JR東海は5月18日、2021年度から順次投入する新型通勤型電車315系のインテリアを発表した。
同車は、国鉄末期からJR黎明期にかけて登場した211系、213系、311系の置換えを図るため、2025年度までに352両を中央本線、東海道本線、関西本線の名古屋・静岡都市圏を中心に投入する計画。
今回発表されたインテリアは「優しく安心感のある快適な移動空間」をコンセプトとしており、車内は天井を高くし、床面の色をグラデーション状にするなど、開放感のあるものとし、全車両に車椅子スペース、全編成に車椅子対応トイレを備える。
また、211系と比べて3倍以上能力が向上するとされる冷房装置には、国内の鉄道車両として初めて人工知能(AI)による自動学習・制御最適化機能が導入され、サーバー上のAIとのやりとりで、最適な冷房制御やメンテナンスが行なわれる。
315系のインテリアと車内設備の概要。ホームとの段差が5cm縮小されるほか、ユニバーサルデザインに対応したフルカラー液晶ディスプレイによる車内表示器も設けられる。側窓は赤外線や紫外線を99%カットする遮熱・遮光ガラスとなり、カーテンがなくなる。シートは従来車と同じくロングシートだが、211系比で1cm幅が拡大しており、腰へ負担が少ない形状とされる。
このほか、車内には1両に防犯カメラが5カ所、非常通話装置が3カ所設置され、セキュリティの強化が図られる。
315系の冷房制御概要。温度や湿度、乗車率などのデーターをサーバーへ送ることで自動的に最適な車内環境を整えることが可能に。乗務員による手動補正をAIに自動学習させることも可能。動作状態も常時送信されるので、故障の予兆を掴んだ段階で迅速なメンテナンスを行なえるという。