サムスンの近未来コクピット、PC作業やゲームが可能…CES 2021

デジタルコックピット2021
デジタルコックピット2021全 11 枚

ハーマンインターナショナルを傘下に持つ韓国サムスンは1月11日、「CES 2021」のプレスカンファレンスを開催。自動運転の下、車内で長時間のPC作業やテレビゲームなどを可能にする近未来のコンセプト「Digital Cockpit 2021(デジタルコックピット2021)」を発表した。

このコンセプトで圧倒されるのは搭載されたディスプレイ群だ。ダッシュボード奥には49インチの巨大なQLEDディスプレイを配置し、自動運転モード時には自動的にステアリングが奥に収まってディスプレイの表示が楽しめるようになる。この「QLED」とはバックライトの光源に青色LEDを用いた「Quantum Dot(量子ドット)」技術により、一般的な液晶パネルよりも豊かな色再現と低消費電力を実現するディスプレイのこと。この圧倒的な高画質により、自動運転化されたより車内空間を盛り立てようというわけだ。

このディスプレイは「ドライブモード」と「メディアモード」の二つのモードに対応している。運転をするドライブモードではドライバーの視界を遮らないよう、画面の上半分だけが露出し、様々な情報をドライバーに提示できるように最適化。一方で車両が停止または駐車したり、自動運転で走行する際は「メディアモード」になり、ディスプレイがより目立つ位置に調整されて49インチの画面を最大限に活用できるようになる。巨大なディスプレイにより、リアルタイムのゲーム、オンラインコンサート、ライブブロードキャストなどを、まるでそこにいるかのような没入感のレベルで楽しむことができるのだ。

LCDはそれだけにとどまらない。後部座席には90°回転して横型になるディスプレイが下方からせり上がって展開され、前後席ともにエンタテイメントを満喫できる仕組みとなる。サウンドもシートのヘッドレストにも取り付けられたスピーカーにより、ハーマンサウンドのパフォーマンスを活かした没入感あふれるものとした。また、ステアリングホイールの中央にはドライバー専用のタッチ機能付8.8インチディスプレイを装備。車内ディスプレイを楽しむ際のコントローラーとして機能し、コンテンツの再生、音量の調整、メニューのナビゲートを司るのだ。

一方、コミュニケーション能力も大幅に高められた。その中心となるのは言うまでもなく5Gテクノロジーだ。この技術が展開されることで、たとえ移動中であっても、あらゆる種類の作業の管理を容易にする。オンラインによるビデオ会議をサポートするだけでなく、そこにはビデオクリップを編集するツールも含まれる。デジタルコックピットは移動中であってもモバイルオフィスとして機能するシームレス性をしっかりとサポートしてくれるのだ。

安全性にも最大限の配慮が施されているが、サムスンがこれを考えるとき、まず前提となるのがドライバーの健康状態だ。そのために車内には健康状態をチェックする機能が用意された。それが最新のスマートフォンとテレビに含まれているSamsung Healthサービスの拡張バージョン「Automotive Samsung Health」である。乗車前に乗員の健康状態を分析して、乗客のストレスレベルまでも定期的に監視。車両の照明、香り、または音楽を調整して、乗客がリラックスできるようにするのだ。

さらにこのサービスでは睡眠パターンとまぶたの動きを分析し、ドライバーが道路上にいるときの状態を常に監視することにも役立たせている。リアセンターアームレストにあるコントロールディスプレイにはタッチ式コントロールパッドが含まれ、シンプルで直感的なジェスチャーで様々な環境関連機能を管理することが可能。使用しない時はコントローラーが自動的に消え、モダンなインテリアとして雰囲気を醸し出す。これにより、クルマが単純な移動手段から日常生活の一部にもなり得るというわけだ。

インフォテイメント系はフロントガラスの上部に表示される。バックミラーも電子ミラー化され、その両横には天気と気温、世界時計、スマホに届いたメッセージの通知、開催中のスポーツの得点など必要な情報を表示。ドライバーにさまざまな有用な情報を提供することで安心安全につなげるのだ。また、本来なら先が見通せない道路状況でも、周囲の人々と通信することで、たとえば歩行者が近くにいることをいち早く察知できる。そして、ボンネット先端に備えたフロントマウントディスプレイによって歩行者へのメッセージを表示して安全を確保するのだ。

なお、このコンセプトは、2018年のCES 2018で発表したコンセプトをアップデートしたものとなっている。自動運転が実現したときの車内空間という大枠でこそキープコンセプトであるものの、そこにサムスンが持つ新たなテクノロジーを組み合わせることで一年ごとに仕様を更新。近未来の車内空位間を創り出すことととなった。サムスンとしては今後もハーマンインターナショナルの車載技術を活用し、将来への展開へつなげていく方針だ。

《会田肇》

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