2019年の京急踏切事故、事故調報告…ブレーキ操作を運転士の裁量としていたことも一因か?

9月5日11時43分頃、京急本線神奈川新町駅付近の踏切で発生した快速特急とトラックの衝突事故後の様子。
9月5日11時43分頃、京急本線神奈川新町駅付近の踏切で発生した快速特急とトラックの衝突事故後の様子。全 10 枚写真をすべて見る

国土交通省の運輸安全委員会は2月18日、京浜急行電鉄(京急)本線神奈川新町駅(横浜市神奈川区)構内の神奈川新町第1踏切で、2019年9月5日に発生したトラックとの衝突事故に関する事故調査報告書の内容を明らかにした。

この事故は、トラックが横浜市道浦島第152号を通り、踏切に進入し立ち往生。そこへ接近してきた8両編成の青砥発三崎口行き快速特急(1088SH列車)が衝突し、トラックは炎上。列車は約67m過ぎた箇所で停車した。当時、列車には約500人の乗客がいたが、乗務員2人を含む77人が負傷し、トラックの運転者が死亡。列車は1~3両目が脱線し、車体や機器の一部が損傷した。

事故前、子安~神奈川新町間を120km/hで走行していた1088SH列車は踏切支障を伝える特殊信号発光機の停止指示を認識し、常用ブレーキを作動。その後、神奈川新町駅にある異常報知装置の作動を認めたため非常ブレーキを作動させ、汽笛吹鳴や列車防護無線の非常発報も行なっていた。

報告書では、衝突につながった一因として、特殊信号発光機の停止指示を認識した時点で非常ブレーキを作動させていなかったことが指摘されていたが、「即座に反応することは困難であったと考えられる」としたほか、架線柱などの地上設備が障害となって表示が遮られる場面があった可能性も指摘。

また、非常時のブレーキ作動については「速やかに停止するもの」という定めがあるのみで、常用ブレーキと非常ブレーキの使い分けについては運転士の裁量に委ねられていたことも事故の一因となった可能性があるとしている。

報告書の公表を受けて京急は2月18日、「報告書の内容を厳粛に受け止め、さらなる安全・安心を目指し努めてまいります」と改めて陳謝。その上で「公表された報告書で必要とされた再発防止策につきましては、これまで当社が取り組んでおります安全対策として、引き続き実施してまいります」としている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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