JR北海道は6月4日、2020年度の線区別収支と利用状況を発表した。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全線で輸送密度や営業収益が大幅に悪化。営業費用の減少はあったものの、営業損失(赤字)は2019年度から289億7600万円拡大した841億5900万円となった。
このうち札幌圏の赤字は深刻で、インバウンド需要の大幅な落込みなどから拡大幅の半分以上を占めた。
線区別輸送密度(1日あたり)のワースト3は、根室本線富良野~新得間の57人、留萌本線(深川~留萌)の90人、日高本線鵡川~様似間の95人となっているが、100円の営業収益を得るために必要な営業費用の指数を表す「営業係数」は、2020年5月7日に廃止された札沼線北海道医療大学~新十津川間を除けば、2021年4月1日に廃止された日高本線鵡川~様似間が管理費を除いた場合で438円と、赤・茶線区や黄線区のなかでは最も良好だった(管理費を含む場合は509円の富良野線)。
2020年4月17日、新十津川発最後の札沼線列車を見送る人々。北海道医療大学~新十津川間はお別れ乗車の効果もあり、JR北海道のなかで最も赤字額が少なかった。ちなみに札沼線北海道医療大学~新十津川間の赤字は、管理費を除いた場合で1600万円、含んだ場合で1800万円とJR北海道最少で、輸送密度は41人増加しているが、これは廃止前のお別れ乗車の影響と言えるだろう。逆に日高本線鵡川~様似間は最後までバス代行であった影響か、輸送密度が9人低下した。
一方、北海道新幹線は管理費を除いた場合で116億1400万円、含んだ場合で144億2900万円の赤字だったが、これは在来線の赤・茶線区、黄線区の合計にほぼ匹敵する額となっている。
札幌圏は管理費を除いた場合125億9500万円、含めた場合178億7800万円の赤字で、赤・茶線区と黄線区の合計や北海道新幹線に匹敵する額となった。写真は石狩湾沿いの函館本線朝里~小樽築港間を行く小樽行き快速『エアポート』。