

トルクの発生域もB4が1500~4200rpmで最大トルクを発生するのに対し、B5は1800~4800rpmと全体的に少し高回転側にトルクが移動している。そんなわけだから、回して行って愉しい。そんなエンジンに仕上がっているところが、良い良いの話に繋がったのではないかと思うわけである。

まあ正直言って、XC40が使用しているCMAと呼ばれるプラットフォームの出来は、このセグメントでは間違いなくトップクラス。運動性能に関してこのクルマが優れているのはこのプラットフォームに負うところが大きい気がする。B4でも性能的には十分だと感じていたが、確かにB5に乗るともっと愉しい。

ボルボ XC40 B5 Rデザインボルボ XC40 B5 Rデザイン

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来43年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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