アウディ、次世代オーディオシステム開発中…「没入型3Dサウンド」を可能に

2016年にBang & Olufsen の3Dサウンドシステムを初採用

コンパクトモデル向けオーディオでは「Sonos」を新パートナーに起用

次世代オーディオは録音時の音響環境とまったく同じ再生が可能に

アウディが開催したテックトーク「サウンド&アコースティック」
アウディが開催したテックトーク「サウンド&アコースティック」全 14 枚

アウディ(Audi)は5月6日、テックトーク「サウンド&アコースティック」を開催し、次世代のオーディオシステムを開発していると発表した。

2016年にBang & Olufsen の3Dサウンドシステムを初採用

アウディは2016年、SUVの『Q7』に3Dサウンドを備えた「Bang & Olufsen」サウンドシステムを採用した。このシステムには、複数のブロードバンドスピーカーを使用しており、Aピラーに追加のスピーカーが組み込まれた。『A8』と『Q8』では、Bピラーとルーフライナーにも、スピーカーが追加されている。

車内は、録音が行われるコンサートホールと同様に、大きなステージへと変わるという。このテクノロジーの背景には、アウディがフラウンホーファー研究所と共同開発したアルゴリズムがある。「Symphonia 2.0 3Dアルゴリズム」は、ステレオまたは5.1音源からの情報を分析し、三次元的な深みを備えた3Dスピーカー用のデータを作成する。これにより、車内で柔軟に再生可能なサウンドエフェクトを実現しているという。

最上位のオーディオシステムのBang & Olufsenのアドバンストサウンドシステムでは、出力1920ワットのアンプが、デジタルシグナルプロセッサー、24チャンネル、23のスピーカーと連携して作動する。このテクノロジーは、音響面において、乗員コンパートメントに広大なコンサートホールのような雰囲気を創出する、と自負する。

コンパクトモデル向けオーディオでは「Sonos」を新パートナーに起用

アウディは、コンパクトモデルでも音質を追求している。コンパクトモデルでは、空間の制限に合わせて、テクニカルコンセプトを調整している。たとえば、『A1スポーツバック』の場合、4つのミッドレンジスピーカーがダッシュボードに上向きに設置されており、フロントウィンドウを反射面として活用している。これにより、コンパクトモデルでも、高品質な3Dサウンドを実現しているという。

臨場感あふれるサウンドを追求したBang & Olufsenのシステムは、ミッドサイズやフルサイズモデルに適する。一方、アウディは、低音を強調するサウンドを特長とする「Sonos」(ソノス)を、新しいパートナーに起用した。

Sonosのオーディオはまず、アウディの新型電動SUVの『Q4 e-tron』と電動SUVクーペの『Q4 e-tronスポーツバック』に設定される。Sonosによるダイナミックなサウンドとチューニング哲学は、アウディのコンパクトクラスの他モデルにも搭載され、2021年の半ばに登場する予定だという。

次世代オーディオは録音時の音響環境とまったく同じ再生が可能に

アウディのオーディオスペシャリストは現在、サウンドラボにおいて、次世代のサウンド体験を実現するための研究に取り組んでいる。その中心的な研究テーマが、「没入型3Dサウンド」と呼ばれるものだ。

従来の3Dサラウンドサウンドでは、アルゴリズムに基づき、音声が特定のスピーカーに割り当てられる。そのようなチャンネル指向の再生とは異なり、没入型3Dサウンドはオブジェクト指向を特長としている。

このプロセスでは、オーディファイルに保存されたサウンドは、実際の空間において、サウンドがどのようにして、どこで聞こえるかに関する正確な情報を含むメタデータと事前にリンクされている。これは、録音時の音響環境とまったく同じ再生が可能になることを意味しているという。

没入型サウンドは、五感すべてに訴えかける新しいエンターテインメント体験の中心となるもの、と自負する。しかし、それは、完全な自動運転車に乗った未来のユーザーが、運転という役割から解放され、そのような五感に訴えるサウンド体験を楽しめる時代が来て、初めて実用化されるものだという。

5G通信によるマルチチャンネルのオーディオストリーミングを目指す

さらにアウディは、次の大きなステップとして、5G高速モバイル通信ネットワークの広がりが、新しい高品質ストリーミングチャンネルの未来を切り開く、と想定している。現在、車内で音声ストリーミングサービスを受信するデバイスとして、多くのユーザーがスマートフォンを使用している。コンテンツは、Bluetooth経由で簡単に転送することができるため、利便性が高い。しかし、Bluetoothワイヤレス技術の周波数帯域には制限があるため、障害が発生して音質が低下することがある。

アウディは近い将来、SIMカードと高性能レシーバーモジュールを搭載して、車両そのものをレシーバーとして活用し、マルチチャンネルのオーディオストリーミングを実現することを目指している。これは、アウディのサウンドエンジニアによる、未来への道のもうひとつのマイルストーン、としている。

《森脇稔》

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