NEXCO中日本における大雪時の「当面実施する対応策」…滞留車両発生を踏まえて

北陸道・東海北陸道大雪による大規模滞留事象の位置図
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中日本高速道路(NEXCO中日本)が管理する北陸自動車道(北陸道)と東海北陸自動車道(東海北陸道)で、1月9日から12日にかけての大雪により大規模な滞留車両が発生した。その際の対応についてNEXCO中日本では、課題と原因を検証し、再発防止のため大雪時における「当面実施する対応策」をとりまとめた。

NEXCO中日本が1月25日に発表した「中日本高速道路における大雪時の当面の対応策について」は、3つの検証ポイントに分かれており、それぞれに「事実関係」と「当面実施する対応策」が述べられている。

検証ポイント1…通行止めのタイミングが遅れたこと(滞留車両が多く発生したこと)

対応策:現行ツールの他、幅広い層に訴えかけるツールを使用した広報を実施
対応策:早期の通行止め判断を実施
対応策:自力走行不能車両の発生抑制

検証ポイント2…滞留状況の正確な把握ができなかったこと

対応策:滞留車両の状況を正確に把握
対応策:知見の蓄積による道路管理能力の向上

検証ポイント3…滞留車の救助・支援が不充分だったこと

対応策:正確な現場状況把握に基づき、早い段階での応援要請を判断
対応策:滞留車両の早期退出に向けた対策
対応策:救援物資の応援要請と早期かつ確実な配布
対応策:滞留車両のドライバーへの情報提供E8北陸自動車道(福井県)における大雪に伴う車両滞留E8北陸自動車道(福井県)における大雪に伴う車両滞留

中日本高速道路における大雪時の当面の対応策について概要

検証ポイント1…通行止めのタイミングが遅れたこと(滞留車両が多く発生したこと)
検証ポイント1-1…事前広報について

○事実関係…NEXCO中日本では「出控え」などを目的とした広報に努めたものの、その後、大規模な車両滞留が発生したことを踏まえると充分とは言えなかった。

●当面実施する対応策…現行ツールの他、幅広い層に訴えかけるツールを使用した広報を実施

従来から引き続き、情報提供を頻度高く行なうと共に、図や写真を掲載して情報提供を強化する。ラジオの緊急放送枠を活用したお願いを実施しているが、新たに、荷主を意識したお願いを実施する。大雪が予測される場合は、これまでの記者発表や公式ウェブサイトなどの提供手段に加え、新たにTVCMやラジオなども活用する。

国や気象庁などの関係機関と連携した広報、トラック協会、バス協会など物流事業者や地域の経済団体の加盟会社などの荷主への情報提供も、従来どおり継続して実施する。

検証ポイント1-2…通行止め判断について

○事実関係…北陸道では、米原方面の丸岡IC~福井北ICを事故車両救出のため通行止めにした。その際に、端末となった丸岡IC接続部で自力走行不能車両が発生したが、車両の移動が確認できたことから、後続車が走行できると考えて通行止めにせず、渋滞の一因となった。 また金沢方面でも渋滞の把握が不充分だったことから、通行止めのタイミングが遅れた。さらに、並行する国道8号で1月7日から渋滞があったため、予防的通行止めを躊躇した。東海北陸道では大型車の自力走行不能車両が発生した。当初はトラクターショベルによる移動を試みたが、困難だったためレッカー車による移動に変更した。これに時間を要し、通行止めのタイミングが遅くなった。

●当面実施する対応策…早期の通行止め判断を実施

予防的通行止めの実施や実施判断について強化する。予防的通行止めの実施前に、車線が確保されていても渋滞長が伸びると予想される場合は、躊躇なく通行止めを実施する。新たな施策として、状況に応じて並行する一般国道と同時に高速道を通行止めにする。

複数の道路管理者の調整・判断が必要となる場合など、高度な意思決定が伴う場合には上位機関の助言を得ながら協議する仕組み(ウェブ会議)を構築する。大雪警報などの情報を得た段階で国道事務所に設置された情報連絡本部と連携を図るべく、相互リエゾン(連絡員)を配置する。これら協議やリエゾンは従来から継続しての施策。

●当面実施する対応策…自力走行不能車両の発生抑制

トラクターショベルの事前配置を継続、さらに、大型車両も牽引可能な大型レッカー(20t級)の配置箇所を拡大する。

検証ポイント2…滞留状況の正確な把握ができなかったこと

○事実関係…現場の滞留状況を確認する人員が充分でなく、かつ、除雪や交通誘導など、他の業務と兼務だった。途中から現場状況把握のための専任班を配置したが、充分でなかった。また、インターチェンジと一般道の接続部の状況を把握する要員を配置しておらず、出口渋滞の状況確認が不充分だった。

●当面実施する対応策…滞留車両の状況を正確に把握

複数箇所での同時滞留発生を想定し、滞留車両の確認するのに充分な専任の体制を事前に構築し、降雪が強まる前に巡回体制を強化する。配置した人員で充分でないと判断される場合は、本社主導により補強人員を派遣する。スノーモービルの活用やウェブカメラの設置を強化する。

また新たに、関係機関の情報連絡室において報告された情報を文字化して共有するなど、確実に確認できる仕組みを構築する。重要情報については、県から市町への通常ルートによる連絡に加え、NEXCO中日本から首長に直接連絡するなどにより、早期に共有する。

従来からの施策として、関係機関で構成する情報連絡会議を通しての情報収集・把握、ヘリコプター、衛星通信車、ドローンの活用、CCTVカメラ撮影や現地除雪作業員からの聞き取りなどにより、事故・自力走行不能車両に関する情報の収集などを継続する。また、情報伝達員が他の業務に巻き込まれることなく情報収集・伝達に専念できるよう充分な体制とする。

●当面実施する対応策…知見の蓄積による道路管理能力の向上

道路管理能力を高めるために、各高速道路会社相互に、雪害対策に関する取組みや失敗例をはじめとする事象事例などについて共有し、知見を蓄積する枠組みを構築する。E41東海北陸自動車道(富山県)における大雪に伴う車両滞留E41東海北陸自動車道(富山県)における大雪に伴う車両滞留

検証ポイント3…滞留車の救助・支援が不充分だったこと
検証ポイント3-1…他機関などへの支援要請について

○事実関係…滞留状況が正確に把握できなかったため、県、自衛隊など関係機関に対する応援要請が遅れた。県、自衛隊が現場到着してもNEXCO中日本の連絡調整責任者が不在で、的確な作業要請ができなかった。

●当面実施する対応策…正確な現場状況把握に基づき、早い段階での応援要請を判断

複数箇所での同時滞留発生を想定し、専任で滞留車両の確認するのに充分な体制を事前に構築し、降雪が強まる前に巡回体制を強化する(再掲)。現地での支援要請をする際には、現場で効率的に支援活動ができるよう、活動単位毎に連絡調整責任者を配置することにする。

滞留車の救助・支援に関して、通行止めから3時間を経過した時点で自力走行不能車両を動かせない場合は、数百台規模の立ち往生となり滞留車救助に24時間以上を要すると見込まれる。したがって迅速に、国、県、自衛隊など関係機関に支援要請を行なう。

関係機関との情報連絡室への情報伝達において、滞留・渋滞などの道路情報だけではなく、滞留車両の発生、それらの数・滞留時間・状況、自力走行不能車両の撤去見込み時間などの、救出行動に必要な情報を共有する。

検証ポイント3-2…滞留車両のお客さま支援実施について

○事実関係…物資支援に要する人員、所要時間の想定が甘く、過少な体制投入になっていたことに加え、社内の支援体制が整わず支援物資の配布が遅れた。滞留者への情報提供についても内容・頻度が不充分だった。北陸道での滞留者の安否確認、一時避難等の意向確認については、複数個所で滞留車が発生したため、人員不足となり体制確保に時間を要した。

●当面実施する対応策…滞留車両の早期退出に向けた対策

除雪機械だけでなく、人力による除雪をおこなう要員を事前に配置、滞留時の除雪に有効な小型除雪機械の増車など、強化策を実施する。

滞留車の救助・支援に関して、通行止めから3時間を経過した時点で自力走行不能車両を動かせない場合は、数百台規模の立ち往生となり滞留車救助に24時間以上を要すると見込まれる。したがって迅速に、国、県、自衛隊など関係機関に支援要請を行なう(再掲)。

滞留車の状況把握・救出に際して、順行に加え逆走・中央分離帯開口部でのUターン処理などを、高速道路交通警察隊などと連携して実施する(従来策継続)。除雪車両が渋滞に巻き込まれた際には、緊急車両の誘導により迅速な移動ができるよう関係機関とあらかじめ調整する(従来策継続)。

●当面実施する対応策…救援物資の応援要請と早期かつ確実な配布

複数箇所での同時滞留発生も想定した支援物資の量を準備し、配布の人員を充分確保するよう、用意を強化する。活動に当たり、関係機関により現地対策本部が構築された場合には、現地対策本部に要員派遣などの対応を行なう(新規施策)。NEXCO中日本での対応に足りない可能性が少しでもある場合は迅速に、国、県など関係機関に支援を要請する(従来策継続)。

●当面実施する対応策…滞留車両のドライバーへの情報提供

SNSによる作業状況や支援状況などの情報提供は専任の要員でおこない、頻度高く発信する。また、写真や図を掲載した情報提供をおこなう(従来策強化)。救援物資配布の際に、公式ウェブサイトやSNSを案内するチラシを渡し、滞留車両の乗員に情報提供手段を知らせる。モバイル端末を所有していない人には、車両や徒歩の可能な手段で接近し、拡声器などで案内する(従来策継続)。

《高木啓》

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