【日産 ノート 新型】新たな運転支援「ナビリンク機能付プロパイロット」を試す

新たに「ナビリンク機能付」プロパイロットを搭載した新型ノート
新たに「ナビリンク機能付」プロパイロットを搭載した新型ノート全 11 枚

第2世代eパワーを搭載し、優れた制御性能により高い評価を得ている新型日産『ノート』に試乗した。さっそく試したのが、日産初となる「ナビリンク機能」付プロパイロットである。日産がプロパイロット2.0を手掛ける中で、新たに登場したプロパイロットの実力を検証した。

NissanConnectナビと連動して速度を自動調整する「ナビリンク」

まずは新型ノートに搭載されたセンサーから見ていきたい。カメラは計5つを搭載した。そのうち1つはフロントガラス上部にマルチセンシング・フロントカメラを備え、他の4つはアラウンドビューモニター用として前後左右に装備する。レーダーはミリ波レーダーを計3つ備え、フロントバンパー下に遠距離用を1つ、リアフェンダー左右に近距離用を1つずつ内蔵した。また、近接検知用として超音波センサーによるソナーを車両の前後とサイドミラーに搭載して計8つ搭載する。これらによって「360°セーフティサポート」を実現する先進安全技術を搭載することになっている。

このうち、新型ノートのプロパイロットの速度支援で使われるのは、マルチセンシング・フロントカメラ1つとフロントバンパー下の遠距離用ミリ波レーダーだ。セレナやデイズなどに搭載されているプロパイロットもこの2つを組み合わせて制御を行ってきたが、新型ノートではこれにNissanConnectナビゲーションシステムの地図データ情報をリンクさせ、さらにフロントカメラで捉えた標識情報も加えて制御するようになったのがナビリンク機能である。これが従来のプロパイロットと大きく異なる部分だ。

プロパイロットの速度支援では、基本機能として先行車の検知によってアクセルやブレーキをコントロールしつつ車間距離をサポートする。さらに白線を検知して直線/カーブを問わず車線の中央を走行するサポートも行う。走行してみるとこの制御はかなり自然でしかも強力に働く。都市間高速の緩やかなカーブなら特に意識してステアリング操作をしなくても車線に追従していくと思うほどだ。もちろん、ステアリングに操作入力が感じられないと警告を発し、それが継続したままだとプロパイロットは解除される。しかし、このACC作動時の制御能力は一段と高められたという印象を受けた。

また、これとは別にプロパイロットとして新型ノートには、緊急停止支援システム(SOSコール機能付)も備わる。これはプロパイロット使用中にハンドル操作が一定時間検知されず、かつメーター表示や音による警告にもドライバーの意識反応が得られないと、自動的にハザードを作動させて徐々に減速し停止するもの。別途費用が掛かるNissanConnect サービスに加入していれば、その後に緊急通報センターに音声接続し、必要に応じて警察・救急に連絡して緊急車両が駆けつけてもくれる。予期せぬ事態に陥って運転ができなくなった時などで、身を守るのに役立つ機能と言えるだろう。

検証「ナビリンク」その1:首都高のカーブに差し掛かると自動的に減速

ではNissanConnectナビゲーションシステムのナビリンク機能の効果はどうか。これは高速道路など自動車専用道路でのみ機能する。そこで今回は首都高速とそれとつながる東関東道で試してみることにした。

まず首都高速のカーブで検証してみた。首都高速は比較的カーブがキツメで、その検証には絶好のロケーションだ。目的地を設定してプロパイロットで速度を制限速度の上限で設定すると、制限速度支援機能が「オートモード」にデフォルトで設定される。この設定でカーブ地点に差し掛かると設定速度から減速。アラームでも鳴るかと思ったがそれはない。この瞬間は「確かに作動した!」と思ったが、同時に後続車が気になってくる。実際の交通の流れはこのプロパイロットが制御した速度よりも速いからだ。

ただ、減速の際は、たとえ回生ブレーキであっても減速Gに応じてブレーキランプを作動させており(メーター内でモニターできる)、とりあえずは後続車にもそれを知らせている。しかし、このまま制御に従っていると交通の流れを乱しているのではないかと不安になるのも確かだ。実際は周囲の状況によりアクセルの踏み増しが必要になることもあるかと思う。

検証「ナビリンク」その2:標識を認識して減速するも側道を誤認識

次に制限速度との連携を試す。最初にプロパイロットの設定速度を制限の上限である100km/hで設定。これで走行していて制限速度が「80km/h」の場所に来るとメーター内の速度表示が切り替わり、それに応じて速度も減速し始めた。ここでもアラートは特に鳴らないが、確かに標識との速度連動は自動で行っていた。気を付けるべきは、日本の高速道路を走行している車両の多くは制限速度に細かく応じていないことだ。特に追い越し車線上では流れる速度も速く、減速は思わぬトラブルを誘発しかねない。「オートモード」で使う時は基本的に走行車線を選んで走行することをおすすめしたい。

それともう一つ注意しないといけない件がある。この機能では標識を読み取って速度を反映しているが、東関東道では側道の制限速度を反映してしまい、本線上でも減速することがあったのだ。日産にこの件を問い合わせると「地図データにも制限速度データも収録しているが、標識の情報が本線上なのか、側道なのかの区別まではできていない。そのため認識を誤って反映してしまうことがある」との回答だった。

一方で、『スカイライン』に搭載されたプロパイロット2.0ではこうした誤認識は体験していない。それは高いセンシング能力と高精度マップの組み合わせがもたらしているからに他ならない。

その仕様はトライカム+前方用ミリ波レーダーに加え、前後左右に備えたミリ波レーダーを装備。さらに車線ごとのガイド線データを持つ高精度マップを使い、準天頂衛星を用いるなどして高い測位精度によって自車位置を反映させている。対する新型ノートのナビゲーションは車線に関係なくガイド線が1本しなく、衛星による測位精度もプロパイロット2.0ほどまでは追い込めていない。この差は測位能力に大きな差を生み出しているのだ。

ナビリンク機能付プロパイロットとの付き合い方

では新型ノートのナビリンク機能付プロパイロットの速度支援とはどう付き合えばいいのだろう。まず心得ておくべきは、デフォルトで設定されるオートモードの機能をまずよく理解しておくことだ。

カーブや側道の標識がある場所では減速する可能性があると認識し、その上で走行車線をクルーズするような状況で使う。もし、不必要と思われる速度まで減速した場合は必要に応じて踏み増しをしていくといい。それを心得て使えば慌てることもなく対応でき、オートモードによって標識を見落とすことにもならない。その意味でもナビリンク機能はありがたい機能となるだろう。

もし、この心得が煩わしいと思えば、設定は最初からマニュアルモードに設定して使うことをおすすめする。エンジンを再起動したときも維持されるので、これで速度支援機能はOFFとされ、先行車への追従や車線中央を走行する支援などにとどめられる。もちろん、この場合は制限速度に対しては自身で対応することになるのは言うまでもない。

いずれにしても先進運転支援システムは文字通り“運転支援”であって、その制御がすべてを担ってくれるわけでもない。あくまでドライバーのうっかりミスをサポートしてくれる機能との認識で使えばその役割は十分果たすことになる。ナビリンク機能付プロパイロットもそうした中で付き合うべき機能と言えるだろう。

《会田肇》

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