ワクチン接種で話題に上がる「アナフィラキシー」を冷静に理解する【岩貞るみこの人道車医】

新型コロナウィルスのワクチン接種が始まると同時に「アナフィラキシー」が話題となっている(写真はCOVID-19ワクチン接種イメージ)
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新型コロナウィルスのワクチン接種が始まった。2021年3月末現在、まだ医療従事者を中心ではあるものの、4月からは一般の高齢者への接種が開始される。

そして、ワクチン接種と同時に一気にメジャーになったのが、「アナフィラキシー」である。報道では注意喚起を促しているけれど、あまりに「アナフィラキシーが!」と連呼するので不安をあおっているような気がしてしまう。そして思うのは、アナフィラキシーとアナフィラキシーショックがごっちゃになっている感じがするのである。

アナフィラキシーと聞いて一番に思い出すのは「蜂に刺されて畑で倒れていた」とか「学校給食を食べて亡くなった」という、最悪の事態である。ゆえに、ワクチン接種~アナフィラキシー~死亡。そんなふうに連想してしまう。

しかし、ここは冷静に。

アナフィラキシーとアナフィラキシーショック

日本アレルギー学会の定義によると、アナフィラキシーとは、

「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起(じゃっき=ひきおこす)され、生命に危険を与えうる過敏反応」とある。「危険を与えうる」とあるけれど、ここでは「可能性がゼロではない」程度にとらえたい。そして、

「アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合を、アナフィラキシーショックという」となっている。

つまり、何が言いたいかというと、「アナフィラキシーですぐに全員が重篤な状態になるわけではない」ということだ。軽い症状が出ただけでおさまるケースもアナフィラキシーなのである。

そもそも、アナフィラキシーの原因となるものは、すでに私たちの生活のなかに多く存在している。大きく分けると、(1)薬、(2)昆虫、(3)食物の三つだ。

ワクチンは(1)薬にあたる。

(2)昆虫は、蜂が有名である。スズメバチ系が危険と言われるけれど、アシナガバチやミツバチも原因となる可能性がある。

(3)食物は、そば、卵、乳製品、小麦などが有名。また、ピーナッツや、大豆、バナナ、キウイなどで起きることもある。エビなどの甲殻類でアレルギー反応を起こし、皮膚がかゆくなりお腹をこわしてしまうのも、アナフィラキシーである。

アナフィラキシーの症状とは

では、アナフィラキシーの症状とはどんなものがあるのか。

(1)皮膚や粘膜症状
蕁麻疹、かゆみ、皮膚が赤くなる。唇や下、口の中が腫れる、まぶたが腫れるなど。

(2)呼吸器症状
息切れ、咳、気道狭窄など。

(3)消化器症状
強い腹痛、嘔吐など。

(4)循環器症状
血圧の低下、意識消失など。

これらのうち、二つ以上があれば、アナフィラキシーと診断される。ただし(4)の急速な血圧低下からくる意識消失は、ひとつだけで危険な状態なので、即、救急車を呼ぼう。

アナフィラキシー症状は、すぐに適切な対応をすれば、大ごとにはまずならない。特にワクチン接種の会場では医療関係者が待機しているし(待ち構えているといっていい)、重症のアナフィラキシーショックを起こしても、薬の投与といった初期治療の開始がすぐにできる。

また、常に重篤な患者に対応している救急医からは、「いざというときは救急車を要請して、救急病院に運んでくれ。アナフィラキシーショックなど、日常的に対応している!」といった力強い声が聞こえてくる。

私は彼らを信じているので、ワクチンが接種できる立場になったら、すぐに打ちたい。それが、一年以上、最前線で闘い続けている医師、看護師、消防隊に私ができる唯一のことだからだ。

食事後にもご注意

最後に、取材を通じてアナフィラキシー関係で知った例をふたつ紹介したい。

ひとつは、ナツメグもアナフィラキシーを起こすことがあるということ。ハンバーグにがっつり入れる私としてはかなり衝撃を受けたが、「市販の小瓶の半分くらい(10g程度?)を一気に接種しなければ、大丈夫」とのこと。大食い選手でない限り、通常、そこまでの大量接種はないはずだけれど、体質や体重によって違うので注意しておこう。

ふたつめは、パスタ(小麦)を食べたあとジムでランニング中にアナフィラキシーショックを起こした例があることだ。原因物質を体内に入れたあと、激しい運動などが重なると起こしやすくなることがあるという。昼休みにランニングをする人は、昼食はパスタやそば以外を選ぶか、走るのは食べる前にしたほうがよさそうだ。

アナフィラキシーの症状が出始めるのは、体内に入れたあと、数分~30分が多いとのこと。食事をしたあと違和感があったら、特に、運転中に無理をして重症化~意識喪失なんてことにならないよう、ご注意ください!

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。

《岩貞るみこ》

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