【ホンダe 新型試乗】久しぶりにガレージに納めたい一台と出会った…九島辰也

RR専用プラットフォームという殺し文句

それなりのサイズに乗っている優雅さがある

16インチの乗り心地がかなりいい

ホンダe アドバンス
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RR専用プラットフォームという殺し文句

『ホンダe』はとてもユニークなクルマだ。見た目もそうだが、開発のストーリーがそう思わせる。というのも、この手のコンパクトカーをつくるとなるとFF(フロントエンジン・フロント駆動)を想定するのが常識。が、こいつはRR(リアエンジン・リア駆動)という個性的なパッケージングを有する。

もちろん、開発陣にそこを問うと当初はFFで設計図を描いたと語った。フロントアクスルにモーターをつなげる手法だ。ところが、それではハンドルの切れ角が十分に取れず他社に勝る小回りはできないと判断。そこで、RR案が浮上する。ユニークなのはその時の開発陣の反応だ。RR案が色濃くなると彼らの中の何人かがざわついたらしい。つまり、走りを鑑み、はじめからRRで作りたいと思っていた人が複数いたのである。なんともホンダらしい話ではないか。

ホンダe アドバンスホンダe アドバンス
FFとRRではそれぞれメリットデメリットがあるので一概にどちらがいいとは言えない。走りの面で考えれば、安定させたいのであればFFだし、ハンドリングを重視するのであればRRになる。ただ、汎用性という面ではFFに軍配が上がる。実用車として広く活用できるのは言わずもがなだ。

それでもホンダeがRRで作れたのには専用プラットフォームという殺し文句がある。派生する汎用車のことを考えなくていいという前提に開発された。

それなりのサイズに乗っている優雅さがある

ホンダe アドバンスホンダe アドバンス
そして出来上がったRRのホンダeだが、走りの面でユニークな工夫があることを知った。それは、アクセルを離した時の回生シーン。リアタイヤの回生が強いとフロントが暴れてしまう現象が起きる。そこで、ドライバーが意図せずにクルマが勝手にブレーキを摘み、挙動を安定させるという仕組みだ。なんとも賢い。実際に高速道路でそんな場面に何度も出会ったが、都度安定していたのは確かである。

では、その走りを総括すると、とても楽しい。ハンドリングは気持ちいいし、走りも頼もしい。特にパワーは2クラスくらい上の感じがする。キャビンがすっきりしてコンパクト感が薄い分、走り出すとせせこましさは皆無。高速道路ではそれなりのサイズに乗っている優雅さがある。

それでいて、コーナリングの機敏さは想像以上。ロールは抑えられ、ステアリング操作に対しクイックに向きを変える。リニアな操作感は秀逸なセッティングだ。加速でも減速でも、自然な出力と回生がドライバーを裏切らない。ここで違和感があるとEV自体に興醒めするが、このクルマにはそれがなかった。

この辺のセッティングはもしかしたらヨーロッパを意識したものかもしれない。日本の次にメインとなるのが欧州マーケット。そこでの反応は今後のホンダEVに大きく左右するのは容易に想像がつく。

16インチの乗り心地がかなりいい

ホンダe アドバンス(写真は17インチ)ホンダe アドバンス(写真は17インチ)
さらにいえば、乗り心地も悪くない。特に16インチはかなりいい。運動性能からすると17インチも捨てがたいが、このデザインはホイールが大きければいいというものではない。というか、逆に肉厚タイヤの方が似合いそうだ。

この他には、あえて隠さない充電ポートや車幅に収まるカメラミラーなどトピックスは満載。どれも日常使いに役立ちそうだ。

そんなホンダeを正直かなり気に入った。久しぶりにガレージに納めたい一台と出会った気がする。あとはやはりお値段でしょうかね。

ホンダe アドバンスホンダe アドバンス

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。『Car EX』(世界文化社 刊)副編集長、『アメリカンSUV』(エイ出版社 刊)編集長などを経験しフリーランスに。その後メンズ誌『LEON』(主婦と生活社 刊)副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。

《九島辰也》

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