【WRC 第4戦】エバンスが今季初優勝、トヨタは3勝目…勝田貴元が自己最高の4位「確実に一歩前進、努力を続ける」

WRC第4戦ポルトガルで優勝した#33 エバンス(トヨタ)。
WRC第4戦ポルトガルで優勝した#33 エバンス(トヨタ)。全 8 枚

世界ラリー選手権(WRC)第4戦「ラリーポルトガル」が現地23日にフィニッシュを迎え、トヨタ・ヤリスWRCのエルフィン・エバンスが今季の自身初優勝を飾った。トヨタはシーズン3勝目。勝田貴元が自己最高位更新の4位に入っている。

今季最初の本格グラベル(未舗装路)戦であるポルトガル、トップカテゴリーのトヨタ・ヤリスWRC勢とヒュンダイi20クーペWRC勢の戦いは、競技初日の金曜(21日)、ヒュンダイ有利な立ち上がりかと思われたが、次第にトヨタ優勢へと傾いた。ヒュンダイ勢は#11 ティエリー・ヌービルが金曜にデイリタイアを喫し、優勝戦線離脱。さらには翌日(土曜)、トップを走っていた#8 オット・タナクがデイリタイアとなり、主軸ふたりを総合上位から失うことになる。

最終日(日曜)を前に、首位はトヨタの#33 エルフィン・エバンス。10.7秒差の2番手でヒュンダイの#6 ダニ・ソルドが続き、3番手はトップ差1分以上でトヨタの#1 セバスチャン・オジェ。優勝争いはトップ2にほぼ絞られた状況だ。

日曜は5本のSS(スペシャルステージ=競技区間)が残されていたが、#33 エバンスは最終のパワーステージ(SS20)の前までの4本のうち3本でトップタイムを刻む。#6 ソルドに26.2秒差をつけて、大勢を決してみせた。パワーステージではボーナスポイント獲得に傾注した#8 タナク、#11 ヌービルがステージ1-2を獲るが、#33 エバンスはステージ5位で終えて、#6 ソルドとの総合タイム差28.3秒で今季初優勝を飾った(トヨタは今季3勝目)。

優勝した#33 エルフィン・エバンス(トヨタ)のコメント
「優勝というかたちでラリーを締めくくることができたのは、もちろん素晴らしいことだ。この週末はすべてが順風満帆というわけではなかったし、我々は最速ではなかったかもしれない。それでも、ペースはとても良く、パフォーマンスも全体的に安定していた」

「2位とのタイム差がそれほど大きくなかったので、今朝(最終日の朝)は全力で挑む必要があった。その結果、何本か良いステージタイムを刻み、アドバンテージを築くことができたと思う。クロアチアでの失敗(前戦、最後の土壇場で逸勝して2位)は非常に痛手だったので、今回は何事もなくラリーを走り切ることができてよかったよ」

#33 エバンスはドライバーズポイントを77に伸ばし、ランキング2位に浮上、ポイントリーダーの僚友#1 オジェ(今回3位)に2点差と接近している。昨年惜しくも逃した初戴冠に向け、雄々しく加速するポルトガル戦となった。

ポルトガルの総合2位はヒュンダイの#6 ソルド、同3位はトヨタの#1 オジェ。マニュファクチャラーズタイトル争いにおいては首位トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)がヒュンダイ(HYUNDAI SHELL MOBIS World Rally Team)に対するリードを開き、37点差としている(183対146)。なお、トヨタワークス三銃士のもうひとり、#69 カッレ・ロバンペラはデイリタイアがあり、最終のラリー総合順位は22位だった。

そして#1 オジェに続く4位にはトヨタの「WRCチャレンジプログラム」のドライバーで、今季は全戦にヤリスWRCで参戦中の#18 勝田貴元が入った。#18 勝田は今季開幕からの3戦、WRC自己最高位の6位が続いていたが、今回それを2ポジション更新する結果を得ている。

#18 勝田貴元のコメント
「この週末はいい戦いができたと思います。難しいラリーで、どのステージも非常にトリッキーでした。土曜日の夜に1度だけ危ない場面がありましたが、大きな問題はなく乗り切ることができましたし、チームはいつものように素晴らしい仕事でマシンを直してくれました」

「トップドライバーたちと一緒に戦えたことを嬉しく思います。以前と比べれば確実に一歩前進したとも思いますが、まだまだ改善すべきことは多いので、正しい方向に進み続けるために、これからも努力し続けます」

この健闘に、トヨタの豊田章男社長は「自身最高位となる4位おめでとう! 私がポルトガルの途中結果を見たとき、貴元は3位のオジェに1.5秒差で迫っていました。クロアチア戦で(2度の)ステージトップを獲った時、君の成長に本当に感動したけれど、今回はそれ以上にとても“驚いた”。これからも、ぜひ私たちを“驚かせ”続けてほしいと思います」とのコメントを寄せている。

#18 勝田は金曜を4番手で終え、土曜終了時点でも4番手、その時点で3番手#1 オジェとは1.5秒差だった。4位入賞を果たしたのだから、次なる目標は当然、表彰台である。簡単なことではないが、躍進を続け、近いうちに達成してほしいものだ。

WRCの次戦はイタリア・サルディニア島での戦い、6月3~6日開催予定となっている。

(本稿の順位、開催予定等は日本時間24日午後6時の時点でのWRC公式サイトの表示等に基づくもの)

《遠藤俊幸》

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