【アウディ S3セダン 新型試乗】価格を差し引いてもグラッとくる1台…中村孝仁

アウディ S3セダン 新型
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8代目のVW『ゴルフ』と共通のメカニズムを持つアウディ『A3』が、一足先に日本市場でも販売開始された。それと共に高性能版の『S3』もデビューしている。

内外装に派手さはないが

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性能的には日本市場に導入されるA3と比べて2倍の最大トルクと3倍近い最高出力を誇るから、走り出せばすぐにその違いの大きさに驚かされるほど。しかし、外見的にはこれといって大きな差異はなく、確かに少しだけスポーティーなホイールと若干大き目なグリルサイドのエアインテークが目を引く程度で、言われなければ気が付かないレベルの外観である。

まあ仔細に眺めるとエクゾーストは4本出しマフラーとなっているし、バンパー下からディフューザーが覗くなど、スポーティーな演出はされているが、精々その程度。あまりに小さかったリアスポイラーはまあ、写真に撮らなくてもイイか…と思えるほどであった。決定的なのはホイールから覗く赤く塗装されたブレーキキャリパーがものすごく性能を主張している印象があることだ。

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インテリアにしても大袈裟なところは一つもなく、ステアリングにS3のエンブレムが付くほかエンジンスターターボタンが赤いリングで縁取られ、体にフィットするスポーツシートが装備されている程度で、派手なところはほとんどない。

まるで5気筒のようなサウンドに驚く

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というわけで、まさに「能ある鷹が爪を隠した」状態ともいえる雰囲気を漂わせている。セダンであるというところもそうしたところがより強調されているのかもしれない。

それにしても2倍のトルクと3倍近いパワーである。エンジン自体は2リットル直4ターボでコードネームEA888を持つもののはず。新たにアウディ・バルブリフト・システムを装備して400Nm、310psのパフォーマンスを示す。A3が200Nm、110psであるから、ほぼほぼ前述の通りだということがわかると思う。

アクセルを深く踏み込んでいくと一瞬!?と頭が混乱する。というのもパーシャル領域でのエンジンサウンドがまるで5気筒エンジンのようだからだ。隣に乗った同業者と共に「えっ?これ4気筒だよね」と確認をするほどそのサウンドは似ていた。もっともさらに高い回転領域に入ると4気筒のサウンドが顔を出してくれる。このあたりの力強さは無類である。

オールラウンダーとして高いポテンシャル

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非常に荒れた路面で敢えて攻め込んでみると、通常ならリアが跳ねて向きが変わってしまうような状況でもこのシャシーは見事にそれを抑え込んで、ドライバーの意図する方向にクルマを誘う。絶妙な足回りのセッティングとダンピング性能だ。と書いて、では乗り心地はどうかというと、これが非常に快適。極端な話ではなくよりソフトなダンパーセッティングのA3よりも好ましいのでは?と感じてしまうほど快適で、悪路に入っても挙動を乱さない懐の深さはオールラウンダーとして非常に高いポテンシャルを示してくれる。

そんなわけだからついついハイスピードドライビングを愉しみたくなる。そんな時、7速のSトロニックはやはりその本領を発揮する。アップシフトダウンシフト共に、まさに電光石火。とても気持ちの良いシフトフィーリングだ。そしてドライブセレクトは場面場面でよりドライビングを愉しむアイテムとして活用できそうである。

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はじめのうち、その存在をすっかり忘れて走っていたが、例の荒れた路面を攻めた時は何とコンフォートに入っていた。それでも十分に走りが堪能できるところを見ると、それをダイナミックに切り替えれば更なる懐の深さを見せるのかもしれない。因みに残りのモードはオート、エフィシェンシー、インディビデュアルである。

価格はさすがに高く車両本体価格661万円。そして試乗車はさらに76万円のオプションが上乗せされていたから、合計737万円だ。だがそれを差し引いてもクルマの魅力だけを見るとついグラっと来る1台であった。

アウディ S3セダン 新型アウディ S3セダン 新型

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

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