ランボルギーニの新型ハイパーカー、カーボン構造の安全性をFIAが公認…世界初

30年間の研究開発の成果を生かしたカーボン構造で安全性を追求

ねじり剛性は「ウラカン GT3 EVO」よりも20%高い

世界の40名の顧客だけが参加できるサーキットプログラム

ランボルギーニ・エッセンツァ SCV12
ランボルギーニ・エッセンツァ SCV12全 7 枚

ランボルギーニは6月7日、サーキット専用の新型ハイパーカーの『エッセンツァSCV12』のカーボンファイバー構造が、FIA (国際自動車連盟)のハイパーカー安全基準に世界で初めて適合した、と発表した。

写真:ランボルギーニ・エッセンツァ SCV12

30年間の研究開発の成果を生かしたカーボン構造で安全性を追求

ランボルギーニはおよそ30年前から、自動車分野における複合素材の研究開発を進めてきた。その最新の成果となるのが、エッセンツァSCV12のカーボンファイバー製シャシーだ。このシャシーは、『アヴェンタドール』のシャシーも製造しているイタリア・サンタアガタボロネーゼのランボルギーニのCFK (カーボンファイバー複合素材)部門で生産されている。

FIAがシャシーの安全性を認定するためのテストは、非常に厳格という。カーボンファイバー製モノコックは、FIAのホモロゲーションテスト中に大きな変形を起こすことなく、12トンを超える力に耐える必要がある。FIAのホモロゲーションテストは、シャシーに加えて、ペダル、ベルト、燃料タンクなど20以上の項目がある。一方、衝突試験では、最大14m/秒の速度で車両を衝突させる。このテストでは、外装パーツが車内に侵入してドライバーと接触する可能性があったり、燃料タンクから燃料が漏れたりしてはならない。

ランボルギーニのモータースポーツ部門の「スクアドラコルセ」の技術者は、エッセンツァSCV12の開発にあたって、スチール製ロールケージを追加せず、カーボンファイバー構造を維持することを決定した。シャシー内にラミネートフォームの「ROHACELL 71XT」を採用し、ドライバーの快適性を引き上げるために、コックピットのスペースも拡大した。

ねじり剛性は「ウラカン GT3 EVO」よりも20%高い

エッセンツァSCV12では、ドライバーは FIA が公認しOMP製「8862」シートに座る。このシートは、スクアドラコルセによって設計され、ランボルギーニのCFK 研究所で製造されたカーボンファイバー製クレードルに取り付けられている。公道仕様と比べてシート位置が低くなり、ドライバーと助手席乗員は、レーシングカーに見られる複合素材製の2つのサイドインパクトガードによって、保護されている。

エッセンツァSCV12のもうひとつの新しいソリューションが、モノコックの後部にあるクレードルだ。このクレードルによって、エンジンは完全に縦軸上に搭載された。一方、ギアボックスには、耐荷重および構造機能を持たせることが可能に。この特性により、『ウラカン」のレーシングカーの『ウラカン GT3 EVO』よりも、20%高いねじり剛性を達成することができたという。

自然吸気の6.5リットルV型12気筒ガソリンエンジンは、最大出力830hpを発生する。トランスミッションは、6速シーケンシャル「Xtrac」を組み合わせた。後輪駆動の軽量シャシーの構造要素として、シーケンシャル6速ギアボックスを組み込むことにより、重量を軽減して重量配分を最適化しているという。

世界の40名の顧客だけが参加できるサーキットプログラム

なお、エッセンツァSCV12は2021年4月から、顧客への引き渡しを開始した。生産台数は世界限定40台。世界の40名の顧客だけが参加できるサーキットでの専用プログラムは、6月末に開始される予定だ。

ランボルギーニのモータースポーツ責任者、ジョルジオ・サンナ氏は、「エッセンツァSCV12には、GTカーのソリューションである耐荷重ギアボックスに直接取り付けられたサスペンションなど、レーシングプロトタイプの技術を導入した。さらに、スチール製ロールケージを持たない新開発のカーボンファイバー製モノコックシャシーを採用した。これにより将来、GTレーシングカーのドライバーの安全性を飛躍的に向上させることが可能になる」と語っている。

《森脇稔》

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