ポルシェ マカン 次期型はEV、2023年発売へ…プロトタイプの写真

仮想と現実の両方で開発テストが進む

新しいディスプレイとオペレーティングシステムを開発中

フルEVと内燃エンジン車が併売される次期マカン

ポルシェ・マカン 次期型のEVプロトタイプ
ポルシェ・マカン 次期型のEVプロトタイプ全 16 枚

ポルシェは5月10日、フルEVとなる次期『マカン』(Porsche Macan)のプロトタイプの写真を公開した。

次期マカンのカモフラージュされたプロトタイプは、ドイツ・ヴァイサッハのポルシェ開発センターの性能試験場で初期テストを実施した後、初めてポルシェ施設の外へ出た。ポルシェによると現在、開発プロセスにおいて最も重要なマイルストンとなる現実環境でのテストが進行しているという。

仮想と現実の両方で開発テストが進む

2023年にフルEVとなる次期マカンが市場へ投入されるまでに、ポルシェはさまざまな条件下において、世界中で約300万kmにもおよぶテストを行う。このプロトタイプには、仮想空間における膨大な距離のテスト走行から得られた経験が組み込まれている。

デジタルによる開発とテストは、時間とコストを節約するだけでなく、資源も保護するため、持続可能性を高める。エンジニアは、実際の車両の代わりにデジタルプロトタイプを使う。これは、車両の特性、システム、パワーユニットを高精度で複製する計算モデルとなる。エアロダイナミクス、エネルギー管理、オペレーション、サウンドなど、多くの開発カテゴリーでのシミュレーションを目的とした20のデジタルプロトタイプがある。これにより、これまで発見されていなかった設計の矛盾を迅速に特定して解決することができる。

デジタルプロトタイプを使用する最初のエンジニアは、エアロダイナミクスのスペシャリストだ。長い航続を確保するという観点から、空力抵抗を最小限に抑えることが、フルEVとなる次期マカンにとって重要。わずかな空気抵抗の増加が、大きな違いを生み出す可能性があるという。

エンジニアは現在、シミュレーションを使用して、冷却エアダクトなどの細部を微調整している。計算ではコンポーネントのさまざまな配置が考慮されるだけでなく、実際の温度差も反映されるという。

新しいディスプレイとオペレーティングシステムを開発中

新しい方法により、エアロダイナミクスと熱力学の正確なシミュレーションが可能になった。バッテリーからモーターに至るまでのエレクトリックドライブシステムには、完全に独立した冷却と温度制御コンセプトが必要になる。

これは、従来の内燃エンジン搭載車両と大きく異なる。90~120度の温度範囲がエンジンの目標。一方、電気モーター、パワートレインのエレクトロニクス、高電圧バッテリーは、コンポーネントに応じて、20~70度の温度範囲が必要になる。危険なシナリオは道路上では発生しないが、高い外気温の中での高電力急速充電中に発生することがある。しかし、ポルシェの開発者は、位置、空気の流れおよび温度を正確に計算し、デジタル的に最適化することができるという。

仮想プロトタイプは、早い段階で現実世界のシナリオと組み合わせることができる。その最も良い例が、次期マカンのための新しいディスプレイとオペレーティングシステムの開発だ。シートボックスと呼ばれるものを使用してドライバーの環境を再現することで、デジタルプロトタイプと組み合わせた開発の初期段階で、ディスプレイやオペレーティングコンセプトを実現することができるという。

フルEVと内燃エンジン車が併売される次期マカン

フルEVとなる次期マカンの最初の物理的プロトタイプは、シミュレーションから得られたデータに基づいて、場合によっては手作業や専用工具を使用して精巧に作成された。その後これは、仮想改良プロセスに基づいて、定期的に適合される。同様に、路上テストの結果が、デジタル開発に直接反映される。

極端な気候条件や地形条件下で実施される次期マカンの厳しいテストプログラムには、厳格な基準を満たさなければならない高電圧バッテリーの充電や調整などの分野が含まれる。『タイカン』と同様、800Vアーキテクチャーを備えたフルEVとなる次期マカンは、ポルシェ特有のE-パフォーマンスを提供する、と自負する。ポルシェは、長い航続、高性能急速充電、再現性のあるクラス最高の性能値などの開発目標を挙げている。

「プレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)」をベースに構築された最初のポルシェとなるのが、フルEVの次期マカンだ。2023年のデビューが予定されている。ヨーロッパではEVの需要が増え続けているが、変化のペースは世界中でかなり異なる。そのため、2021年中に、内燃エンジンを搭載した現行マカンの後継車を発売する予定だ。

内燃エンジンを搭載した現行マカンの後継車は、将来的にはフルEVとなる次期マカンと一緒に販売される予定。それまでは、現実世界と仮想の両方において、さらに数100万kmのテストを実施する必要がある、としている。

《森脇稔》

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