【F1】プレシーズンテスト最終日、新人・角田裕毅が2位のタイム!!

#22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
#22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)全 15 枚

F1のプレシーズンテストが12~14日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで実施された。最終日の14日には日本期待の新人・角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)が2位のタイムを記録するなど存在感を発揮、開幕に向けて期待が一層高まっている。

今年は1回のみの実施となった、F1の開幕前合同テスト(プレシーズンテスト)。期間は3月12~14日の3日間で、各日、午前と午後に4時間枠の走行セッションが用意された(厳密に言うと1回目のセッションは昼跨ぎだが、便宜上、午前と呼ぶ)。4時間が6セッションで計24時間、ちょうど丸一日という勘定になる。

プレシーズンテスト実施コースは、2週間後に開幕戦バーレーンGPを開催する予定のバーレーン・インターナショナル・サーキット。初日の午後セッションには砂塵がコースを覆うような状況も見られたが、今季参戦の10チームが2021年型マシンでの貴重な走り込みの機会に臨んだ。

原則として各チームから各セッションに1名が出走、3日間で合計6つあるセッションを2人のレースドライバーが3セッションずつ分担して走るのが一般的なシフトとなる(3つずつのセッションをどういう割り振りにするかはチームによって様々。また、テストドライバーを含む3人体制で臨んだチームもある)。

日本期待の新人・角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)は初日の午後、2日目の午前、3日目の午後の各セッションに出走した。

最終日(3日目)の午後、ラストセッションも残り1時間少しというあたりから、角田がこの日の午前午後総合ベストタイム順位を示すタイムシートで安定的に“トップ周辺”を争うようになる。残り約67分、それまで18人中10位だった角田は1分30秒036を刻み、2位に浮上。そして残り55分頃、1分29秒777で一瞬だがトップに出る(すぐ他車に抜かれて0.011秒差の2位、やがて3位に下がる)。

残り45分を切ったところで、角田は1分29秒671をマークしてトップへ。今度はしばらくタイムシートの最上段から動かなかった。角田はさらに1分29秒282へとタイムを更新。先の1分29秒671はC4と呼ばれる軟らかい方から2番目のコンパウンドのタイヤで出したもので、1分29秒282はC5、最もソフトなタイヤで記録している。

残り30分頃、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がC4タイヤで1分28秒960をマークしてトップに立つ。2位に下がった角田は再びC5タイヤでフェルスタッペンとほぼ同時にアタックをしており、1分29秒053を出した。自己ベストを0.229秒削ったが、フェルスタッペンには0.093秒届かず、トップ奪還とは成らなかった。

その後、1~2位のタイムは動くことなくセッションが終わり、角田は最終日の午前午後総合2位のタイムでテストを終了。これは3日間のテスト全体でも2位のタイムであった。

もちろん、今回はテストであり、ベストタイムの順位は参考レベル。使っているタイヤやテスト項目、マシンやコースのコンディション、温度条件等々のパラメーターが一日のなかでも異なる状況下での2位タイムである。ただ、一日の流れの終盤の“出来事”であり、トップとはほぼ同じタイミングで記録した僅差の2位タイムだ(タイヤはトップの方が硬めだったとはいえ)。

しかもそれをやったのが中堅チームに入った20歳の今季ルーキーであるとなれば、細かい理屈を吹き飛ばすくらいの価値がある衝撃的な“プレ初陣”だったことも事実で、賞賛すべき“結果”だろう。こういうインパクトが将来のためにも重要であることは間違いない。角田はそれをやってのけた。

角田裕毅のコメント(最終日終了後、ホンダF1公式サイトより抜粋)
「F1マシンで全開アタックをして2番手に入るというのは、最高の気分です。もちろん、まだテストに過ぎないので先走ってはいけませんが、この位置で3日間を締めくくれるというのは素晴らしいことです」

「この数日で非常に多くを学びましたし、チームも多くの有用なデータを収集できましたので、開幕に向けてしっかりと分析していきます。いくつか小さな問題はありましたが、僕たちはすべてを明らかにするためにテストをしているわけで、そうしたことも想定内です」

「レース本番では、現状でベストのパッケージを用意できるはずです。ここから2週間、ハードワークを継続していきます。今から開幕戦にワクワクしています!」

開幕に向けて、7年ぶりに日本人レースドライバーがいるというだけでも日本の期待感は高まるところ、そこにこのテストでさらなる追い風が吹くこととなった。本番デビューでの角田の活躍に注目である。

プレシーズンテスト各日の午前午後総合トップタイムをマークしたドライバーは下記の通り。

1日目 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 1分30秒674
2日目 バルテリ・ボッタス(メルセデス) 1分30秒289
3日目 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 1分28秒960

王者メルセデス勢は2日目にボッタスがトップタイムをマークしてはいるものの、初日にギヤボックスのトラブルで時間を大幅につぶすなど、今テストでは“らしくない”雰囲気だった。爪を隠している可能性も充分にあるが、絶対王者ルイス・ハミルトンが10位~15位~5位という3日間のベストタイム順位推移だったことは、これも衝撃的ではある。はたして開幕戦ではどうなるのか?

ホンダのエース、フェルスタッペン(レッドブル)は初日の午前&午後と3日目の午後を担当、走った日は両日とも午前午後総合のトップタイムだった。ホンダにとってのF1参戦最終年、王座獲りへまずは好発進と言ってよさそうなフェルスタッペンだ。

ワールドワイド的には角田以上に注目のルーキーであるミック・シューマッハ(ハース・フェラーリ)、彼は16位~12位~15位という3日間だった。F1で7度の王座獲得を最初に果たしたミハエル・シューマッハの息子のF1デビュー、これも今季の楽しみな要素である。

F1開幕戦バーレーンGPは3月26~28日に開催される予定だ。

《遠藤俊幸》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
  3. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  4. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  5. 新型『CLA』を生産するメルセデスベンツ「最新デジタル工場」の現場
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る