【レクサス LS 新型試乗】乗り心地はもう少し上質にする余地がある…渡辺陽一郎

レクサス LS500h F SPORT
レクサス LS500h F SPORT全 16 枚

改良された「LS500h F SPORT」に試乗

一般ユーザーが購入する国産セダンで、実質的に最上級車種となるのがレクサス『LS』だ。エンジンはV型6気筒3.5リットルのツインターボとハイブリッドを用意する。改良を実施したので、販売比率が60%のハイブリッドを試乗した。グレードは「LS500h F SPORT」であった。

レクサス LS500h F SPORTレクサス LS500h F SPORT
走りの変更点では、ショックアブソーバーの減衰力を変化させる機能が注目される。改良を受けて減衰力の可変幅が広がり、なおかつ前後輪ともに減衰力を全般的に低く抑えた。

タイヤの縦バネ(タイヤの側面部分における縦方向の伸縮性)も最適化した。硬過ぎると路上の細かなデコボコを伝えやすく、柔らか過ぎるとブヨブヨと捕らえ所のない不快な乗り心地になる。試乗したFスポーツの20インチタイヤは、2019年10月の一部改良で改善を受けていた。

先代型ユーザーの不満は解消されたのか

レクサス LS500h F SPORTレクサス LS500h F SPORT
現行LSの発売当初は、柔軟なのに芯のある妙な硬さを伴い、さまざまな電子制御が入るためにスッキリしない違和感が伴った。後席に座ると、クルマ酔いが生じやすく感じる場面もあった。

改良を経てこの違和感は解消され、乗り心地も快適になったが、LSは3.5リットルツインターボの価格が最も安いグレードでも1114万円だ。試乗したハイブリッドの「LS500h F SPORT」は1351万円に達する。メルセデスベンツ『S500 4MATIC』の1375万円と同等だから、ライバル車との関係も考慮すると、乗り心地はもう少し上質にする余地があるだろう。

また全長5235mm、全幅1900mmのボディサイズは、やはり日本で運転すると大きく感じる。先代型のユーザーからは「新型LSは自宅の車庫に入らず、乗り替えができない」という不満も生じている。そのために2020年のLSの登録台数は約1800台で、『ES』の37%程度に留まった。LSはレクサスの代表車種だから、乗り心地や価格も含めて、もう少し選びやすいクルマであって欲しい。

レクサス LS500h F SPORTレクサス LS500h F SPORT

■5つ星評価
パッケージング:★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

《渡辺陽一郎》

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト 1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  2. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  3. 【ダイハツ ムーヴ 新型】スライドドア採用にカスタム廃止、大胆進化のムーヴ「四角く見せたくなかった」動きのデザインとは
  4. 【マツダ CX-60 XD SP 新型試乗】やっぱり素のディーゼルが一番…中村孝仁
  5. セリカに次ぐ「リフトバック」採用のカローラは、50年経ってもスタイリッシュ【懐かしのカーカタログ】
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る