アバルト『1000SP』発表…伝説のスポーツカーの55周年を祝うワンオフ

1966年のオリジナルモデルは車両重量480kgで最高速220km/h

ワンオフモデルでは軽量化とエアロダイナミクスを重視

アルファロメオ4C用の1742cc直4ターボは最大出力240hp

アバルト1000SP(2021年)
アバルト1000SP(2021年)全 7 枚

アバルトは5月14日、ワンオフモデルのアバルト『1000SP』(Abarth 1000 SP)を欧州で発表した。

1966年、マリオ・コルッチによって設計されたアバルト1000SPは、軽量でパワフルなスパイダーだった。車名の「SP」とは、「スポーツ・プロトタイプ」を意味する。アバルト1000SPは少量が生産され、欧州のモータースポーツで活躍した。

2009年、アバルトはオリジナルの1000SPを再解釈し、新たなスポーツカーを開発する計画を発表した。オリジナルモデルのデビューから55年後の2021年に、プロジェクトは現実となり、ワンオフモデルのアバルト1000SPが発表された。

1966年のオリジナルモデルは車両重量480kgで最高速220km/h

1950年代後半、アバルトとアルファロメオは協力してスポーツカーを製造した。これは、アルファロメオのエンジニア、マリオ・コルッチに委託されたプロジェクトだった。アバルトの創始者のカルロ・アバルトは、テクニカルディレクターとしてマリオ・コルッチを雇い、コルッチは1966年、アバルト1000SPを生み出した。1000SPは、ヒルクライムや耐久レースで本領を発揮するように設計されており、シンプルで低く滑らかなボディラインが特徴だった。アバルト1000SP(2021年)とアバルト1000SP(1966年)アバルト1000SP(1966年)とアバルト1000SP(2021年)

オリジナルのアバルト1000SPのボディサイズは、全長3445mm、全幅1625mm、全高930mm、ホイールベース2200mmとコンパクトで、車両重量は480kgに抑えられた。排気量982ccの直列4気筒ガソリンエンジンは、最大出力105hp/8000rpmを発揮した。トランスミッションは5速MTを組み合わせ、最高速220km/hの性能を実現していた。軽量でパワフルな1000SPは1966年9月、ニュルブルクリンク500kmでクラス初の国際的な勝利を勝ち取り、アバルトブランドの名声を確固たるものにした。

熟練したエンジニアのコルッチは、チューブラーフレームシャシーのレーシングカーを完成させた。オリジナルの1000SPは、スタイル、パフォーマンス、モータースポーツでの勝利の点で、アバルトのレースの歴史におけるマイルストーンと認識されており、フィアットとアバルトのデザイナーに刺激を与え続けているという。

ワンオフモデルでは軽量化とエアロダイナミクスを重視

ワンオフモデルのアバルト1000SPは、1960年代のオリジナルモデルに見られた基本的な設計原則を尊重している。何よりも重視されたのは、軽量化。第2の原則はエアロダイナミクス性能だ。最新の設計技術により、1000SPでは大胆なボディラインに、現代のスポーツカーにふさわしいエアロダイナミクス性能を組み合わせることが可能になったという。ユーザーエクスペリエンスの向上を目的とした人間工学により、車両の操作性も追求されている。

アバルト1000SPは、オリジナルモデルの特長的なボディラインと美学を反映しているという。フェンダーのボリュームが大径タイヤを強調しており、曲面で構成されたボディは、ミッドシップにエンジンを積むスパイダーらしいものとした。

アバルト1000SPのリアでは、テールライトとエキゾーストパイプが調和することを目指したという。ボディカラーはレッド。フロントフードからリアのボンネットの冷却スロットまで、特長的なエアインテークがボディ各部に配された。アバルト1000SP(2021年)アバルト1000SP(2021年)

ヘッドライトは、オリジナルの1000SPのコンパクトデザインを踏襲しており、ノーズにポイントライトが採用された。リアから見た時に、車両のワイドさを強調するために、丸いテールライトが装備された。アバルト1000SPは、オリジナルのアバルト1000SPのモチーフに忠実な設計のおかげで、非常に良く似たアイデンティティを維持している、と自負する。

アルファロメオ4C用の1742cc直4ターボは最大出力240hp

その一方、オリジナルモデルのチューブラーフレームシャシーは、カーボンファイバー製のセンターセルとアルミ製のフロントを備えたハイブリッドフレームに置き換えられた。

ワンオフモデルのアバルト1000SPのパワートレインは、アルファロメオ『4C』譲りの排気量1742ccの直列4気筒ガソリンターボエンジンだ。最大出力は240hp/6000rpm、最大トルクは35.7kgm/ 2100~4000rpmを発生する。サスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン、リアがマクファーソンストラットとした。

ワンオフモデルのアバルト1000SP は、オリジナルモデルのデビュー55周年を祝う。今秋には、クラシックカーの主要なイベントに参加する予定、としている。

《森脇稔》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. いすゞ『ギガ』など大型・中型トラック1万6780台をリコール…シートサスペンション不具合
  2. ケーニグセグ、1625馬力の新型ハイパーカー『サダイアズ・スピア』発表
  3. 「クラシックmini」がレストモッドで蘇る! 限定生産で約1490万円から
  4. なぜ? 日産 リーフ 新型がクロスオーバーSUVに変身した理由
  5. 【マツダ CX-60 MHEV 新型試乗】買い時とグレードのチョイスに迷う存在…中村孝仁
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
  5. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
ランキングをもっと見る