ダイハツ コペン スパイダーVer.は「玄人にも、直感で感じる人にも」…東京オートサロン2021[インタビュー]

ダイハツ コペンスパイダーVer.
ダイハツ コペンスパイダーVer.全 14 枚

ダイハツは東京オートサロン2021バーチャルオートサロンに『コペン』をベースにしたライトウエイトスポーツカー、『コペン・スパイダーVer.』を出展する。よりピュアに風を感じるスポーツカーを目指して開発されたという。

もっと風を感じて、もっと運転を楽しんで

----:コペン・スパイダーVer.は、コペンそのものが持っているスポーツカーのイメージをより強調したイメージに感じます。具体的なポイントは何でしょう。

ダイハツコーポレート本部先行企画グループ主任の工藤真輔さん(以下敬称略):初代、現行のコペンとも、特にクルマが好きではないような女性でも一目ぼれで購入していただいています。つまりコペンによって、クルマを所有する楽しみや、どこかにクルマで出かける楽しみなどを知ってもらえているということです。それであれば、そういったことの入り口にあるクルマということで、もっと風を感じてドライブし、ドライビングプレジャーをもっと感じてもらえる方向もあるのではとトライしたのがこのクルマです。

ダイハツデザイン部第一デザイン室先行開発スタジオ主任の米山知良さん(以下敬称略):もうひとつ、クラシックカーなどのラリーイベントが日本でも多く開催されています。そういうクルマは所有するのに何千万円もかかってしまうでしょう。しかし、もっと気軽にこういうテイストを味わえるようなクルマを、エントリーの役目を担っているダイハツがこの価値を提供出来ないかと考えた結果でもあります。市販を考えて作ってはいませんが、こういうクルマがあったらダイハツのお客様にも喜んでもらえるだろうという思いを込めました。

こういったクルマが家のガレージに1台停まっていると、それだけで明るい気分になるでしょうし、乗っていてもきっと笑顔になると思います。いまクルマは電子制御デバイスなどがクルマと人間の間に入って来て、そういったものも非常に大事ではありますが、もっとクルマの原理的なところで直接ドライバーに訴えかけてくるようなところを、いまの時代にあえて作ってみると結構面白いことになるのではと思います。

----:ユーザー像ですが、すごくクルマに詳しい人から、あまり興味はなく直感で好きという二方向ありそうですね。

工藤:そうですね、すごく玄人なクルマ好きの人にも良いねと思ってもらえるでしょうし、そうではなく、なんだかクルマはよくわからないが、直感的に素敵だと思う方々も多くいると思います。入り口にいる人と極めた人の両方をこのクルマが押さえているわけです。

イタリアのバルケッタをモチーフに

----:では実際にデザインするにあたって、特徴的なところを教えてください。

米山:コンセプトは走りに振ったピュアスポーツで、現行コペンをもっと走りに特化させたかったという思いです。

後ろのオープンの機構を殺しておよそ100kg軽量化。そこにフェアリングをつけ、フロントウィンドウスクリーンを1/3くらいにカットしています。このヒントは古いクルマから得ています。

1950年代、イタリアのバルケッタと呼ばれる小さなレーシングカーがありました。バルケッタとはイタリア語で小舟を意味しており、その名の通り小さなオープンのレーシングカーで、当時のフィアットなどの大衆車をベースに作られていました。ルマンやミッレミリアなどのレースに出場し、より大型なクルマたちを相手に優勝を飾ったりもしていたのです。また、プライベーターがワークスチームに勝ったりすることもありました。

いまそのバルケッタはクラシックカーイベントなどで風を感じながら楽しまれています。しかしそういった経験をするにはとても敷居が高いですよね。先ほどお話したように簡単に手に入れることも出来ません。そこで我々はもっと身近に感じて、純粋に同じような走りを楽しんでもらえるようなクルマを作ったらどうかと、今回提案したのです。

フロントは元々は4灯のようなランプ構成になっていますが、もっとシンプルにして軽く見えるようにデザインしています。フロントグリルも逆台形のような形から、あえてオーバル形状のメッシュグリルにしたり、リアもよりすっきりさせて、ピュアスポーツカーに仕上げていきました。

----:このクルマも一番のこだわりはどこですか。

米山:それはフェアリングです。当時のバルケッタを現代流に解釈して、より走りに特化、純化したもののイメージを表現しています。

快適に気持ち良く

----:今回の全体のコンセプト、「ダイハツヴィレッジ カラフルカーニバル~新しい楽しみ方、見つけちゃおう~」という中で、このコペン・スパイダーVer.はどういう立ち位置になるのでしょう。

米山:まず景色の良いところを匂いや風を感じながら走りを楽しんでもらいたいと思っています。まさにファントゥドライブですね。現行コペンは電動オープンに注目が集まりがちですが、実際に走らせるとスポーツカーとしての良いところがたくさんあります。そこにフォーカスして作りました。ただしガチガチのサーキット仕様ではなく、快適に気持ち良くという方向性です。

そこで、ホイールにもこだわってRAYSの鍛造アルミを装着し、シートも走りを楽しむためのD-SPORTのバケットシート、マフラーもD-SPORTのものを採用し、音や座り心地にもこだわって作りました。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 2.5Lエンジンを搭載する『インプレッサ』登場、米2026年モデルに「RS」
  2. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
  3. 新型アウディ『Q3』のインテリアを公開、「コラム式シフト」と新デジタルコックピットが目玉に
  4. 21車種・64万台超、トヨタ自動車の大規模リコールに注目集まる…7月掲載のリコール記事ランキング
  5. シボレー『コルベット』がニュルブルクリンクで「米国メーカー最速ラップ」樹立
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
ランキングをもっと見る