ドゥカティ「新型ムルティストラーダV4」の実像とは!? V4とした必然、それは非日常への確実なパスポート

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新型ドゥカティ・ムルティストラーダV4
新型ドゥカティ・ムルティストラーダV4全 36 枚

完全新設計のV型4気筒エンジンを搭載した新型ムルティストラーダV4の国内デビューが秒読み段階に入った。果たしてどんなマシンなのか? 新世代の多目的アドベンチャーバイクの実像に迫りたい。

異端児から世界で最も売れているドゥカティへ

まずは歴史をおさらいしておこう。ドゥカティ初のデュアルパーパスとして2003年にデビューしたムルティストラーダが大進化を遂げたのが2010年。強力な水冷Lツインエンジンに2輪初となるライディングモードを搭載したムルティストラーダ1200は従来のブランドイメージを一新。ロードレースでの数々の栄光をもたらした高性能スポーツバイクメーカーが、一躍アドベンチャーセグメントでも有力なコンペティターとして名乗りを上げた瞬間だった。

ドゥカティ・ムルティストラーダ1200(2010年)ドゥカティ・ムルティストラーダ1200(2010年)
最もショッキングだったのはそのコンセプトだろう。スポーツ、アーバン、ツーリング、エンデューロという4つの異なるカテゴリーを1台に凝縮した「4 bikes in 1」コンセプトは、21世紀に入って急速に発展した電子制御テクノロジーに後押しされる形で実現したものだ。

前後17インチのスポーツツアラーが道なき道をも制覇する、という夢のシナリオに最初は誰もが目を疑った。だが、モーターサイクルの未来像を先取りした革新的コンセプトは、現在に至るムルティストラーダを象徴するキーワードになっている。

また、2009年のEICMA(ミラノ国際モーターサイクルショー)では「最も美しいバイク」に選出されるなど、その先進技術やパフォーマンスとともに芸術の国、イタリア生まれの洗練されたデザインでも独自の世界観をアピール。「機能がスタイルを作る」というドゥカティの哲学を雄弁に物語っていた。

そして、2013年のマイナーチェンジではスカイフック理論に基づくセミアクティブ電子制御サスペンションを投入。さらに第3世代に進化した2015年モデルでは可変バルブタイミング機構を導入したテスタストレッタDVTエンジンの採用に続き、オフロード性能を強化したフロント19インチの「エンデューロ」とミドルクラスの「950」を相次いで投入するなどムルティストラーダの世界感をさらに押し広げた。

そして、2018年に登場した現行の1260シリーズはドゥカティが半世紀にわたって育んできた伝統のLツイン搭載シリーズの最終形としての完成度を誇っている。

ドゥカティ・ムルティストラーダ1260ドゥカティ・ムルティストラーダ1260
アドベンチャー界の異端児として生まれたムルティは、今や世界中で多くの熱狂的なファンを獲得するに至った。その証拠にムルティストラーダは「世界で最も売れているドゥカティ」でもあるのだ。

理想の多目的マシンを実現するための必然がV4だった

新型ドゥカティ・ムルティストラーダV4新型ドゥカティ・ムルティストラーダV4
第4世代へと進化したムルティストラーダV4はアドベンチャーセグメントでの頂点を目指したモデルである。強力なライバルがひしめく中でこれを達成するために、元々のコンセプトである「4 bikes in 1」のマルチパーパス性能を全方位的に高めているのがポイントだ。

最大のトピックは新開発のV4エンジン。「V4グランツーリスモ」と名付けられた水冷90度V型4気筒1158ccユニットはパニガーレやストリーファイターに搭載されるV4とは排気量や出力特性も異なる専用エンジンタイプである。最高出力170psは従来のムルティストラーダ1260を12ps上回るだけでなく全域でトルクも上乗せされ、力強くスムーズな低中速域から伸びやかでパワフルな高回転を両立。バルブ駆動方式を伝統的なデスモドロミックから耐久性に優れるスプリング方式としたことで、6万kmという驚異的なエンジンのメンテナンスサイクルをも実現している。

新型ドゥカティ・ムルティストラーダV4新型ドゥカティ・ムルティストラーダV4
また、V4ならではの軽量コンパクト設計(従来比で重量-1.2kg、全長-85mm、全高-95mm)により、エンジン搭載位置の自由度が増したことで理想的な重量配分をも実現。ディメンションの大幅な見直しとアルミ製モノコックフレームの採用とも相まって、スーパースポーツ顔負けの軽快でスポーティなハンドリングを手に入れた。

エンジンのコンパクト化の恩恵はこれに留まらず、従来比46mmアップの220mmのロードクリアランスを達成。フロント19インチホイール化と両持ちスイングアーム、ハイアップマフラーの採用などによりオフロード性能もさらなる高次元へと導かれた。840mmの低いシート高を維持したままクッション性を高めたシートや自由度の高いライポジなども含め、エンジンV4化のメリットには枚挙にいとまがない。まさに新型ムルティが描く理想の多目的マシンを実現するための必然がV4だったということになるだろう。

新型ドゥカティ・ムルティストラーダV4新型ドゥカティ・ムルティストラーダV4
ライディングモードをはじめとする数々のアシスト機能とスカイフック電子制御サスペンションに加え、新型では大型6.5インチTFTディスプレイやDRL付きフルLEDライトが採用されるなど電子デバイスの使い勝手やエクステリアも大幅にアップグレードされていることも見逃せない。

「電子の目」がもたらす格別の安全と快適さ

新型ムルティストラーダV4のもうひとつのトピックは世界初のモーターサイクル用レーダーシステムの導入(※レーダーシステムは工場オプション設定)だろう。これはボッシュ社が開発した先進安全運転支援システム(アドバンスト ライダー アシスタンス システム)をドゥカティ用にカスタマイズしたもので、車体前方と後方に搭載されたレーダーから照射されたミリ波の反射をセンサーで検知し、距離や相対速度、加速度などのデータをコンピュータが瞬時に演算、エンジン出力やブレーキを制御するものである。

新型ドゥカティ・ムルティストラーダV4新型ドゥカティ・ムルティストラーダV4
主な機能としては2つ。アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)はライダーが任意に設定した速度で前走車を自動的に追尾する仕組みで、車間距離なども速度に応じて最適化されるため主に高速道路をクルーズしているときなどに威力を発揮する。

もうひとつのブラインドスポット検知機能は、いわゆるバックミラーの死角(ブラインドスポット)に他の車両が入ってきた際にミラーに埋め込まれたLEDインジケーターの点滅によって警告する機能。死角にいる車両だけでなく後方から急接近する車両も検知することで、安全な車線変更や追い越しを支援するものだ。

新型ドゥカティ・ムルティストラーダV4新型ドゥカティ・ムルティストラーダV4
システムの作動状態は新設計6.5インチの大画面TFTディスプレイを通じてライダーに伝えられる仕組みだ。2輪向けシステムは30km/h~160km/hの速度域を想定しているとのこと。実は昨年、私もボッシュの試験車両で実際にこのシステムを体験する機会を得たが、長距離ツーリングや悪天候での疲労低減や死角の見逃しなどによる事故を未然に防いでくれる心強いツールだと実感した。パフォーマンスも含めより高い次元に進化した新型ムルティストラーダV4だからこそ求められる実用的な安全システムだろう。

日常から非日常へ。その一線を苦もなくやすやすと乗り越えていくのが新型ムルティストラーダV4だろう。アドベンチャーの新たな時代の幕開けを予感させる注目の一台だ。

新型ドゥカティ・ムルティストラーダV4新型ドゥカティ・ムルティストラーダV4

ムルティストラーダV4の詳細はこちら

《佐川健太郎》

佐川健太郎

早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。メーカーやディーラーのアドバイザーも務める。(株)モト・マニアックス代表。「Yahoo!ニュース個人」オーサー。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

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