スズキ、オープンスポーツEV『ミサノ』提案…四輪車と二輪車を融合

四輪車と二輪車で異なるスズキのスピリットを1台で表現

車名の『ミサノ』はイタリアのサーキットに由来

二輪車のように乗員はタンデムに座る

スズキ・ミサノ
スズキ・ミサノ全 16 枚

スズキは4月29日、IED(ヨーロッパデザイン学院)と共同開発したオープンスポーツEVコンセプト、『ミサノ』(Suzuki Misano)をイタリアで発表した。

四輪車と二輪車で異なるスズキのスピリットを1台で表現

ミサノは、四輪車と二輪車の両方を手がけるスズキが、その2つの異なる魂を1台で表現すると、どうなるかをテーマに開発された。スズキの四輪車は、機能性や効率性、コンパクトなボディサイズによる実用性を持つ。一方、スズキの二輪車は、スポーツスピリット、高性能、エモーショナル性を備えている。スズキは1世紀以上にわたり、この2つの対立する魂を四輪車と二輪車で具現化してきた。

ミサノは、イタリアのIEDトリノで交通デザインを学ぶ24人の学生によるプロジェクトだ。学生の国籍は、イタリア、インド、フランス、レバノン、イスラエル、スペイン、アルバニア、ベルギーと幅広い。

IEDは、1966年に設立された欧州で有数のデザイン専門学校。イタリア、スペイン、ブラジルなど、世界7か国で開校している。在学中、企業でデザインを実践できる機会が多く与えられることで知られ、卒業生は各方面で活躍している。

車名の『ミサノ』はイタリアのサーキットに由来

スズキはIEDトリノの若いデザイナー達に、『La dolce vita(ラドルチェヴィータ)』をテーマにデザインするよう依頼した。「Dolce vita(ドルチェヴィータ)」は、イタリア語で「甘い生活」を意味する。フェデリコ・フェリーニ監督のイタリア映画『La dolce vita』(1960年、邦題『甘い生活』)で一躍広まったこの言葉は、大人のアバンチュールを象徴したもので、快楽主義的な志向を含んでいる。

ミサノの開発は、2020年秋に開始された。スズキのスタイルセンターの創造的なプロセスと、IEDトリノの学生の集中的な取り組みのおかげで、ミサノはおよそ半年で完成した。ミサノはスズキの伝統に、コンパクトで機能的なスズキの四輪車が持つ最新技術を組み合わせた。同時に、映画『La dolce vita』の主人公によって具現化された感情への欲求を反映させ、スポーティでエレガントなコンバーチブルを生み出している。

車名のミサノとは、「MotoGP」をはじめとする二輪レースにおけるスズキの取り組みと、イタリアの「ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ」でのスズキの勝利に敬意を表して名付けられた。若くて情熱的な二輪車を、スズキの四輪車の世界に近づけるようにデザインされており、ライフスタイルとスポーツマンシップを組み合わせた運転体験を可能にしているという。

二輪車のように乗員はタンデムに座る

ミサノのボディサイズは、全長4000mm、全幅1750mm、全高1000mm、ホイールベース2600mmと、スポーティかつコンパクトな設計とした。クラシックタイプのバルケッタを再解釈し、革新的で非対称なレイアウトで四輪車と二輪車の融合を提案している。

ミサノには、四輪車として4つのタイヤが備わるが、室内は二輪車のように乗員がタンデムに座る。エレガンスとピュアさを追求したボディラインが、むき出しのキャビンを柔らかく包み込むことを狙ったという。乗員が前後に座るその反対側には、EVパワートレインのバッテリーパックが搭載されている。

フェアリングに似た小さなフロントガラスによって、ドライバーは保護される。また、ドライバーは、ステアリングホイールではなく、モーターサイクルに着想を得たジョイスティックで車両の制御を行う。足元には、OZレーシングの大径アルミホイールが装着されている。

IEDトリノによると、企業とのコラボレーションが2年間のトレーニングコースの特長であり、最終的に学生は1:1スケールモデルを完成させ、プロのデザイナーになる準備を整えるという。

なお、ミサノは5月15日から6月6日まで、イタリア・トリノの国立自動車博物館に展示される予定。IEDは、ミサノの製作の過程を収めた映像を、公式サイトを通じて公開している。

《森脇稔》

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