ロータスのEVハイパーカー『エヴァイヤ』、人工サウンド開発中…F1マシンに触発

4モーターで合計2000psのパワーを発生

1960年代後半に活躍したF1マシン「タイプ49」

タイプ49のV8とエヴァイヤのEVパワートレインの音の共通点とは

ロータス・エヴァイヤ と タイプ49 とパトリック・パトリキオス氏
ロータス・エヴァイヤ と タイプ49 とパトリック・パトリキオス氏全 16 枚

ロータスカーズは3月10日、EVハイパーカーの『エヴァイヤ』の人工サウンドを、英国の音楽プロデューサーと共同開発していると発表した。ロータスのF1マシン、「タイプ49」のエンジン音に触発されたサウンドを開発しているという。

4モーターで合計2000psのパワーを発生

エヴァイヤのEVパワートレインには、モーターを4個搭載する。4個のモーターは、合計で2000psのパワーと173.4kgmのトルクを引き出す。ロータスカーズによると、2000psのパワーは量産車としては世界最強という。

強力なモーターのパワーは4輪に送られ、0~100km/h加速3秒以下、0~300km/h加速9秒以下、最高速320km/h以上というパフォーマンスを可能にする。

バッテリーは車体中央にレイアウトされており、蓄電容量は70kWhと大容量だ。1回の充電での航続は、WLTPの複合モードで400kmの性能を備える。充電は出力350kWの急速チャージャーを利用すれば、18分間で完了する。

1960年代後半に活躍したF1マシン「タイプ49」

ロータスカーズは、このエヴァイヤの人工サウンドを、英国の音楽プロデューサー、パトリック・パトリキオス氏と共同開発している。パトリック・パトリキオス氏は、ブリトニー・スピアーズなど多くの世界的に有名なスターのために、プロデュース活動を行ってきた。2018年には、「ブリットアワード」にノミネートされ、彼が手がけたサウンドトラックは、10億回以上ストリーミングされている。

パトリック・パトリキオス氏は、車好きの父親のおかげで、子供の頃からロータスのファンだった。現在、『エヴォーラ』のオーナーである彼は、米国ロサンゼルスと英国を移動する合間に、エヴォーラをドライブしている。彼の作品には、ハリウッド映画のサウンドトラックだけでなく、国際的に有名なアーティストの曲も含まれている。

ロータスカーズとパトリック・パトリキオス氏は、エヴァイヤの人工サウンドを開発するにあたり、ロータスのF1マシン、「タイプ49」のエンジン音に着想した。タイプ49は、ロータスで最も有名なF1マシンとされる。伝説的ドライバーのジム・クラークがステアリングホイールを握り、1967年のF1オランダグランプリを制した。翌1968年には、グラハム・ヒルがタイプ49を操り、F1ドライバーズチャンピオンシップを獲得している。

タイプ49はこれまでに、12台が製作された。タイプ49には、新開発のコスワースフォード「DFV」エンジンを搭載。10年以上にわたってF1のグリッドを支配し、車体にはレッド、ホワイト、ゴールドの3色をまとっていた。ロータスのスポンサーの「ゴールドリーフ」仕様のF1マシンは、これまでで最も有名なモータースポーツのカラーリングのひとつとされる。

タイプ49のV8とエヴァイヤのEVパワートレインの音の共通点とは

エヴァイヤの人工サウンドは、このタイプ49のV8サウンドをヒントにしている。パトリック・パトリキオス氏によると、そのV8には、純粋さや優れた音楽のように魂の中で何かをかき立てる感情があるという。

人工サウンドの開発は、パトリック・パトリキオス氏がコンピューターにタイプ49のサウンドを取り込むことから始まった。彼とロータスのチームは、エンジン音をデジタル化してスロー再生すると、エヴァイヤのEVパワートレインのサウンドと同様の周波数が生成されることを発見したという。

パトリック・パトリキオス氏は、「タイプ49のV8サウンドの再生速度とデジタルフィルタリングによる調整で、エヴァイヤの人工サウンドを作り出した。これは非常に充実した時間だった。スタッフは全員、車とドライバーの間の感情的なつながりを刺激する何かを望んでいた。音は、感情の創造と形成に関して影響力があり、ロータス体験の重要な部分となるその絆を豊かにしてくれる」と語る。

パトリック・パトリキオス氏は、エヴァイヤが静止状態から加速して、9秒以内に300km/hに到達する間の人工サウンドを作り出すことに注力している。また彼は、それだけにとどまらず、エヴァイヤのインジケーター作動音やシートベルト警告音まで、すべてのチャイムやトーンの開発も手がけている。

パトリック・パトリキオス氏は、「これまでで最も有名なロータスのレーシングカーのサウンドが、最新のエヴァイヤのインスピレーションになっているのは好ましい。2つのサウンドには、美しい対称性がある」と述べている。

《森脇稔》

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